全日空、次期社長に伊東信一郎副社長−2010年に向け「国際線が成長の柱」

  • 2009年1月19日
 全日空(NH)は1月16日、現代表取締役副社長の伊東信一郎氏が4月1日に代表取締役社長に昇格、現代表取締役社長の山元峯生氏が代表取締役副会長に就任することを決定した。16日の記者会見で伊東氏は、「(長期的には)国際線が成長の柱」と語り、「2010年の首都圏空港の再拡張に向けて成長軌道に乗せることが責務」と決意を強調。景気後退などによりレジャー需要、業務渡航需要ともに低迷する厳しい環境下だが、旅行業界にも変化をもたらすと予想される2010年に向けて、NHがめざしてきた国際線での成長につながる舵取りを進める考えだ。

 今後の方向性について、伊東氏は、2010年に向けてどう展開すべきかを検討する社内プロジェクトを進めていると紹介。このプロジェクトでは、「過去の事例にとらわれず、新しい発想で新しいシステムを据え、設備投資もし、効率的な体制を作っていく」ことを目的としており、「新しい働き方を含めて、より効率的に展開する体制が出来つつある」ため、環境が悪い中でこれをさらに深化していくことが必要との認識を示した。

 また、山元氏は「安全性こそが第一」と説明。これは、「いかなる営業努力も安全に勝るものではない」との考えに基づいたもの。経営効率の改善と安全性の両立を疑問視する声があるとの質問に対しては、「議論としては分かるものの、NHの『まず全てを安全に』というポリシーは変えない」と強調。現在、経営環境の変化により、2008年度から2011年度の中期経営計画を見直し、2009年度から2011年度の計画に練り直しているところだが、「投資を削る議論のなかで、安全に関係する投資には絶対に手をつけない」ことを前提にしていると紹介した。

 なお、山元氏は伊東氏を後任に選んだ理由として、仕事ぶりに加えて伊東氏が「私心がなく、心が座り、懐が深い」人柄であることを説明。また、座右の銘を聞かれた伊東氏は、「得意淡然、失意泰然」を挙げ、幼少の頃から「『謙虚であれ、失意の時もしっかりしろ』と言われてきた」と語った。