アクセスランキング、エキスプレス・トラベルと日系2社の燃油値下げに集中

  • 2008年11月22日
 そろそろ街はライトアップなどクリスマスの雰囲気がただよいはじめ、華やかさが出てきました。来週には12月となり、今年の総仕上げに向けてスパートをかけていかねば、と思っているところです。そのような中で、今週のアクセスランキングを見ると、1位エキスプレス・トラベルの自己破産、日系2社の燃油サーチャージの値下げ、3位が全日空の発券手数料の廃止と続き、今年を象徴する出来事が凝縮された週であったと思います。

 年初、弊社の挨拶で海外旅行の伸びの予測、コミッション・カットの動きなどに触れ、業界内の力による変革が試される年と書きましたが、この流れが実際に起きています。予想外の原油価格の高騰による燃油サーチャージ額の値上がりで、海外旅行の苦戦は想定以上のものになりましたが、こうした環境の変化による破産や倒産も相次いでいます。コミッション・カットの影響では、報道されていないものの、規模の小さいインハウスが大手に身売りする動きも顕在化しているようです。

 エキスプレス・グループは積極的なM&Aで日本において、海外旅行、国内旅行、訪日旅行を手がけ、かつ宿泊施設も傘下に収めるという構想をもって参入してきました。設立時には興味深いプランを持つ企業だと見ていましたが、店舗の増加が思うように進まず、今年4月に事業プランを立て直していました。論評をするには時期尚早かもしれませんが、日本での商習慣の違いが、外国資本の参入を阻む事例を作ったことになるかもしれません。単純に日本市場がグローバル市場に通用するかはこの事例だけでは測れませんが、日本独自のスタイルが残っていることを推測しうることだけは言えるのではないでしょうか。

 こうした日本の独自性がどのように進化・深化するか興味深いのは、ゼロ・コミッションについてでしょう。アメリカでは旅行会社が淘汰され、現在では生き残る旅行会社はスケールメリットを追及することでさらなる収益を確保し、消費者から手数料を得るスタイルが確立されているといいます。また、小規模の会社も独自性を発揮し、市場で重要な存在になっています。日系2社が来年4月からゼロ・コミッションにすることが、日本の旅行市場をどのように変えていくのか、スケールメリットを追求する動きがアメリカと同様に強い流れになるのか、さらにこうした動きが旅行業界の活力につながるかが問われています。(鈴木)


▽アクセスランキング・記事ランキング(11月第3週:11月17日〜11月21日午後6時)

第1位
エキスプレス・トラベル、清算申請へ−08年3月期赤字で好転見通せず(2008/11/17)
エキスプレス・トラベル、自己破産−JATA問合せは14日現在130名、2000万円(2008/11/18)
エキスプレス・トラベル、自社申告での弁済額は1億円強−業者間取引は不明(2008/11/20)

第2位
日系2社、燃油サーチャージ値下げ、欧州、北米、豪州など1万1000円減に(2008/11/18)
JATA、サーチャージ値下げを航空局と日系2社に要望−1社は4月の見直し示唆(2008/11/20)
ルフトハンザ・ドイツ航空、燃油サーチャージ値下げへ−12月20日発券分から(2008/11/19)
ニュージーランド航空、1月以降の燃油サーチャージを引き下げ−2万円に設定(2008/11/18)

第3位
全日空、来年上期から発券手数料を廃止−「対等な取引関係」に理解(2008/11/19)

第4位
ジャルパック、新サーチャージを1月4日出発ツアーから適用−他社は検討中(2008/11/19)

第5位
日本航空と大韓航空、関西/金浦線をそれぞれ就航へ−コードシェアも実施(2008/11/20)

第6位
タイ国際航空、名古屋/バンコク線にファーストクラスを設定(2008/11/17)

第7位
KNT、来年上期から総額表示へ−「航空・旅行各社の協力で景気の荒波を越えて」(2008/11/21)

第8位
ニッコウトラベル、第2四半期に赤字転化、通期も最終赤字に下方修正(2008/11/17)

第9位
スペシャリスト・インタビュー:クラブツーリズム 平田早智江さん(2008/11/19)

第10位
ルックJTB、ウェブ商品で「円高」打ち出す−全20商品、グアム1万2800円から(2008/11/21)