フランス、新観光政策を策定し受入体制改善など取組み−新シンボルマークも

  • 2008年10月10日
 フランス政府は先ごろ、新たな観光政策「デスティネーション・フランス2020」を策定した。これについてフランス政府観光局パリ本部事務総長のジャン=ルイ・ペラン氏は、10月9日に開催したワークショップにおいて、「新政策は(観光客誘致の)国際競争の激化やニーズの多様化の中で、観光産業を強化する」と説明した。背景は、2007年に8200万人の外国人観光客を受け入れ、過去15年間にわたり世界一の外国人観光客数を受け入れているものの、観光収入はアメリカとスペインに次いで世界3位、国内総生産に占める観光関連の割合も過去10年間で7.3%から6.3%に縮小していることへのてこ入れを狙う。

 「デスティネーション・フランス2020」は、観光収入の増加を主な目的とし、観光分野での地位の確保、雇用創出をめざすもの。具体的な方策は、外国人観光客の受け入れ体制の改善と各種観光商品の近代化、新しいシンボルマークの作成の3つ。受け入れ体制の改善は、空港や駅への案内所設置、格安航空会社の各地方への路線拡大などのほか、ビザ取得手続きの簡易化により新興市場からの観光客増加もはかる。観光商品の近代化は、例えばホテルの格付け方法を抜本的に見直して新しい評価基準を設定、現在は4ツ星までのところを5ツ星の評価とする。

 シンボルマークは、「フランスが類まれなもの、特別なものを提供してくれるデスティネーション」であり、「旅行者を豊かにし、旅行者を変える旅」が可能であることをアピール。「自由」や「本物」、「官能」といったフランスのイメージが伝わるデザインとした。また、マークの下部には「ランデブー・アン・フランス」と記載しており、ペラン氏は「ランデブーは世界中で理解されている言葉。『ディスカバー』や『出会う』、『いらっしゃい』など様々な意味で使える」と説明する。シンボルマークは今後、フランス政観の本局と世界35ヶ所の支局で一般消費者向けの全ての広報ツールに使用し、パートナー各社との共同広報キャンペーン、パンフレット、ポスター、プロモーション資料などにも掲載していく。


▽日仏交流150周年キャンペーンが「大成功」−来年も路線を継続

 フランス政観広報担当の佐藤由紀子氏によると、日本とフランスの外交樹立150周年を記念して日本政府観光局(JNTO)と共同で実施中の「日本、フランス、こうゆう関係」キャンペーンは「大成功している」という。ペラン氏も「停滞気味の日本市場だが、フランスはヨーロッパの中では堅調に推移している」とキャンペーンの効果を評価する。大々的な広告展開を実施したほか、双方向の需要喚起策であることから、メディアの注目も高く、複数の雑誌から無料で広告スペースの提供を受けることができたという。旅行会社に呼びかけたフランス・モノの記念ツアーも現在までに50コースほど造成されている。こうした取り組みの結果、9月のJATA世界旅行博では第3回JATAツーリズム大賞の観光局部門を受賞している。

 佐藤氏は、「双方向の交流をアピールできたことが良かった」とし、来年も同様の路線を継続するという。キャッチフレーズなどは変更する可能性があるものの、日本とフランスの共通点に着目したビジュアルを作成し、両国の近さをアピールしていく。