現地レポート:ブラジル 人気3都市を巡る旅
KE利用でより近くなったブラジルへ
人気3都市を巡る旅
6月2日に7年ぶりに復活した大韓航空のサンパウロ線。経由地のロサンゼルスの乗り継ぎ時間が約4時間という短さから、アジア発の路線では、他社と比べても短い時間で、地球の裏側の現地まで到着できるようになった。少し“近く”なったブラジル。大韓航空の便を利用して、ブラジルの人気3都市を5日間で巡った一部を紹介する。(取材協力:ブラジル観光省、メルコスール日本語サイト、大韓航空)
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◆取材ノート:大韓航空、サンパウロ線が復活、南米とアジアを結ぶルートの大幅拡大に期待(2008/07/08)
商業の街サンパウロ−和食をはじめ移民文化の体験でひとやすみ
国際線の玄関口であるサンパウロは、立ち並ぶビルの合間を車がひしめきあう活力ある商業の街だ。KE061便が、サンパウロのガリューリョス国際空港に到着するのは午前11時。案内をしてくれたガイドによると、日本からの観光客は午前中に到着し、サンパウロ市内を観光。その後、人気の観光地であるイグアス、リオ・デ・ジャネイロに空路で移動するという。フライト時間の都合によっては、サンパウロでの観光をすることなく次の都市への移動となるが、24時間あまりのロングフライトの後である。特に熟年層向けのツアーの場合は、ここで休憩する意味をこめて、ゆったりとした観光やホテル滞在などで一息入れたい。
サンパウロの見どころは十分にある。目玉はやはり、東洋人街のリベルダージ。ここはただ車で通過するだけでは単なる道路に過ぎないが、日本人が経営するお店をのぞいてみたり、ブラジルに根付いた日本料理を味わってみて、初めてこの街の良さを実感できるるので、少しぶらぶらと歩き回る時間を確保したいところだ。
また、パウリスタ大通りにはブラジル人デザイナーによるブラジル・ファッションの店が多く入居したショッピングセンターがあり、イギリスが建てたという駅舎の残るサンパウロ駅、東京ドーム数個分はあるという広大な森林公園も散策には良いだろう。また、移民モニュメントや世界初の航空機の模型(実は世界初の航空機の発明はブラジル人である、とも言われている)、カトリック教会や戦前に建てられた鉄橋など、シティ・ツアーの見どころは事欠かない。
日系移民の多いサンパウロで、和食をいただくスケジュールを組むこともお薦め。ただし、イタリア系の移民も日系以上に多く、サンパウロの名物料理としてピザが根付いている。ピッツェリアの数は6000にものぼるといい、移民文化体験のひとつとして人気のピザ屋に行くというのも、ブラジルらしいアクティビティだろう。
なお、ガリューリョス空港から国内線が発着するコンゴーニャス空港まで、約32キロメートルと距離はそれほど離れていない。ただし、電車はなく、両空港間をつなぐ公共の交通機関はシャトルバスのみ。渋滞を考慮すると通常は約1時間以上を移動時間として計算したほうが良いだろう。
間近で見る迫力−世界三大瀑布の「イグアスの滝」
アルゼンチンとパラグアイの国境の街、フォス・ド・イグアスまではサンパウロから空路で2時間弱。観光のハイライトの一つとなるイグアスの滝のある国立公園まで、空港から約30分で到着する。
今回は、空港から約1時間のところにある世界最大のダムのイタイプダムを訪れた。中国の三峡ダムが完成すれば「最大」の地位を譲ることになるが、水量、発電量は依然として世界一を誇る。パラグアイとブラジルの共同運営のため、どちらの国からも見学ができる。ツアーの内容、見る内容そのものは、どちらの国のツアーでもほぼ同じ。まずは、イタイプダムのできるまでの紹介と付近の環境に関するVTRを鑑賞し、歴史や周辺についての知識を得てから、英語ガイド付きのバスに乗り込んでツアーが始まる。発電所内は自由に動けるが、屋外はブラジル側から見学を始めた場合、パラグアイ側の土地に降車することはできない。ダムの規模が大きいことから、ツアーの所要時間は2時間以上かかる。
多くの場合は1泊し、翌朝から滝へ出かけるのが一般的なプランだ。ブラジル側の国立公園内にある唯一のホテルである「ダス・カタラタス」に宿泊。ホテル正面の入り口付近では滝の音が聞こえ、夜間でも月明かりがあれば、夜のとばりに白く滝が浮かび上がって見える絶景を見ることができる。室内から滝が見える部屋は数部屋しかないが、イグアスを訪れたならば、ぜひ夜の滝が見られるような手配をしたいものだ。
翌日は滝を遠景に眺めつつ、野生のアライグマの歓迎を受けて歩道を進んでいくと徐々に滝が大きく見え始める。滝の全景を見渡せるのはアルゼンチン側からだが、このルートでは3つに分かれた巨大な滝のひとつひとつをじっくり眺めることができる。散策中に珍しい植物や鳥と遭遇するのも楽しみのひとつである。
滝の水量には季節はほとんど関係ないというものの、訪れた日は雨が降り、レインコートが必要なほどの水しぶきであった。6月から9月までの冬場は冷え込むため、レインコートは持参したい。特に、風もあり、しぶきを巻き上げるので、傘だけではたりないからだ。レインコートは売店でも買え、滝の近くに物売りもいるが、事前準備をしておきたい。
国内の移動ではあるが、サンパウロからイグアスまではガリューリョスからの発着便も多く、たとえばサンパウロに到着して同日にイグアスに移動することも可能だ。日本人旅行者の場合、ほとんどがイグアスで1泊して翌日に滝を見学し、その足で別の都市に移動するそうだが、洋服が濡れるので寒い季節にはどこかで着替えたり、シャワーを浴びることができれば親切だろう。
リゾートと都会の二面性、リオ・デ・ジャ・ネイロ−2014年のW杯決勝地としても注目
リオ・デ・ジャネイロは2月のカーニバルのシーズンはもちろん、一年を通じて観光客が訪れる世界的に有名なビーチリゾートでもある。この見どころは、30メートルの高さで両腕を広げた巨大なキリスト像が立つコルコバートの丘。このほど、新しくうたわれるようになった「近代版・世界七不思議」のひとつにも数えられ、リオで必ず訪れてほしい名所だ。ケーブルカーで斜面を登る途中にはブラジルのフルーツなどが植えられ、季節によっては実をつけている様子も見られる。また、開けた場所からはリオの町並みを一望することができ、楽しいひと時を過ごすことができる。訪れた日は霧がかかっていたが、キリスト像の足元からは、リオの町並みも一望することができるという。
これ以外にも、世界最大級のサッカースタジアムで、サッカーファンなら誰しも聖地のようにあがめるマラカナン・スタジアムもある。スタジアムの入り口には、往年の名選手たちの足型とサインが敷き詰められ、トレーニングルームやシャワールームなどを見学することができる。選手が登場する出入り口からピッチに出ることができ、9万5000席もある観客席を見渡すことができる。リオの観光地としては3番目に人気の高い場所で、2014年のワールドカップ決勝戦の開催地に決定しており、今後はより多くの観光客が見込めそうだ。
駆け足で人気の3都市を巡ったが、ブラジル観光省の調べによると、レジャーでブラジルを訪れた観光客の平均滞在日数は14.3日。日本から24時間以上かけて訪れるからには、より多くの場所を訪れ、見学したいという欲がある。満足いく旅行を実現するためには、2週間は欲しいということだろう。
人気3都市を巡る旅
6月2日に7年ぶりに復活した大韓航空のサンパウロ線。経由地のロサンゼルスの乗り継ぎ時間が約4時間という短さから、アジア発の路線では、他社と比べても短い時間で、地球の裏側の現地まで到着できるようになった。少し“近く”なったブラジル。大韓航空の便を利用して、ブラジルの人気3都市を5日間で巡った一部を紹介する。(取材協力:ブラジル観光省、メルコスール日本語サイト、大韓航空)
▽関連記事
◆取材ノート:大韓航空、サンパウロ線が復活、南米とアジアを結ぶルートの大幅拡大に期待(2008/07/08)
商業の街サンパウロ−和食をはじめ移民文化の体験でひとやすみ
国際線の玄関口であるサンパウロは、立ち並ぶビルの合間を車がひしめきあう活力ある商業の街だ。KE061便が、サンパウロのガリューリョス国際空港に到着するのは午前11時。案内をしてくれたガイドによると、日本からの観光客は午前中に到着し、サンパウロ市内を観光。その後、人気の観光地であるイグアス、リオ・デ・ジャネイロに空路で移動するという。フライト時間の都合によっては、サンパウロでの観光をすることなく次の都市への移動となるが、24時間あまりのロングフライトの後である。特に熟年層向けのツアーの場合は、ここで休憩する意味をこめて、ゆったりとした観光やホテル滞在などで一息入れたい。
サンパウロの見どころは十分にある。目玉はやはり、東洋人街のリベルダージ。ここはただ車で通過するだけでは単なる道路に過ぎないが、日本人が経営するお店をのぞいてみたり、ブラジルに根付いた日本料理を味わってみて、初めてこの街の良さを実感できるるので、少しぶらぶらと歩き回る時間を確保したいところだ。
また、パウリスタ大通りにはブラジル人デザイナーによるブラジル・ファッションの店が多く入居したショッピングセンターがあり、イギリスが建てたという駅舎の残るサンパウロ駅、東京ドーム数個分はあるという広大な森林公園も散策には良いだろう。また、移民モニュメントや世界初の航空機の模型(実は世界初の航空機の発明はブラジル人である、とも言われている)、カトリック教会や戦前に建てられた鉄橋など、シティ・ツアーの見どころは事欠かない。
日系移民の多いサンパウロで、和食をいただくスケジュールを組むこともお薦め。ただし、イタリア系の移民も日系以上に多く、サンパウロの名物料理としてピザが根付いている。ピッツェリアの数は6000にものぼるといい、移民文化体験のひとつとして人気のピザ屋に行くというのも、ブラジルらしいアクティビティだろう。
なお、ガリューリョス空港から国内線が発着するコンゴーニャス空港まで、約32キロメートルと距離はそれほど離れていない。ただし、電車はなく、両空港間をつなぐ公共の交通機関はシャトルバスのみ。渋滞を考慮すると通常は約1時間以上を移動時間として計算したほうが良いだろう。
間近で見る迫力−世界三大瀑布の「イグアスの滝」
アルゼンチンとパラグアイの国境の街、フォス・ド・イグアスまではサンパウロから空路で2時間弱。観光のハイライトの一つとなるイグアスの滝のある国立公園まで、空港から約30分で到着する。
今回は、空港から約1時間のところにある世界最大のダムのイタイプダムを訪れた。中国の三峡ダムが完成すれば「最大」の地位を譲ることになるが、水量、発電量は依然として世界一を誇る。パラグアイとブラジルの共同運営のため、どちらの国からも見学ができる。ツアーの内容、見る内容そのものは、どちらの国のツアーでもほぼ同じ。まずは、イタイプダムのできるまでの紹介と付近の環境に関するVTRを鑑賞し、歴史や周辺についての知識を得てから、英語ガイド付きのバスに乗り込んでツアーが始まる。発電所内は自由に動けるが、屋外はブラジル側から見学を始めた場合、パラグアイ側の土地に降車することはできない。ダムの規模が大きいことから、ツアーの所要時間は2時間以上かかる。
多くの場合は1泊し、翌朝から滝へ出かけるのが一般的なプランだ。ブラジル側の国立公園内にある唯一のホテルである「ダス・カタラタス」に宿泊。ホテル正面の入り口付近では滝の音が聞こえ、夜間でも月明かりがあれば、夜のとばりに白く滝が浮かび上がって見える絶景を見ることができる。室内から滝が見える部屋は数部屋しかないが、イグアスを訪れたならば、ぜひ夜の滝が見られるような手配をしたいものだ。
翌日は滝を遠景に眺めつつ、野生のアライグマの歓迎を受けて歩道を進んでいくと徐々に滝が大きく見え始める。滝の全景を見渡せるのはアルゼンチン側からだが、このルートでは3つに分かれた巨大な滝のひとつひとつをじっくり眺めることができる。散策中に珍しい植物や鳥と遭遇するのも楽しみのひとつである。
滝の水量には季節はほとんど関係ないというものの、訪れた日は雨が降り、レインコートが必要なほどの水しぶきであった。6月から9月までの冬場は冷え込むため、レインコートは持参したい。特に、風もあり、しぶきを巻き上げるので、傘だけではたりないからだ。レインコートは売店でも買え、滝の近くに物売りもいるが、事前準備をしておきたい。
国内の移動ではあるが、サンパウロからイグアスまではガリューリョスからの発着便も多く、たとえばサンパウロに到着して同日にイグアスに移動することも可能だ。日本人旅行者の場合、ほとんどがイグアスで1泊して翌日に滝を見学し、その足で別の都市に移動するそうだが、洋服が濡れるので寒い季節にはどこかで着替えたり、シャワーを浴びることができれば親切だろう。
リゾートと都会の二面性、リオ・デ・ジャ・ネイロ−2014年のW杯決勝地としても注目
リオ・デ・ジャネイロは2月のカーニバルのシーズンはもちろん、一年を通じて観光客が訪れる世界的に有名なビーチリゾートでもある。この見どころは、30メートルの高さで両腕を広げた巨大なキリスト像が立つコルコバートの丘。このほど、新しくうたわれるようになった「近代版・世界七不思議」のひとつにも数えられ、リオで必ず訪れてほしい名所だ。ケーブルカーで斜面を登る途中にはブラジルのフルーツなどが植えられ、季節によっては実をつけている様子も見られる。また、開けた場所からはリオの町並みを一望することができ、楽しいひと時を過ごすことができる。訪れた日は霧がかかっていたが、キリスト像の足元からは、リオの町並みも一望することができるという。
これ以外にも、世界最大級のサッカースタジアムで、サッカーファンなら誰しも聖地のようにあがめるマラカナン・スタジアムもある。スタジアムの入り口には、往年の名選手たちの足型とサインが敷き詰められ、トレーニングルームやシャワールームなどを見学することができる。選手が登場する出入り口からピッチに出ることができ、9万5000席もある観客席を見渡すことができる。リオの観光地としては3番目に人気の高い場所で、2014年のワールドカップ決勝戦の開催地に決定しており、今後はより多くの観光客が見込めそうだ。
駆け足で人気の3都市を巡ったが、ブラジル観光省の調べによると、レジャーでブラジルを訪れた観光客の平均滞在日数は14.3日。日本から24時間以上かけて訪れるからには、より多くの場所を訪れ、見学したいという欲がある。満足いく旅行を実現するためには、2週間は欲しいということだろう。
サンパウロで旅行博開催−ブラジル旅行の指針に
ブラジル観光省は6月18日から22日までの4日間、サンパウ
ロ市外地でブラジル旅行博が開催した。隔年開催の旅行博
で、今年は3回目。広大なイベント会場アニェンビーにブラ
ジル27州のブースが設置され、スチール写真の展示やパン
フレットの配布、工芸品制作の実演販売など、日本でいう
とJATA旅行博のような雰囲気だ。民族衣装に身を包んだ女
性からミサンガを腕に巻いてもらう、あるいは生きた大蛇
に触らせてもらうなど、訪れた人たちを楽しませる趣向も
凝っている。また、各州の名物料理が一堂に会したフード
コートもあり、格安でいろいろな食を試すことができる。
イタリア移民の多いサンパウロ州の名物料理のピザであっ
たり、聞いたこともないアマゾンの魚料理など、日本でい
ただく「ブラジル料理」とはまるで異なる食の体験は興味
深いもの。
ガイドの話によるとこのところは恒例イベントとなって
いるが、開催年も会場も未定という。ただし、年々、人気
が高まり、次回も2年後に開催される見通しだ。
なお、今年は隣の会場でブラジル日本移民100周年記念イ
ベントが多数開催されており、こちらも一緒に見学した。
「ブラジルから見た日本文化」は若者に人気のファッショ
ンがトップモードのように紹介されていた。そのほか、世
界各地で人気のアニメやキャラクターグッズなど、ブラジ
ルでも人気を博しており、こちらも興味深い展示であった。