ミュンヘン空港、スターアライアンス専用のターミナル2をレポート

  • 2008年2月6日
 ドイツ南部・バイエルン州のミュンヘン市郊外に1992年5月に開港したミュンヘン空港。2003年6月にルフトハンザ・ドイツ航空(LH)とスターアライアンス各社が専用で使用するターミナル2がオープンし、同空港の利用者は年間約3000万人に達している。利用者から「使いやすい」と評判の高いこの空港を、実際に歩いてみた。
(取材・文:秋本俊二、取材協力:ルフトハンザ・ドイツ航空)



利便性を第一に考えた独自の設計コンセプト

 LHミュンヘン空港責任者のステファン・ハーバース氏はミュンヘン空港について「第一のハブであるフランクフルト空港が飽和状態になり、ミュンヘン空港にLHとスターアライアンスチームのためのターミナル2をオープンし、第ニのハブとして機能させてきた。しかし、年々利用者が増え、ここもすでにフル稼働の状態。現在はターミナル3の建設を計画している」という。

 イギリスの調査会社スカイトラックス(SKYTRAX)は「エアポート・オブ・ザ・イヤー」で2006年のヨーロッパ第1位の空港に選出。利用者の利便性を第一に考えた独自の設計コンセプトがこうした高評価につながっている。

 ターミナル2は、延床面積26万平方メートル。114のゲートと24のボーディングブリッジ、75の旅客エプロンで構成されている。その114のゲートが、長さ約1キロに渡り一直線に配置され、見晴らしがいい。これなら初めて訪れた人でも空港内で迷うことはないだろう。「ターミナル内の『ミニマム・コネクティングタイム(乗り継ぎに必要な最短接続時間:MCT)』はヨーロッパで最も早い約30分を実現。そうした利便性の良さ、快適さが、ミュンヘン空港のハブ空港としての地位を大きく押し上げた」と、ハーバース氏は解説する。

 ターミナルに隣接する9階建ての駐車スペースは、6800台が収容可能だ。ファーストクラスの利用者は、車を停める前に道路側に設置されたチェックインスペースで搭乗手続きを終え、そこで荷物も預けられる。駐車場からターミナルまで荷物を引きずっていく必要もない。昨年8月には新しいファーストクラス・ラウンジもオープンし、最先端の快
適な施設でのサービス提供が可能になった。


新しい生活スタイルやビジネスシーンを演出

 空港内には、セキュリティエリアの内と外に計150店舗が建ち並び、出発までの時間をカフェで過ごしたり、ショッピングを楽しんだりする利用客も多い。また、ターミナル1とターミナル2をつなぐ中央エリアは、ビジネスや生活、娯楽の場として機能。空港内の自家醸造所でつくったビールを味わえるレストラン「エアブロイ」は、世界各国からの旅行者などでいつも賑わっている。それだけでなく、会議施設も充実。各国企業の支店・支社のスタッフがミュンヘン空港に集い、ここでミーティングを開催して、再びそれぞれの国に戻っていく、といった新しいビジネスシーンも演出している。

 ミュンヘン空港へは現在、約30キロ離れたミュンヘン中央駅から、鉄道と高速道路で結ばれている。所要時間は30分から40分。2014年には空港と中央駅間に「トランスラピッド・マグレブ(リニアモーターカー)」の開通も決まった。開通後は市中心部からのアクセス時間がわずか10分に短縮され、ますます身近な空港になるだろう。