青少年ツーリズムを促進、UNWTOと観光庁がセミナー

 観光庁と世界観光機関(UNWTO)は11月10日、大阪・中之島の大阪国際会議場で青少年ツーリズム交流国際セミナーを開いた。日本国内では低調気味の若年層の海外旅行だが、アジア・太平洋地域では近年活発化している。若年層の旅行をツーリズムのマーケットとして捉え、今後さらに促進する方策について、国内外の専門家や現役学生らが話し合った。

 セミナーで基調講演した国際アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)ツーリズムユニットチーフの山川隆司さんは、世界学生旅行連盟(WYSE)が示した青少年ツーリズムの定義を紹介した。それによると(1)16−29歳(2)訪問先での滞在期間は1年未満(3)親などが同行しない1人旅であり、異文化の経験や学習機会があり母国から遠く離れている―旅行と定義しているという。

 UNWTOの発表による青少年ツーリズムのシェアは、年間1億6000万人以上で旅行人口の20%程度を占めている。その中でも、山川さんは「アジア太平洋地域(53ヶ国・9地域)はさらに伸びる」と指摘。その要因として、ユニークな文化や伝統が地域内に豊富なこと、ローコストキャリアが隆盛していることなどを挙げた。

 また、青少年ツーリズムの需要層の8割がネットで情報を収集し、うち5割はネットを通じて予約手配をしているとし「受け入れ先は、過度な投資は必要としないが、青少年マーケットにいかに接するかがポイントです」と話した。

 山川さんは最後に、今後さらに青少年ツーリズムを促進していくためには「体系的な統計データがなく調査が必要ですし、若年層はお金を使わないというツーリズム産業の思い込みを改めるべきです。彼らは、地元の人たちの暮らしを体験したいと欲しています。その結果、地域に経済効果をもたらすことになるのです」などと指摘していた。


情報提供:トラベルニュース社