「世界の高速鉄道」(1)−フランス・TGV
先月末、世界初の高速鉄道0系新幹線の営業運転終了が、大きなニュースとなった。1964年に運行を開始して44年、鉄道発祥の国イギリスの世界最大級の鉄道博物館に、その車両が展示されていることからも分かるように、鉄道の歴史に大きな足跡を残してきた0系新幹線は、現在世界中を走る高速鉄道のルーツである。
地球温暖化の問題が喧しい昨今、環境への負荷が少ない乗り物として鉄道が以前にも増して注目されており、なかでも高速鉄道の役割はますます重要になっている。今週は、日本と並び高速鉄道開発で世界の最先端を走るヨーロッパを中心に、世界の高速列車の状況を見ていこう。第1回目は、フランスのTGVを取り上げる。
TGVの開発がスタートしたのは、日本で新幹線の工事が進められていた1960年代初頭。そして営業運転が始まったのが1981年、パリとフランス第2の都市リヨンを結ぶ南東線だ。世界遺産に登録されている歴史地区をもつ観光地リヨンがパリから約2時間で行けるようになった。
リヨンからさらに南へむかう、TGV地中海線が2001年に開通。パリからマルセイユは約3時間20分、ニースへは5時間半で移動が可能となり、こちらも旅行のパターンが大きく変わった。とくにフランスのリピーターで、パリ以外のエリアに行きたい場合、シャルル・ドゴール空港駅へ乗り入れているTGVを利用し、空港から直接マルセイユやニースへ行くことができる。
TGVのネットワークはさらに広がっている。パリとボルドーを3時間で結ぶ大西洋線が1989年に開通。2007年6月に開通したTGV東ヨーロッパ線は、パリから世界遺産の町ストラスブールを2時間20分で結ぶことになった。所要時間は約1時間15分が短縮され、パリから日帰りで楽しめる観光地となった。この路線を走るTGV‐POSは、高速性だけでなくパリを代表するデザイナーのクリスチャン・ラクロワがデザインしたカラフルな客車や、景色を堪能できる大きな窓でも乗客を楽しませている。
TGVのネットワークはフランス国内に限らない。北ヨーロッパ線はブリュッセルへ1時間22分、南東線はスイスのジュネーブへ約3時間、ベルンへは約4時間半。東ヨーロッパ線は、スイスのバーゼルやチューリッヒ、ドイツのフランクフルトやミュンヘンなどへ延伸する。最近は、パリからスイスの有名なスキーリゾート、ツェルマットの手前の町ブリークや、フランス随一のスキーリゾート、シャモニーの手前のラファイエットまで運転しており(週末のみ)、スキー客に好評を博している。
西ヨーロッパのほぼ真ん中に位置するパリを起点にすれば、フランス国内だけでなく、隣国を含め、様々な移動パターンが考えられる。上手に応用すれば、効率のいい多様なスタイルの旅が創造できるだろう。
▽関連サイト
■TGV公式サイト
http://www.tgv.com/EN/index_HD.html(英語)
■フランス国鉄
http://www.sncf.com/en_EN/flash/
■レイルヨーロッパのTGVページ
http://japan.raileurope.com/japan/rail/tgv/index.htm
地球温暖化の問題が喧しい昨今、環境への負荷が少ない乗り物として鉄道が以前にも増して注目されており、なかでも高速鉄道の役割はますます重要になっている。今週は、日本と並び高速鉄道開発で世界の最先端を走るヨーロッパを中心に、世界の高速列車の状況を見ていこう。第1回目は、フランスのTGVを取り上げる。
TGVの開発がスタートしたのは、日本で新幹線の工事が進められていた1960年代初頭。そして営業運転が始まったのが1981年、パリとフランス第2の都市リヨンを結ぶ南東線だ。世界遺産に登録されている歴史地区をもつ観光地リヨンがパリから約2時間で行けるようになった。
リヨンからさらに南へむかう、TGV地中海線が2001年に開通。パリからマルセイユは約3時間20分、ニースへは5時間半で移動が可能となり、こちらも旅行のパターンが大きく変わった。とくにフランスのリピーターで、パリ以外のエリアに行きたい場合、シャルル・ドゴール空港駅へ乗り入れているTGVを利用し、空港から直接マルセイユやニースへ行くことができる。
TGVのネットワークはさらに広がっている。パリとボルドーを3時間で結ぶ大西洋線が1989年に開通。2007年6月に開通したTGV東ヨーロッパ線は、パリから世界遺産の町ストラスブールを2時間20分で結ぶことになった。所要時間は約1時間15分が短縮され、パリから日帰りで楽しめる観光地となった。この路線を走るTGV‐POSは、高速性だけでなくパリを代表するデザイナーのクリスチャン・ラクロワがデザインしたカラフルな客車や、景色を堪能できる大きな窓でも乗客を楽しませている。
TGVのネットワークはフランス国内に限らない。北ヨーロッパ線はブリュッセルへ1時間22分、南東線はスイスのジュネーブへ約3時間、ベルンへは約4時間半。東ヨーロッパ線は、スイスのバーゼルやチューリッヒ、ドイツのフランクフルトやミュンヘンなどへ延伸する。最近は、パリからスイスの有名なスキーリゾート、ツェルマットの手前の町ブリークや、フランス随一のスキーリゾート、シャモニーの手前のラファイエットまで運転しており(週末のみ)、スキー客に好評を博している。
西ヨーロッパのほぼ真ん中に位置するパリを起点にすれば、フランス国内だけでなく、隣国を含め、様々な移動パターンが考えられる。上手に応用すれば、効率のいい多様なスタイルの旅が創造できるだろう。
▽関連サイト
■TGV公式サイト
http://www.tgv.com/EN/index_HD.html(英語)
■フランス国鉄
http://www.sncf.com/en_EN/flash/
■レイルヨーロッパのTGVページ
http://japan.raileurope.com/japan/rail/tgv/index.htm