ミシュラン観光ガイドブックで見る日本(ジャポン)4−温泉
「温泉文化」というと日本の専売特許のように思う人が少なくないが、温泉は世界各地にあり、特にヨーロッパでは長い歴史がある。ミシュランが生まれたフランスも同様。さかのぼれば古代ローマ時代から続くものもあり、フランス国内だけでも100ヶ所近い温泉があるといわれる。その数は日本と比べると桁が違うが、少なくともヨーロッパの人々にとって、温泉は決して珍しいものではない。
ヨーロッパの温泉は専門の医師を置き、療養や治療が主な目的。一方湯治のために温泉を利用する人はもちろんいるが、現在日本人が温泉に求めるのはなんといっても「癒し」。ヨーロッパの温泉とはスタイルはだいぶ異なる日本で、3ツ星に選ばれた2つの温泉は、ある意味とても興味深い。
■道後温泉 http://www.dogo.or.jp/
日本書紀にその名が記された「日本最古の湯」として、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場する温泉として、その知名度は全国的に高い。3ツ星選定にも納得できるが、温泉通に言わせれば「他にもあるはず...」という言葉が聞こえてきそうだ。温泉街としての道後温泉ではなく、1894年に建設された3階建ての木造建築「道後温泉本館」に3ツ星が与えられているのだ。ミシュラン観光ガイドブックにも「本館の日本式木造建築に歴史・文化的価値がある」との評価を載せている。道後温泉のシンボル的な存在であり、この共同湯に入るためにここを訪れる人もいるくらいの場所。もとよりミシュラン観光ガイドブックの評価は、歴史のある日本的な建築物には高い評価が与えられているので、これ自体不思議ではない。
■ひょうたん温泉 http://www.hyotan-onsen.com/
温泉の湧出総量が日本一の大分県別府温泉エリア。8つの温泉郷が集まる別府温泉のひとつ、鉄輪(かんなわ)温泉にある「ひょうたん温泉」。純粋に温泉に与えられた3ツ星はここだけである。1922年創業の共同湯で宿泊施設はない。露天風呂、砂湯、うたせ湯、蒸し風呂、足湯など、様々な種類の温泉のほか、ヨーロッパの温泉療養ではよく行われる飲泉や温泉吸引などもあり、人気が高い。ミシュラン観光ガイドブックでは「温泉の種類の豊富さに注目」と、かなりあっさりした解説となっており、選定理由は定かではない。日本人で別府温泉の名を聞いたことがない人は少ないと思われるが、地元の人と温泉マニア以外「ひょうたん温泉」を知る人は少ないだろう。
実際ひょうたん温泉の担当者に伺うと「ミシュラン掲載後、欧米の個人客は増えた気がしますが、日本のお客様が特に増えたり、取材が殺到したりすることはありませんでした」とのこと。日本人の目から見ると、特筆すべき特徴が捉えられないこの温泉が、星の数ほどある日本の温泉でなぜ唯一の3ツ星になったのか、ぜひミシュランの担当者に聞いてみたいところ。旅行会社としては、ここを訪れる旅程に組み込んだパッケージを造成するか、注目していきたい。
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■道後温泉 http://www.dogo.or.jp/

■ひょうたん温泉 http://www.hyotan-onsen.com/

実際ひょうたん温泉の担当者に伺うと「ミシュラン掲載後、欧米の個人客は増えた気がしますが、日本のお客様が特に増えたり、取材が殺到したりすることはありませんでした」とのこと。日本人の目から見ると、特筆すべき特徴が捉えられないこの温泉が、星の数ほどある日本の温泉でなぜ唯一の3ツ星になったのか、ぜひミシュランの担当者に聞いてみたいところ。旅行会社としては、ここを訪れる旅程に組み込んだパッケージを造成するか、注目していきたい。
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