現地レポート:マリアナ、KNTの年間チャーター便で受入整備が進むロタ
KNTの年間チャーター便で受入整備が進むロタ
魅力活かすには、認知向上と正しい情報の伝達が急務
近畿日本ツーリスト(KNT)がコンチネンタル航空(CO)と2年間の独占契約をし、08年は約40本の予定で直行チャーター便を運航、ロタの注目が高まっている。今年の日本人訪問者数は10月までに前年比32.7%増の5574名と大きく増加。これにあわせ島内ではホテルのリノベーションや空港の拡張など、受け入れに向けた体制整備が進んでいる。11月に実施された、マリアナ政府観光局(MVA)のツーリズムアカデミーに同行し、参加した旅行会社とともに、ロタ島を訪れた。(取材協力:マリアナ政府観光局、ノースウエスト航空)
短距離ならではの予算で、手付かずの美しい自然に囲まれたリゾート滞在が可能
ロタ島はサイパンからの日帰り観光も可能だが、滞在して「ネイチャー・アイランド」と表される美しい自然を満喫することをすすめたい。ノースウエスト航空(NW)などの定期直行便のゲートウェイであるサイパンからはわずか30分。フリーダムエアーなどが運航している。窓から眺める海は必見だ。「ロタブルー」と称される美しい青い海、圧倒的な透明度を誇るビーチは、同行した旅行会社のスタッフから「お客様にぜひ勧めたい」と、感嘆の声が上がった。
ロタ島の人口は約3500人で伊豆大島ほどの小さな島であり、住民同士も仲がよく、治安もよい。観光客に対してもフレンドリーで、車ですれ違うときは見知らぬ同士でも手をあげて挨拶するほど。アットホームな雰囲気で滞在できる。ロタ市長のジョセフ・S・イノス氏は「自然が島の宝」であると自然の魅力を強調。星空の素晴らしさでも有名で、季節により南十字星を見ることも可能。また、スコールが地表からろ過されて貯まったロタの地下水はマリアナではナンバー1の水質を誇っており、水道水はそのまま飲める。ロタの自然環境のよさを象徴する事柄であるといえよう。
従来、ロタの客層は、透明度70メートルともいわれる美しい海、ロタ・ホールやコーラルガーデンといったダイビングスポットを目的とするダイバーが中心だった。しかし、年間チャーター便以降、ファミリー層やシニア層も増加している。これらの客層にも、随所にある海の美しさを体感するビーチでアクティビティがアピールできる。特に白砂のテテトビーチは驚くほどの透明度で、足がつく範囲でも熱帯魚が泳ぎ、「小さな子供でも楽しめる」と、視察した旅行会社のスタッフにも好評だった。
ほかにも、サンゴ礁に囲まれた天然のプール、ボートピクニック、トローリング、フィッシングなど多様な海のアクティビティがある。陸上でも野鳥を鑑賞できるバード・サンクチュアリ、ヤシの木がずらりと立ち並ぶ南国ムードたっぷりの千本ヤシ林といった自然の観光スポットをはじめ、古代チャモロ人の石柱遺跡であるタガ・ストーン遺跡や、観光親善大使となった野口五郎氏と三井ゆり氏が挙式したことで名高いハニーガーデンといった見所が随所にある。ハニーガーデンやパラダイス・ガガニ・リゾートではパパイヤ・スターフルーツ、マンゴーといったフルーツを味わうことが可能だ。
これらの観光地はレンタカー、もしくはホテルが主催するツアーに参加しての観光となる。ロタにはタクシーがなく、交通手段は車。道路は整備が進んでいるものの、場所によっては雨が降ると道の状態が悪くなることもあり、レンタカーは四輪駆動がよいだろう。ホテルのレンタサイクルも、のんびり島をめぐる観光客にはおすすめだ。
各ホテルではリノベーションの実施も
宿泊施設はホテル3軒のほか、ダイバー向けのプチホテル4軒がある。そのうち、「ロタ・リゾート&カントリークラブ」はゴルフ場を併設したロタで最大のホテル。今年4月にギフトショップを拡充し、ロタのローカルフードの土産品を用意するなど、チャーター便の動きにあわせた対応も実施した。今年に入り、ファミリー層の利用が増えているという。
一方、テテトビーチまで徒歩で約10分強の好立地にある「ロタホテル」は、今年9月にオーナーが「ライン・マップ・ホテル・アンド・ネイチャー・リゾート」に変更。営業は継続するが、12月末から来年の3月にかけてリノベーションを実施し、4月からは新ホテルとして営業する予定だ。リノベーションでは客室に加え、レストランとギフトショップ、プールなどを刷新。現在のバーをインターネットカフェに、客室では浴室のシャワーをハンドル式に変更するなど、旅行者のニーズにあわせるという。
また、海岸沿いにある「ロタ・ココナツ・ビレッジ」は同行した旅行会社のスタッフから、眺望と静かに聞こえる波の音に「南国ムード満点」と感嘆の声が上がっていた。レストランは真西に向いているため、サンセットを楽しみながらの食事も可能。ハニーガーデンでの挙式の現地オペレーションも行っており、毎月1組程度の着実な需要があるという。
同行した旅行会社は「現地で実際の施設を見ると、ホテル内部をはじめ周りの雰囲気がわかり、お客様に伝えやすい」と、現地スタッフに直行便での旅行者の感想や、オプショナルツアーの細かい内容など、現地での旅行者の様子について確認。現地での生の情報や最新情報に触れる重要性を再認識していた。
今後は業界内の認知徹底と正しいイメージの伝達を
ロタではKNTの年間チャーター便以来、日本からの来島者数が増加している。ただし、チャーター便の運航時とそれ以外の期間の滞在客数には差がある。ロタホテルのアシスタント・ジェネラル・マネージャーのチエ・アタリック氏はロタの認知の低さについて触れ、「来ていただければそのよさがわかり、評判もいい」とし、来島者のクチコミが今後の需要につながってくるとの考えを示す。チャーター便に対しても「チャーターが入るとホテルの稼動があがる。月に1本から2本続けてほしい」と語り、「2009年も年間チャーター便が継続されれば、その次の年からは成果が見こめるのではないか」と、予想する。
また、ロタ市長のイノス氏は「日本をメインマーケットとして強く捉えており、歴史的にも日本との関係は深い」と日本との関係性を強くアピールするとともに、KNTとロタ側のコネクションの強固さについて触れ、「今まで来なかった客層の来島がある」と、成果に対する評価と今後の期待感を述べた。
ロタ空港では来年から、滑走路を現在の幅の2倍まで拡大することを決定している。チャーター便に対応するため、専用のタラップを準備し、人員はテニアン、サイパンのスタッフを臨時に派遣。フライトが増えれば常駐のスタッフも増やしていく考えだ。ロタでは今後、近郊リゾートへ行く客層の取り込みも方針としており、イノス氏は「ファーストクラスのホテルを増やす必要がある」とも考えている。
ロタの醍醐味は美しい自然だが、その反面、ショッピングやナイトライフを楽しむスポットは少ない。旅行者の中にはグアムやサイパンのようなリゾート地を想像している人もおり、観光施設に不満を感じる人もいるという。しかし、ゴルフやダイビング、美しい自然を求めてくる旅行者はリピーターとなるケースが多い。「人を選ぶデスティネーション」「美しい自然の中でのんびり遊ぶ人にお勧め」という意見が参加者からはあがっており、旅行会社が今後、ロタの魅力を十分に活かし、有力なデスティネーションとして発展させていくためには、旅行者に対するしっかりとしたイメージの植え付けと説明が必要だろう。
魅力活かすには、認知向上と正しい情報の伝達が急務
近畿日本ツーリスト(KNT)がコンチネンタル航空(CO)と2年間の独占契約をし、08年は約40本の予定で直行チャーター便を運航、ロタの注目が高まっている。今年の日本人訪問者数は10月までに前年比32.7%増の5574名と大きく増加。これにあわせ島内ではホテルのリノベーションや空港の拡張など、受け入れに向けた体制整備が進んでいる。11月に実施された、マリアナ政府観光局(MVA)のツーリズムアカデミーに同行し、参加した旅行会社とともに、ロタ島を訪れた。(取材協力:マリアナ政府観光局、ノースウエスト航空)
短距離ならではの予算で、手付かずの美しい自然に囲まれたリゾート滞在が可能
ロタ島はサイパンからの日帰り観光も可能だが、滞在して「ネイチャー・アイランド」と表される美しい自然を満喫することをすすめたい。ノースウエスト航空(NW)などの定期直行便のゲートウェイであるサイパンからはわずか30分。フリーダムエアーなどが運航している。窓から眺める海は必見だ。「ロタブルー」と称される美しい青い海、圧倒的な透明度を誇るビーチは、同行した旅行会社のスタッフから「お客様にぜひ勧めたい」と、感嘆の声が上がった。
ロタ島の人口は約3500人で伊豆大島ほどの小さな島であり、住民同士も仲がよく、治安もよい。観光客に対してもフレンドリーで、車ですれ違うときは見知らぬ同士でも手をあげて挨拶するほど。アットホームな雰囲気で滞在できる。ロタ市長のジョセフ・S・イノス氏は「自然が島の宝」であると自然の魅力を強調。星空の素晴らしさでも有名で、季節により南十字星を見ることも可能。また、スコールが地表からろ過されて貯まったロタの地下水はマリアナではナンバー1の水質を誇っており、水道水はそのまま飲める。ロタの自然環境のよさを象徴する事柄であるといえよう。
従来、ロタの客層は、透明度70メートルともいわれる美しい海、ロタ・ホールやコーラルガーデンといったダイビングスポットを目的とするダイバーが中心だった。しかし、年間チャーター便以降、ファミリー層やシニア層も増加している。これらの客層にも、随所にある海の美しさを体感するビーチでアクティビティがアピールできる。特に白砂のテテトビーチは驚くほどの透明度で、足がつく範囲でも熱帯魚が泳ぎ、「小さな子供でも楽しめる」と、視察した旅行会社のスタッフにも好評だった。
ほかにも、サンゴ礁に囲まれた天然のプール、ボートピクニック、トローリング、フィッシングなど多様な海のアクティビティがある。陸上でも野鳥を鑑賞できるバード・サンクチュアリ、ヤシの木がずらりと立ち並ぶ南国ムードたっぷりの千本ヤシ林といった自然の観光スポットをはじめ、古代チャモロ人の石柱遺跡であるタガ・ストーン遺跡や、観光親善大使となった野口五郎氏と三井ゆり氏が挙式したことで名高いハニーガーデンといった見所が随所にある。ハニーガーデンやパラダイス・ガガニ・リゾートではパパイヤ・スターフルーツ、マンゴーといったフルーツを味わうことが可能だ。
これらの観光地はレンタカー、もしくはホテルが主催するツアーに参加しての観光となる。ロタにはタクシーがなく、交通手段は車。道路は整備が進んでいるものの、場所によっては雨が降ると道の状態が悪くなることもあり、レンタカーは四輪駆動がよいだろう。ホテルのレンタサイクルも、のんびり島をめぐる観光客にはおすすめだ。
各ホテルではリノベーションの実施も
宿泊施設はホテル3軒のほか、ダイバー向けのプチホテル4軒がある。そのうち、「ロタ・リゾート&カントリークラブ」はゴルフ場を併設したロタで最大のホテル。今年4月にギフトショップを拡充し、ロタのローカルフードの土産品を用意するなど、チャーター便の動きにあわせた対応も実施した。今年に入り、ファミリー層の利用が増えているという。
一方、テテトビーチまで徒歩で約10分強の好立地にある「ロタホテル」は、今年9月にオーナーが「ライン・マップ・ホテル・アンド・ネイチャー・リゾート」に変更。営業は継続するが、12月末から来年の3月にかけてリノベーションを実施し、4月からは新ホテルとして営業する予定だ。リノベーションでは客室に加え、レストランとギフトショップ、プールなどを刷新。現在のバーをインターネットカフェに、客室では浴室のシャワーをハンドル式に変更するなど、旅行者のニーズにあわせるという。
また、海岸沿いにある「ロタ・ココナツ・ビレッジ」は同行した旅行会社のスタッフから、眺望と静かに聞こえる波の音に「南国ムード満点」と感嘆の声が上がっていた。レストランは真西に向いているため、サンセットを楽しみながらの食事も可能。ハニーガーデンでの挙式の現地オペレーションも行っており、毎月1組程度の着実な需要があるという。
同行した旅行会社は「現地で実際の施設を見ると、ホテル内部をはじめ周りの雰囲気がわかり、お客様に伝えやすい」と、現地スタッフに直行便での旅行者の感想や、オプショナルツアーの細かい内容など、現地での旅行者の様子について確認。現地での生の情報や最新情報に触れる重要性を再認識していた。
今後は業界内の認知徹底と正しいイメージの伝達を
ロタではKNTの年間チャーター便以来、日本からの来島者数が増加している。ただし、チャーター便の運航時とそれ以外の期間の滞在客数には差がある。ロタホテルのアシスタント・ジェネラル・マネージャーのチエ・アタリック氏はロタの認知の低さについて触れ、「来ていただければそのよさがわかり、評判もいい」とし、来島者のクチコミが今後の需要につながってくるとの考えを示す。チャーター便に対しても「チャーターが入るとホテルの稼動があがる。月に1本から2本続けてほしい」と語り、「2009年も年間チャーター便が継続されれば、その次の年からは成果が見こめるのではないか」と、予想する。
また、ロタ市長のイノス氏は「日本をメインマーケットとして強く捉えており、歴史的にも日本との関係は深い」と日本との関係性を強くアピールするとともに、KNTとロタ側のコネクションの強固さについて触れ、「今まで来なかった客層の来島がある」と、成果に対する評価と今後の期待感を述べた。
ロタ空港では来年から、滑走路を現在の幅の2倍まで拡大することを決定している。チャーター便に対応するため、専用のタラップを準備し、人員はテニアン、サイパンのスタッフを臨時に派遣。フライトが増えれば常駐のスタッフも増やしていく考えだ。ロタでは今後、近郊リゾートへ行く客層の取り込みも方針としており、イノス氏は「ファーストクラスのホテルを増やす必要がある」とも考えている。
ロタの醍醐味は美しい自然だが、その反面、ショッピングやナイトライフを楽しむスポットは少ない。旅行者の中にはグアムやサイパンのようなリゾート地を想像している人もおり、観光施設に不満を感じる人もいるという。しかし、ゴルフやダイビング、美しい自然を求めてくる旅行者はリピーターとなるケースが多い。「人を選ぶデスティネーション」「美しい自然の中でのんびり遊ぶ人にお勧め」という意見が参加者からはあがっており、旅行会社が今後、ロタの魅力を十分に活かし、有力なデスティネーションとして発展させていくためには、旅行者に対するしっかりとしたイメージの植え付けと説明が必要だろう。