現地レポート:ヨーロッパ・アルペンルート

  • 2008年7月10日
アルペンルートだから際立つ、幾多の表情
〜人気のヨーロッパ・アルプスで新商品の可能性〜


 2006年にドイツ観光局、オーストリア政府観光局、スイス政府観光局が発表した3国共同プロモーション「ヨーロッパ・アルペンルート」。各国の国境にまたがるアルプス山脈の自然景観を共通テーマとし、ハードな山登りばかりでなく列車や乗り物を利用して気軽に大自然を体感できる新しい観光ルートだ。もうひとつの魅力は、共通テーマで旅をしながらも、3ヶ国の変化に富んだ食、文化、ショッピングに出会うことができること。こうした魅力を体感するには、現地ガイドの案内や、列車の旅を誘導する添乗員付きの企画商品がのぞましい。すでに、ホールセーラーによる商品化は進行しているが、認知度はまだ高いといえる段階にない。今後、各観光局はメディアへの露出や旅行会社、消費者への情報提供を強化して、販売促進のプロモーションを強化していく考えだ。今日から連載で、各国のアルペンルートの魅力を伝える。(取材協力:ルフトハンザ・ドイツ航空、スイス・インターナショナル・エアライン、ドイツ観光局、オーストリア政府観光局、スイス政府観光局、レイルヨーロッパ)


アルプス・アルペンルートの可能性

 各観光局が掲げるターゲット層は、団塊世代のヨーロッパ旅行のリピーター層、中高年の女性グループがメイン。ただし、実際にこのルートを巡ってみると、まだ多くの可能性を秘めていることを実感した。たとえば、気軽にアルペンの自然に触れることができる点では、ヨーロッパ・アルプスのイントロダクションとして、初めてヨーロッパを訪れる自然志向の旅行者にも紹介できるだろう。また、アルプスの山並みにそった風光明媚なルートを移動することから、移動そのものを目的の一つとする列車の旅の魅力を伝えることも可能だ。

 一ついえることは、現地に行けば満足度が高いツアーとなることは間違いないが、「アルプス」だけに注視しては集客に不安が残る。なぜなら、アルプスはスイス、オーストリア、リヒテンシュタイン、ドイツ、フランス、イタリア、スロベニアに広がるが、日本人にとっては国土の6割がアルプスであるスイスが定番となっているからだ。「アルプス」の言葉だけでこのルートを紹介すれば、その魅力が伝わらないまま、意図した集客ができない可能性もある。

 そのため、このルートを販売する上で大事なことは、「何が体験できるのか」、「3つの国を巡るからこその魅力」、「気軽さ」を丁寧に伝えること。そして、緑あふれる春夏、山並みが黄葉に包まれる秋、クリスマス・マーケットや雪が美しい冬など季節ごとの特徴や、小さな村や町の魅力、豊かな自然や体験型の各種アクティビティをしっかり伝えたい。店頭のセールスでも、商品パンフレットの紙面上でも、明確に打ち出す内容によって販売状況は大きくかわるだろう。3ヶ国のそれぞれの見どころを辿ってみた。




ドイツ編:大自然へのプロローグ、ミュンヘンとドイツアルプスの美しさが凝縮されたベルヒテスガーデン(2008/07/10)

オーストリア編:オーストリア・アルプスの手付かずの自然と、歴史と文化、自然が融合したチロル州(2008/07/11)

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