現地レポート:マレーシア 修学旅行の注目デスティネーション
修学旅行の注目デスティネーション
クアラルンプールのシティと世界遺産に登録されたマラッカ
マレーシアを訪問する修学旅行者数が順調に推移している。マレーシア政府観光局への問い合わせの件数も年々増え続けており、観光局で発行しているパンフレットも品切れ状態だという。今回はクアラルンプールからマラッカ、そしてジョホールへ抜けるルートを視察した。特にマラッカは先ごろ、マレーシアとしては初めての世界文化遺産に登録されたほか、周辺地域では新しいアクティビティが登場し、修学旅行のデスティネーションとしての優位性が高まっている。(取材協力:マレーシア政府観光局)
クアラルンプール、自然と文化を学ぶ多彩なアクティビティ
今回の視察の始点はクアラルンプール。マレーシアの首都であり、近郊の近未来都市プトラジャヤの近代的な都市や学校交流など、修学旅行の素材の多い都市だ。なかでも今回は、大都市でありながら気軽に自然体験ができるという、マレーシア森林研究所「FRIM」のアクティビティを視察。
1926年に設立されたFRIMは、街の中心地から車で30分程度の場所にありながら、トレッキングコースやキャノピーウォーク(つり橋)、キャンプ地が整備され、本格的に自然が体験ができる施設だ。トロピカルフルーツが木に実っている様子や、鳥の声やせわしく動き回る虫の羽音を聞きながら、ガイドの説明に耳を傾ける。地元の学生も先生とともに遠足にやってきており、教育素材として最適であることがうかがえる。通常、20名から40名のグループにつき1人のガイドがつき、植物や動物について丁寧に英語で説明してくれる。FRIMではガイドの手配について、特に予約は必要ないとはいうが、確実に確保したい場合は事前予約をする方が無難だ。
また、クアラルンプール郊外のアクティビティとして、ヒンドゥー教徒の聖地「バトゥ洞窟」も知られている。市街から車で20分程度の場所にあり、午前中に森林研究所見学をしてからも十分に余裕のあるスケジューリングが可能だ。マレーシアはイスラム教徒が多数であるとはいえ、仏教徒、ヒンドゥー教徒、キリスト教徒もいて、立派なモスクや寺院が同じ町に共存している様子は、宗教感の問題がしばし報道される世界状況において、マレーシアの平和な姿を垣間見るようである。
マラッカ、“世界文化遺産”の街と文化体験の新アクティビティ
クアラルンプールから車で2時間ほど南下する距離にあり、日帰り旅行も可能なマラッカ。先ごろ、マラッカはペナン島のジョージタウンとともに、世界文化遺産に登録され、デスティネーションとしての価値が高まった。マラッカ海峡における東西貿易の交易点として500年以上にわたって繁栄し、マラッカ王国とポルトガル、オランダなどの支配の歴史を経て、各国が融合した文化的な街並みを構成していることが高く評価された。街を歩けば石畳やオランダ風の赤い建物が残り、そうかと思えば入り口に中国風の装飾が施してあったりと、異国情緒あふれる町はただ散策するだけでもおもしろい。
マラッカではぜひ、郊外の「マレーシア民族村(Taman Mini Malaysia & Mini Asean)」へ出かけたい。展示物として建てられている13のマレーシア各州の伝統様式の家屋を整備し、6月から実際に宿泊することができるようになったのだ。少数民族の生活をそのまま体験できるアクティビティが楽しめる。宿泊者が伝統的な生活様式で過ごせるよう、1つの家につき従業員2名が住み込み、食事も準備。ダンスや工芸品の作り方をも教えてくれる。
このほか、260人を収容できる宿泊施設と50のシャレーがあり、小さいもののスイミングプールも設置されていた。戸建ての家に多数の2段ベッドを収容した寮のようなつくりの宿泊施設も準備中だ。また、アクティビティでは、民族の伝統家屋での生活体験だけでなく、敷地内では乗馬やアスレチックなど多種類を用意しており、自由にプログラムを組むことが可能。早速、今夏には韓国の学生が、英語の教師とともに英語学習と文化体験を組み合わせて滞在するプログラムが予定されているという。
ジョホール、カンポン・ステイとユーラシア大陸最南端へ
マラッカからさらに2時間ほど南下し、今度はマレーシア最南端の州、ジョホールへ。この周辺には少数民族の村にホームステイができる「カンポン・ステイ」の村がある。カンポン・ステイは最近、マレーシアでの修学旅行で特に人気を集めている素材だ。
コタ・ティンギ市テメニン・バル村はマレーの人々が暮らす集落で、600軒がひしめくように建てられている。訪れると、まずは音楽や子どもたちのダンスで歓迎される。今回は短時間の訪問であったため、民芸品の制作風景を眺めたり、ココナッツオイルの作り方を眺めたりといった見学がメインのアクティビティであったが、滞在すれば家族とともに食事をしたり、フルーツを採りに行ったりと、マレーシアらしい生活体験ができるという。採れたてのバナナをいただいたが、木に実った状態で黄色く熟れたバナナは、日本で買うものとはまったく異なり、風味豊かな味わいだ。
また、南部まで来たら少々距離があるが、マラッカ海峡とジョホール海峡の交差する岬「タンジュン・ピアイ」まで足を伸ばしてみたい。ここはユーラシア大陸最南端の場所だ。
ビジターセンターを通って中に入ると、渡り廊下のように延々と続く散策ルートがある。まっすぐに進むとマラッカ海峡へ、左に曲がって進むとユーラシア大陸最南端地点まで歩いて行ける。どちらも所要時間は10分から15分程度で、途中マングローブの中にサルや鳥などを見られて楽しい。同時に、マングローブ林の方に海面を浮遊するゴミが押し寄せる様子も見られ、環境保護に対する意識が高まる。
ここからジョホール州の州都であるジョホール・バルまでは車で2時間ほど。少々距離があるが、今回はジョホールで1泊するスケジュールだったので、余裕を感じられた。夜のフライトでジョホールのセナイ空港からクアラルンプールへ行き、帰国の途となったが、もしくはそのままシンガポールへ抜けて日本に帰国するというルートも効率がいい。
クアラルンプールのシティと世界遺産に登録されたマラッカ
マレーシアを訪問する修学旅行者数が順調に推移している。マレーシア政府観光局への問い合わせの件数も年々増え続けており、観光局で発行しているパンフレットも品切れ状態だという。今回はクアラルンプールからマラッカ、そしてジョホールへ抜けるルートを視察した。特にマラッカは先ごろ、マレーシアとしては初めての世界文化遺産に登録されたほか、周辺地域では新しいアクティビティが登場し、修学旅行のデスティネーションとしての優位性が高まっている。(取材協力:マレーシア政府観光局)
クアラルンプール、自然と文化を学ぶ多彩なアクティビティ
今回の視察の始点はクアラルンプール。マレーシアの首都であり、近郊の近未来都市プトラジャヤの近代的な都市や学校交流など、修学旅行の素材の多い都市だ。なかでも今回は、大都市でありながら気軽に自然体験ができるという、マレーシア森林研究所「FRIM」のアクティビティを視察。
1926年に設立されたFRIMは、街の中心地から車で30分程度の場所にありながら、トレッキングコースやキャノピーウォーク(つり橋)、キャンプ地が整備され、本格的に自然が体験ができる施設だ。トロピカルフルーツが木に実っている様子や、鳥の声やせわしく動き回る虫の羽音を聞きながら、ガイドの説明に耳を傾ける。地元の学生も先生とともに遠足にやってきており、教育素材として最適であることがうかがえる。通常、20名から40名のグループにつき1人のガイドがつき、植物や動物について丁寧に英語で説明してくれる。FRIMではガイドの手配について、特に予約は必要ないとはいうが、確実に確保したい場合は事前予約をする方が無難だ。
また、クアラルンプール郊外のアクティビティとして、ヒンドゥー教徒の聖地「バトゥ洞窟」も知られている。市街から車で20分程度の場所にあり、午前中に森林研究所見学をしてからも十分に余裕のあるスケジューリングが可能だ。マレーシアはイスラム教徒が多数であるとはいえ、仏教徒、ヒンドゥー教徒、キリスト教徒もいて、立派なモスクや寺院が同じ町に共存している様子は、宗教感の問題がしばし報道される世界状況において、マレーシアの平和な姿を垣間見るようである。
マラッカ、“世界文化遺産”の街と文化体験の新アクティビティ
クアラルンプールから車で2時間ほど南下する距離にあり、日帰り旅行も可能なマラッカ。先ごろ、マラッカはペナン島のジョージタウンとともに、世界文化遺産に登録され、デスティネーションとしての価値が高まった。マラッカ海峡における東西貿易の交易点として500年以上にわたって繁栄し、マラッカ王国とポルトガル、オランダなどの支配の歴史を経て、各国が融合した文化的な街並みを構成していることが高く評価された。街を歩けば石畳やオランダ風の赤い建物が残り、そうかと思えば入り口に中国風の装飾が施してあったりと、異国情緒あふれる町はただ散策するだけでもおもしろい。
マラッカではぜひ、郊外の「マレーシア民族村(Taman Mini Malaysia & Mini Asean)」へ出かけたい。展示物として建てられている13のマレーシア各州の伝統様式の家屋を整備し、6月から実際に宿泊することができるようになったのだ。少数民族の生活をそのまま体験できるアクティビティが楽しめる。宿泊者が伝統的な生活様式で過ごせるよう、1つの家につき従業員2名が住み込み、食事も準備。ダンスや工芸品の作り方をも教えてくれる。
このほか、260人を収容できる宿泊施設と50のシャレーがあり、小さいもののスイミングプールも設置されていた。戸建ての家に多数の2段ベッドを収容した寮のようなつくりの宿泊施設も準備中だ。また、アクティビティでは、民族の伝統家屋での生活体験だけでなく、敷地内では乗馬やアスレチックなど多種類を用意しており、自由にプログラムを組むことが可能。早速、今夏には韓国の学生が、英語の教師とともに英語学習と文化体験を組み合わせて滞在するプログラムが予定されているという。
ジョホール、カンポン・ステイとユーラシア大陸最南端へ
マラッカからさらに2時間ほど南下し、今度はマレーシア最南端の州、ジョホールへ。この周辺には少数民族の村にホームステイができる「カンポン・ステイ」の村がある。カンポン・ステイは最近、マレーシアでの修学旅行で特に人気を集めている素材だ。
コタ・ティンギ市テメニン・バル村はマレーの人々が暮らす集落で、600軒がひしめくように建てられている。訪れると、まずは音楽や子どもたちのダンスで歓迎される。今回は短時間の訪問であったため、民芸品の制作風景を眺めたり、ココナッツオイルの作り方を眺めたりといった見学がメインのアクティビティであったが、滞在すれば家族とともに食事をしたり、フルーツを採りに行ったりと、マレーシアらしい生活体験ができるという。採れたてのバナナをいただいたが、木に実った状態で黄色く熟れたバナナは、日本で買うものとはまったく異なり、風味豊かな味わいだ。
また、南部まで来たら少々距離があるが、マラッカ海峡とジョホール海峡の交差する岬「タンジュン・ピアイ」まで足を伸ばしてみたい。ここはユーラシア大陸最南端の場所だ。
ビジターセンターを通って中に入ると、渡り廊下のように延々と続く散策ルートがある。まっすぐに進むとマラッカ海峡へ、左に曲がって進むとユーラシア大陸最南端地点まで歩いて行ける。どちらも所要時間は10分から15分程度で、途中マングローブの中にサルや鳥などを見られて楽しい。同時に、マングローブ林の方に海面を浮遊するゴミが押し寄せる様子も見られ、環境保護に対する意識が高まる。
ここからジョホール州の州都であるジョホール・バルまでは車で2時間ほど。少々距離があるが、今回はジョホールで1泊するスケジュールだったので、余裕を感じられた。夜のフライトでジョホールのセナイ空港からクアラルンプールへ行き、帰国の途となったが、もしくはそのままシンガポールへ抜けて日本に帰国するというルートも効率がいい。
語学力の高いマレーシアの人々
マレーシアでは「自然」や「歴史」といったキーワー
ドの旅に加え、多様な民族が共生する文化を目の当たり
にし、かつ触れるができる。例えば言語。マレーシアの
国語はマレー語だが、マレーシア国内には大きくわけて
3つの民族が住んでおり、それぞれが独自言語を持ってい
る。現地では同じ民族同士ではそれぞれの言語で話すも
のの、一般的には共通言語であるマレー語のほかに、英
語を使用している様子を目にする。マレー語、独自言語
に加え英語と3つの言語を日常的に話すことができる人が
相当数いるわけで、その語学力に驚かされる。多民族国
家ならではの光景だ。また、語学学習の点を考えると、
英語を話す機会があることもメリットの一つといえるだ
ろう。