エミレーツ航空、東京就航に自信、早期実現の希望をアピール

  • 2008年9月22日
 エミレーツ航空(EK)のコマーシャル・オペレーションズ東アジア、オーストラレーシア地域担当上級副社長リチャード・ヴォーン氏は、来日して開催した記者会見で「東京は極東地域で重要」と述べ、「できるだけ早い時期にサービスを開始したい」と、就航の意思を改めて示した。

 東京就航の鍵は同国への首都圏空港の枠の割り当てだが、8月27日と28日に開催された日本とアラブ首長国連邦との航空協議では合意に至らなかった。しかしヴォーン氏は記者からの質問に答える形で、「15年前から成田への乗り入れを申請しており、日本政府からは他の地域からサポートを、との要望があった」と述べ、2002年に関西、06年に中部に就航した実績を示唆。「来月にも協議を予定しており、権利がもらえると考えている」と自信を示し、「成田で空きがなければ羽田でも」と、東京就航に向けた強い意欲を強調した。就航実現には、現在はオフラインで成田に就航を希望するアブダビのエティハド航空(EY)との折り合いも課題と見られているが、ヴォーン氏は「どの航空会社が成田就航をしようと反対する立場にない。あくまでもEKとして成田に早く乗り入れができるようにお願いするだけだ」と静かに語った。
 
 なお、成田が難しい場合、その他の空港、特に新規開港が予定されている茨城への就航の可能性の質問については、EK日本支社長の中村勝美氏が「就航する空港から成田への接続がないと難しい。出発地の空港で50%、乗継の空港で50%の集客ができることが就航の条件」と、考え方を示した。


▽日本路線好調、ビジネスとレジャーのバランスよく

 EKは20年連続で黒字計上を続けており、特に2007年度は対前年比62%を記録。全世界で2120万人の利用客があった。日本市場の推移も順調で、関空線は年平均の搭乗率が約80%、名古屋線は約70%を維持している。ドバイへの日本人訪問者数はEKが日本に就航した2002年から年平均25%増で成長。2007年は訪問者数が過去最高の約10万人となり、中村氏は「日本市場はEK全体の純利益、旅客数と比例している。EKにとって日本の需要は重要」と強調する。

 中村氏は日本市場の好調の要因を、国内線の移動網の整備とEKのグローバルネットワークの充実によるものと説明。関空線は羽田、福岡、札幌からの日本航空(JL)とのコードシェアによる乗継需要の取り込み、特に関東圏のビジネス旅客とプレミアクラス需要に支えられているとし、関空線の利用客の55%が乗継客、40%がビジネス需要だという。一方、名古屋は東海エリアのレジャー需要が80%だが、EKのドバイ/サンパウロ線就航により、在日ブラジル人需要が増加した。名古屋への関東市場の取り込みに向けてはプレミアクラスの利用客に無料の新幹線チケットを提供。これにより、関東からは関空への空路、および名古屋への陸路の双方で集客できる体制であることをアピールした。


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