アマデウス、日本市場でのシェア拡大−今後は業務渡航分野にも注力へ

  • 2007年6月21日
 アマデウス・アジア本部プレジデントのデービッド・ブレッド氏が来日、2006年のアマデウス・ジャパンの旅行会社向け航空予約シェアが日本のGDSではトップ、日系の予約システムを勘案するとアクセスやインフィニに次ぐものとなっていることを強調した。2006年は予約数は403万セグメント超と400万台を越え、2004年からの平均成長率は約30%になるという。ブレッド氏によると、アマデウスは現在、アジア太平洋地域で31.5%のシェアで対前年4.0%ポイント増、市場として強い欧州では西ヨーロッパで4.2%ポイント増の62.4%、中欧・東欧・南欧では4.9%ポイント増の66.2%となっているという。世界全体では、2.9%ポイント増の33.2%のシェアだ。

 今後もこうしたシェアの拡大に向け、重視する点としてはアマデウスが「セルフブッキング・ツール」として予約機能を提供する業務渡航の分野。ただし、「日本での法人については、世界各国と比べまだ採用されていない」と語る。日本市場の特殊性について理解を示しながらも、「なぜ、こうした経緯を辿ってきたのか真剣に検討する必要がある」と語り、各企業の出張規定に基づいたプログラムを組むことができる利点を強くアピールした。今後、インハウス旅行会社とさらに協力を強め、この分野に取り組む考えだ。

 また、アマデウスは現在、GDSからIT企業へと変貌しており、そうした転換でも柱となる事業が航空会社に予約、在庫、搭乗を網羅する顧客管理システム「アルテア・システム」を提供している。2005年にスターアライアンスが推奨ITソリューションとし、現在は各航空会社に導入されているところ。シンガポール航空(SQ)がアマデウス・アルテア顧客管理ソリューションについて大枠の導入計画立案で合意、近々にも最終決定の見通しで、正式決定するとアルテアCMSに移行するアジア初の航空会社となる。これに関連し、スターアライアンス加盟の全日空(NH)の動向も注目されるが、ブレッド氏は「あくまで推奨であり、強制するものではない」と前置きしながら、「全日空は、システムについて非常に良く理解をしていただいている。ただし、一般論として採用された場合、基幹部分であることから、それに連携する様々な細かいシステムの変更もあり、非常に大きな作業が伴う」と慎重な検討が必要であることに理解を示しつつ、「いつ(採用することが)適切なのか、これが大きな課題だ」とも語り、自信を覗かせた。

 なお、アマデウス・ジャパンは来年、日本市場参入で10周年を迎える。同社では今後、10周年に向け航空会社、ホテル、レンタカーなどと協力し、旅行会社向けのブッキング・キャンペーンなどを実施する計画。近く、エールフランス航空(AF)、KLMオランダ航空(KL)と共同セミナーを開催するほか、タイ国際航空(TG)とブッキングキャンペーンを実施するなど引き続き、各社と連携を強める。