ジェットスター、ゴールドコースト線就航の意図、日本市場での展開は
ジェットスター航空(JQ)は10月1日、関空/ゴールドコースト線の直行便に就航した。12月18日からは成田/ゴールドコースト線にも就航する予定で、日本/ゴールドコースト間の提供座席数は、週間約3600席となる。これは親会社カンタス航空(QF)の路線再編計画の一環で、この結果、日本/オーストラリア路線の勢力図は大きく変わり、格安航空会社であるJQが最大の運航会社となる。今後の日本市場での展開とJQのゴールドコースト直行便の就航による今後のゴールドコーストへの旅行について、初便に搭乗し、JQカスタマーサービスおよび空港担当グループ・ジェネラル・マネージャーで、前長距離路線担当グループ・ジェネラル・マネージャーのマーク・ダル・プラ氏らに聞いた。
▽日本/オーストラリア間の最大キャリアに
QFの子会社の格安航空会社(LCC)であるJQは、2007年3月25日に関空/ブリスベン/シドニー線、同8月2日には中部/ケアンズ線に相次いで就航、日本に初上陸したLCCとして注目を集めた。JQ日本支社長の片岡優氏によると、2007年度の搭乗率は当初予定の70%強を上回る80%超を記録し、JQとして日本路線を順調な推移と評価している。
こうした中、QFが燃油価格の高騰のあおりを受け世界規模で路線ネットワークを見直し、日本路線も大きな再編の対象となった。QFの路線再編後の日本/オーストラリア路線の便数は、日本航空(JL)の運航するシドニー線とブリスベン線を含めて43便で、QFグループは29便。JQは、そのうち19便を運航することになる。
この日本路線再編についてダル・プラ氏は、「QFがビジネスとプレミアム・レジャー層、JQがレジャーと価格に敏感な客層に焦点をあてる戦略」を背景に、路線ごとの顧客層によって運航する会社を決定した結果と説明する。JQの関空/ブリスベン線は、搭乗者の70%がゴールドコーストに滞在し、レジャー需要が強かった。
▽旅行会社と協調し商品・サービスに幅−投資惜しまずレジャー取り込みへ
JQは日本路線でのレジャー需要を任されたわけだが、ダル・プラ氏は今後の展開について、日本に限らない全社的な方針として、「まずは70%のロードファクターを確保する」と言及。その上で、日本市場については「流通経路を拡大しなければ販売を拡大することはできない」と語り、就航以来築き上げてきた旅行会社との協調体制を今後も重視、拡大していくことを強調する。すでに8月1日に東京支店も立ち上げており、支店長には航空会社で営業部門の要職を務めた経験を持つ中田茂氏が就任、4名体制で営業を展開する。大阪は片岡氏のほか営業2名、グループコーディネーター3名、アシスタント1名の体制だ。
JQの日本での販売戦略は、LCCとして直販に取り組みつつ、旅行会社を重要な流通経路として捉えていくことに変化はない。現在の直販比率は、関西と中部が15%、成田の現在の予約状況は30%。JQダル・プラ氏は「日本人訪問者数の減少を元に戻し、発展させる方法を考えている」とし、その一つの答えがJQの廉価な運賃であるとの考え。「低価格は団体や若い世代、カップルなど誰にとっても刺激になる」と語る。さらに「複数の選択肢を消費者に提供する」ことも戦略の一つと説明。旅行会社のパッケージ商品では、食事や毛布、エンターテイメント機器など、直販の場合には販売して提供する機内サービスを最初から組み込んでおり、フルサービスキャリアと同等の対応をしている。旅行会社では通常のフルサービスキャリアと変わらない対応をし、レジャーでの別々のニーズの取り込みをはかるねらいだ。
認知度向上を目的とした広告展開も戦略の一つ。就航以来2年連続で約20億円の広告費を投じた大規模な広告キャンペーンを実施しており、今後も「多額の投資を惜しまない」(ダル・プラ氏)方針。広告展開の効果はすでに出はじめ、旅行会社を訪れた消費者が「ジェットスターは安いらしいが、どこに行けるのか」と質問するケースもあり、「JQが選ばれ始めている」(片岡氏)という。
▽デスティネーションに観光客を呼ぶ空港作り
ゴールドコースト空港は、JQのほか、エア・アジアX(D7)、ヴァージン・ブルー(DJ)など、LCCが乗り入れている。ターミナルは平屋で、到着時と出発時には機材とターミナルの間は徒歩で数分移動するのみ。ゴールドコースト空港最高執行責任者のポール・ドノバン氏によると、2010年までに今の面積の2.5倍に拡張される予定だが、搭乗橋を設ける計画はない。これは、設置による費用が航空会社のコスト増につながるためだ。ドノバン氏は、使いやすさは重要としつつも、「旅行者は空港に来たわけではなく、ゴールドコーストに来ている」と語り、旅行者が訪問しやすくなる廉価な運賃を実現することが重要との考えを説明した。一方でJQ就航に合わせて日本人スタッフを4名雇用しており、サービス体制を充実。初便の到着時にも誘導にあたっており、親近感が感じられた。
なお、現在の施設は年間250万人から300万人程度の旅客数を想定しているのに対して現状で500万人を受け入れており、拡張後には750万人から800万人に対応可能な設計とする。チェックインカウンターやセキュリティ、免税店などの数を増やす予定で、ドノバン氏は「旅行者の利便性が格段に向上する」とアピールした。
※訂正、修正案内 本文5段落目を一部、修正しております。(編集部 10月20日 12時00分)
▽日本/オーストラリア間の最大キャリアに
QFの子会社の格安航空会社(LCC)であるJQは、2007年3月25日に関空/ブリスベン/シドニー線、同8月2日には中部/ケアンズ線に相次いで就航、日本に初上陸したLCCとして注目を集めた。JQ日本支社長の片岡優氏によると、2007年度の搭乗率は当初予定の70%強を上回る80%超を記録し、JQとして日本路線を順調な推移と評価している。
こうした中、QFが燃油価格の高騰のあおりを受け世界規模で路線ネットワークを見直し、日本路線も大きな再編の対象となった。QFの路線再編後の日本/オーストラリア路線の便数は、日本航空(JL)の運航するシドニー線とブリスベン線を含めて43便で、QFグループは29便。JQは、そのうち19便を運航することになる。
この日本路線再編についてダル・プラ氏は、「QFがビジネスとプレミアム・レジャー層、JQがレジャーと価格に敏感な客層に焦点をあてる戦略」を背景に、路線ごとの顧客層によって運航する会社を決定した結果と説明する。JQの関空/ブリスベン線は、搭乗者の70%がゴールドコーストに滞在し、レジャー需要が強かった。
▽旅行会社と協調し商品・サービスに幅−投資惜しまずレジャー取り込みへ
JQは日本路線でのレジャー需要を任されたわけだが、ダル・プラ氏は今後の展開について、日本に限らない全社的な方針として、「まずは70%のロードファクターを確保する」と言及。その上で、日本市場については「流通経路を拡大しなければ販売を拡大することはできない」と語り、就航以来築き上げてきた旅行会社との協調体制を今後も重視、拡大していくことを強調する。すでに8月1日に東京支店も立ち上げており、支店長には航空会社で営業部門の要職を務めた経験を持つ中田茂氏が就任、4名体制で営業を展開する。大阪は片岡氏のほか営業2名、グループコーディネーター3名、アシスタント1名の体制だ。
JQの日本での販売戦略は、LCCとして直販に取り組みつつ、旅行会社を重要な流通経路として捉えていくことに変化はない。現在の直販比率は、関西と中部が15%、成田の現在の予約状況は30%。JQダル・プラ氏は「日本人訪問者数の減少を元に戻し、発展させる方法を考えている」とし、その一つの答えがJQの廉価な運賃であるとの考え。「低価格は団体や若い世代、カップルなど誰にとっても刺激になる」と語る。さらに「複数の選択肢を消費者に提供する」ことも戦略の一つと説明。旅行会社のパッケージ商品では、食事や毛布、エンターテイメント機器など、直販の場合には販売して提供する機内サービスを最初から組み込んでおり、フルサービスキャリアと同等の対応をしている。旅行会社では通常のフルサービスキャリアと変わらない対応をし、レジャーでの別々のニーズの取り込みをはかるねらいだ。
認知度向上を目的とした広告展開も戦略の一つ。就航以来2年連続で約20億円の広告費を投じた大規模な広告キャンペーンを実施しており、今後も「多額の投資を惜しまない」(ダル・プラ氏)方針。広告展開の効果はすでに出はじめ、旅行会社を訪れた消費者が「ジェットスターは安いらしいが、どこに行けるのか」と質問するケースもあり、「JQが選ばれ始めている」(片岡氏)という。
▽デスティネーションに観光客を呼ぶ空港作り
ゴールドコースト空港は、JQのほか、エア・アジアX(D7)、ヴァージン・ブルー(DJ)など、LCCが乗り入れている。ターミナルは平屋で、到着時と出発時には機材とターミナルの間は徒歩で数分移動するのみ。ゴールドコースト空港最高執行責任者のポール・ドノバン氏によると、2010年までに今の面積の2.5倍に拡張される予定だが、搭乗橋を設ける計画はない。これは、設置による費用が航空会社のコスト増につながるためだ。ドノバン氏は、使いやすさは重要としつつも、「旅行者は空港に来たわけではなく、ゴールドコーストに来ている」と語り、旅行者が訪問しやすくなる廉価な運賃を実現することが重要との考えを説明した。一方でJQ就航に合わせて日本人スタッフを4名雇用しており、サービス体制を充実。初便の到着時にも誘導にあたっており、親近感が感じられた。
なお、現在の施設は年間250万人から300万人程度の旅客数を想定しているのに対して現状で500万人を受け入れており、拡張後には750万人から800万人に対応可能な設計とする。チェックインカウンターやセキュリティ、免税店などの数を増やす予定で、ドノバン氏は「旅行者の利便性が格段に向上する」とアピールした。
※訂正、修正案内 本文5段落目を一部、修正しております。(編集部 10月20日 12時00分)