マリオット、長期的視野でビジネス展開−需要停滞期こそ強固な関係築く機会

  • 2008年6月4日
(ラスベガス発 鈴木次郎) マリオット・インターナショナル副社長アジア地区グローバルセールスの大隅ヴィクター氏は、「ビジネスはのぼり調子と下り調子の波がある。中国、インドでホテル展開を積極化しているが、長期的な視野ではアメリカへの訪問を期待している」とし、マリオットとして需要低迷期にも、市場と積極的な関係を構築することにより、需要の摘み取り、経営の基礎固めを進める考えを示した。マリオット・インターナショナルCEOのJ.W.マリオット氏がアメリカ経済の低迷にともない、需要が弱ぶくみの推移となる予測にもかかわらず、ホテルビジネスは堅調との考え方を示したことに応えた。

 特にマリオットがグループとして注力するのは、「コートヤード」ブランドの認知拡大だ。日本では先ごろ、銀座でルネッサンス東京ホテル銀座東武を「コートヤード・バイ・マリオット東京銀座ホテル」とリブランドしたほか、香港、バンコク、プーケットに展開。マリオットの社内では高級ブランドのJWマリオットにかけて「JWコートヤード」と呼ぶほど、従来のコートヤードと比べ、高い質のサービスを提供している。

 コートヤードは、20代から30代のエグゼクティブ、ディレクターを意識した戦略をたてている。こうした層が客室に入った後、5分以内に机にPCを置き、仕事に向かうという調査結果を踏まえ、北米ではインターネットを無料化するほか、館内での食事は朝食やコーヒーなどの簡素化にも取り組み、1980年代にコートヤード・ブランドを設立した原点に立ち返っている。このブランドの顧客となれば、将来的にはマリオット、JWマリオット、リッツなど、マリオットの各種グループの顧客となる可能性も秘めており、より良いサービスの提供と長期的な視野に立った取り組みを念頭においているという。

 また、市場との関係構築も長期的な視野から手がけており、マリオットの独自業界向けトレーニングプログラム「ホテル・エクセレンス」の保持者はアジア全体で2500名、このうち日本は1300名で、日本市場が半数超を占めている。この保持者は、プログラムによるマリオットの情報提供とともに、コミッション10%(通常は8%)、各種の情報提供の継続などのメリットがあり、次第に認知が高まりつつある。こうした視点から、継続的な取り組みを続けることで需要の波に左右されない営業活動を展開していくという。