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現地レポート、ヨーロッパ鉄道旅行−TGV東線、ユーロスター、タリス

  • 2008年2月8日
ヨーロッパ鉄道旅行に新デスティネーション
新路線開通や車両のファシリティも多様に


2007年はヨーロッパの鉄道において、6月にTGV東ヨーロッパ線の開通、11月にユーロスターのセントパンクラス駅のオープンなど、ハード面で大規模な変革のあった年だ。これにより、ネットワークが拡充。鉄道旅行の新デスティネーションが登場し、各都市へのアクセスの利便性が向上されたほか、鉄道を使った新しい旅行スタイルも生まれつつある。これにあわせ、レイルヨーロッパはTGV東ヨーロッパのセントパンクラス駅の視察を目的にFAMツアーを実施。現地で目の当たりにした、最新の鉄道旅行を紹介しよう。
(取材協力:レイルヨーロッパ、ヴァージン アトランティック航空)


パリ発フランス東部へ、1泊2日、日帰り旅行が可能に

 フランス国鉄のTGV東ヨーロッパ線が注目された理由は、それまでローカル線の路線しかなかったパリからナンシー、ストラスブールなどフランス東部へのアクセスが、大幅に高速化されたことにある。ストラスブールは、世界遺産のノートルダム大聖堂や、アルザス地方の伝統的な街並みを残す地域「プティット・フランス」、季節限定だがフランス最古といわれるクリスマスマーケットがある。また、ナンシーは「アール・ヌーヴォーの発祥地」と言われ、これらはパッケージツアーにも組み込まれるほど、日本人に人気のあるデスティネーションだ。

 パリ/ストラスブール間の所要時間は2時間17分で、新幹線のぞみでの東京/京都間の距離感に似ている。これなら確かにパリを基点にした1泊2日や日帰り旅行も可能だ。実際、FAMツアーが12月の初旬だったこともあり、車内ではクリスマス市を目当てに出かけたと見られる若者のグループや家族連れ、シニア層の旅行客が多かった。これが従来、3時間55分であったことを聞くと、たとえ魅力的な観光スポットであっても、時間と体力を考慮して観光を断念するFITが多かったことがうなずける。

 ストラスブールの駅は街の中心街からほど近く、大聖堂やプティット・フランスなどの名所も徒歩圏内で、小旅行にはぴったり。駅構内の1番線ホームにはスーツケースなどの荷物が預けられるロッカーが112個あり、軽装で散策できる設備が整っているのも、小旅行を堪能できた理由のひとつだろう。ロッカーを利用するにはまず、セキュリティで荷物をチェック。その後、ロッカーに荷物を入れ、備え付けの機械にお金をいれると、カギ代わりのチケットが出てくる。荷物を出す際はそのチケットを機械に挿入すると、ロッカーの扉が自動的に開くという仕組みだ。料金はサイズによって異なり、大サイズのロッカーが8.5ユーロ、中で6.5ユーロ、小で4ユーロ。この金額で最大72時間まで預けられる。

 また、車両そのものも注目だ。斬新なデザインも印象的だが、快適に旅行するための設備が整備されている。特に車内の荷物置場が充実しており、1等車は車両端の荷物置き場のほか、頭上の荷物棚が2段に。2等車には各車両の両端に加え中央部の左右にも荷物置き場が設置されおり、グループでの利用でも十分に間に合うだろう。2等車にはガラスで仕切られたファミリールームもあり、予約すれば無料で利用できる。また、「オフィスラウンジ」と名づけられた4ヶ所のラウンジには電源コンセントがあり、パソコンの使用も可能だ。



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現地最新情報、ストラスブールとモントルーのクリスマスマーケット(2007/12/19)


鉄道旅行の一大ハブ・パリ
大都市を基点としたヨーロッパ旅行の可能性も


 パリでは方面別に利用する駅が異なり、TGV東線はパリ市内の東駅をターミナル駅としている。東駅の付近には、ロンドン/パリ間、ロンドン/ベルギー間を結ぶユーロスターの発着駅である北駅があり、両駅は地下鉄でわずか1駅で行くことができる。ロンドンからパリ(北駅)へ、そして東駅に移動して、そのままナンシーやストラスブールに行くことも簡単だ。また、ストラスブールからはTGVリリアがスイス、ルクセンブルグ方面へ結ぶほか、ICEがミュンヘンからストラスブールを経由し、TGV東線のネットワークを利用してパリに乗り入れており、フランス東部を経由し、他のヨーロッパ都市へのアクセス利便の向上も期待できる。

 ユーロスターのロンドン側の発着駅も昨年11月、以前のウォータールー駅から市内中心部に近いセントパンクラスに移動し、これに伴いロンドン/パリ間が2時間15分(従来2時間35分)、ロンドン/ブリュッセル間が1時間51分(2時間20分)と所要時間が短縮。さらに利便性が高まったばかり。都市の中央から都市の中央までの移動が簡単にできるようになり、飛行機同士での乗継では得られない新しい旅行スタイルが可能になるだろう。

 また、北駅からはユーロスターのほか、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツを結ぶ高速鉄道「タリス」も発着している。これら、ヨーロッパの都市を結ぶ高速鉄道を駆使することで、ロンドン、パリ、ブリュッセルといった大都市を起点とした小旅行のさらなる充実や多様化が期待できるだろう。

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ユーロスターに続きタリスも高速化
ビジネス客をターゲットに車両の改装が進む


 ユーロスターに続き、高速鉄道「タリス」でもパリ/ブリュッセル間の高速化を実現。現在、両都市間を1時間22分で結んでいる。今後、2008年10月にはパリ/アムステルダム間を57分短縮させた3時間13分で運行、2009年初めにはパリ/ケルン間を41分短縮させ、3時間9分で結ぶ予定だ。

 また、タリスでは車両の改装も進んでいる。2008年8月までに、全車両に無線LANが使用できる「Wifi」が搭載され、インターネットの接続が可能になる。現在は一等車両のみだが、2010年10月までには、全クラスの全席にプラグが設置される予定だ。

 これらは、すべてビジネス客を意識した取り組みだ。最近、西ヨーロッパの高速鉄道では、乗車時間にビジネスをする傾向が増えているという。例えば、座席を向かい合わにしてミーティングをしたり、ユーロスターやタリスの一等車両(ユーロスターでは一等車のビジネス車両)では、食事が座席でサーブされることから、これを利用したランチ・ミーティングをするビジネスマンが増えてきている。西ヨーロッパでは各高速列車の快適性や施設の充実に伴い、列車の時間は単なる移動だけでなく、ビジネスの大切な時間を過ごす場所となっている。今後、ヨーロッパでの出張手配の際には、ミーティングなどの新たなビジネスシーンを含めた鉄道利用の提案をしてみるのもよいだろう。


ヴァージン アトランティック航空
世界で一番迅速なチェックインサービスを開始

 ヴァージン アトランティック航空(VS)
は昨年秋、ロンドン・ヒースロー空港のタ
ーミナル3に、新施設「アッパークラスウ
ィング」を開設した。利用対象は、ビジネ
スクラス「アッパークラス」の利用客と、
VSのマイレージプログラムのゴールド会員
で、これにより、チェックインから空港内
ラウンジ「ザ・クラブハウス」に到着する
までの所要時間を大幅に短縮、わずか10分
未満で手続きを完了する。

 同施設は既に実施する「アッパークラス
」付帯サービスの無料送迎サービスとドラ
イブスルーチェックインを併用すると、さ
らに利便性が高まる。無料送迎車で利用客
がターミナル3の2階の到着口に到着すると
その場で搭乗券を渡し、受託手荷物はその
場でVSスタッフが取扱う。旅客は身の回り
の手荷物のみを携行し、VS専用のセキュリ
ティを利用してラウンジへ行くことができ
る。VSではヒースロー空港ターミナル3で
のVSのサービスをバーチャルで体験できる
サイトを開設し、同施設でのサービスを紹
介している。

 このほか、ターミナル3のVSのチェック
インエリアであるゾーンA全体を明るく開
放的なスペースに改装し、自動チェックイ
ン機を増設。プレミアムエコノミーおよび、
エコノミークラスの利用客に対しても効率
的なチェックインサービスに努める。


▽VS、ヒースローT3エクスペリエンス
http://www.virginatlantic.com/experienceT3

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