現地レポート:イタリア? ナポリ編
連泊・モノステイで訴求力アップ、グルメやショッピングの新素材にも注目
ナポリを訪れる一般的なツアーは、ローマからの市内観光や、ナポリで1泊した場合でもポンペイやカプリ島の青い洞窟と組み合わせて、駆け足で済ませてしまうことが多い。しかし、南イタリア第1の都市・ナポリには市内はもちろん、周辺にも多様な魅力が詰まっている。今回はナポリを基点に連泊するツアーに組み込める素材をレポートする。
◆ 街の生活感でアクセント、台頭の新エリアに注目
ナポリの市内観光といえば、卵城やカステル・ヌオーヴォなど、世界遺産「ナポリ歴史地区」のスポットを巡るのが定番。ローマからの日帰りや周辺地域を巡る1泊ツアーに組み込むため、市内観光は半日程度で終わっているのが現状だ。
しかし、これらの“歴史的なナポリ”のみならず、人々が暮らす“今のナポリ”の姿を加えることで、ナポリ観光はぐっと新鮮味を増す。例えば車窓観光で済ませることが多い旧市街「スパッカナポリ」地区は、旅慣れた旅行者向けツアーでは徒歩観光にする。商店がひしめく古い通りでの買物や、本場で人気のピッツェリアでナポリの味を楽しむ。街歩きだからこそ触れられる、ナポリ人の生活だ。そこから伝わる躍動感は、旅の本来の醍醐味といえるだろう。
治安面が懸念されがちだが、ちょうど人通りの多い時間に歩いたこともあってか、さほど悪い印象は受けなかった。ただし、現地のガイドもハンドバックをかけてから上着を羽織ってスリ防止の対策をしていたのは印象的で、旅慣れたリピーターといえどもツアー参加者には従来どおり身の回りには注意し、気を引き締めて行動するように伝えたい。
また、マルティーリ広場周辺の「キアイア」地区も注目エリア。高級ブランドショップやモダンなレストラン、個性的なブティックなどが進出する流行発信地で、いわばナポリの“表参道”のような場所だ。
ナポリのオシャレな場所として、日本のメディアでも少しずつ露出されている。残念ながら今回の視察旅行の旅程に入っていなかったため昼間にじっくり見ることはできなかったが、夜に散策したところ土曜日ということもあり、道路は大渋滞で賑わい、多数の若者であふれていた。キアイア地区では散策だけでなく、流行に敏感な客層向けにショッピングという観光もできるだろう。
このほか、山の手のヴォメロの丘には高級住宅街がある。こちらもメインストリートのスカラッティ通りやジョルダノ通りを中心に、立ち寄ってみたいブティックやカフェなどが並ぶ。ナポリを見下ろす絶好スポット「サンテルモ城」へ行く途中に立ち寄れるので、旅程にも組み込みやすいと思われる。
◆ 滞在だから組み込めるカセルタ、ポッツォーリへの日帰りツアー
ナポリから北へ車で30 分のカセルタには世界遺産の「カセルタ王宮」がある。1752 年、ベルサイユ宮殿を理想として造られたこの王宮は120 ヘクタールの敷地を誇る豪華絢爛なもの。6階建ての建物内には1200 の部屋があり、見所も多い。特に3キロも続く庭園は有名で、先端の噴水エリアまでバスが送迎している。
もうひとつ、カセルタへ行く理由は風土が感じられる郷土食が味わえること。都会のナポリと異なり、オリーブやオレンジ畑も見られるのどかなこの付近は、モッツアレラチーズやリコッタチーズの産地としても有名だ。もともと臭みがなく日本でも人気のチーズだが、産地ならではの爽やかな風味に驚かされる。このほか、王宮を見下ろす眺望が素晴らしい展望台「ベルベデーレ・ポテッジポ」やカセルタ・ベッキアという旧市街での散策なども可能。王宮見学と郷土料理を食べさせる雰囲気の良いレストランでの昼食などを含め、1日かけてゆっくり巡りたい場所だ。
ナポリの西の「カンピ・フレグレイ」と呼ばれる一帯も、観光要素に富んでいる。ポッツォーリの「リオーネ・テッラ」には2002 年にオープンした新しい地下遺跡もある。紀元前5世紀のローマ時代の遺跡で、東西南北に伸びるメインストリートを中心に、食堂やパン屋、住居などが並び、古代ローマ人の生活を彷彿とさせる。この辺りは地震による地層の陥没・隆起のため居住者の流出が多く、1970 年に廃墟となった。
最近は再び居住者が戻りつつあるが30 年以上も放置されていたため、わりときれいな形で遺跡が残っている。現地ガイドによると、眼下のポッツォーリ湾には紀元前1世紀ごろの遺跡が今も沈殿しており、その一部が湾の西端にあるバイア城で展示されているという。カンピ・フレグレイでは、地下の遺跡と海中遺跡という2つの視点で遺跡めぐりをするのも面白いだろう。
ナポリを訪れる一般的なツアーは、ローマからの市内観光や、ナポリで1泊した場合でもポンペイやカプリ島の青い洞窟と組み合わせて、駆け足で済ませてしまうことが多い。しかし、南イタリア第1の都市・ナポリには市内はもちろん、周辺にも多様な魅力が詰まっている。今回はナポリを基点に連泊するツアーに組み込める素材をレポートする。
◆ 街の生活感でアクセント、台頭の新エリアに注目
ナポリの市内観光といえば、卵城やカステル・ヌオーヴォなど、世界遺産「ナポリ歴史地区」のスポットを巡るのが定番。ローマからの日帰りや周辺地域を巡る1泊ツアーに組み込むため、市内観光は半日程度で終わっているのが現状だ。
しかし、これらの“歴史的なナポリ”のみならず、人々が暮らす“今のナポリ”の姿を加えることで、ナポリ観光はぐっと新鮮味を増す。例えば車窓観光で済ませることが多い旧市街「スパッカナポリ」地区は、旅慣れた旅行者向けツアーでは徒歩観光にする。商店がひしめく古い通りでの買物や、本場で人気のピッツェリアでナポリの味を楽しむ。街歩きだからこそ触れられる、ナポリ人の生活だ。そこから伝わる躍動感は、旅の本来の醍醐味といえるだろう。
治安面が懸念されがちだが、ちょうど人通りの多い時間に歩いたこともあってか、さほど悪い印象は受けなかった。ただし、現地のガイドもハンドバックをかけてから上着を羽織ってスリ防止の対策をしていたのは印象的で、旅慣れたリピーターといえどもツアー参加者には従来どおり身の回りには注意し、気を引き締めて行動するように伝えたい。
また、マルティーリ広場周辺の「キアイア」地区も注目エリア。高級ブランドショップやモダンなレストラン、個性的なブティックなどが進出する流行発信地で、いわばナポリの“表参道”のような場所だ。
ナポリのオシャレな場所として、日本のメディアでも少しずつ露出されている。残念ながら今回の視察旅行の旅程に入っていなかったため昼間にじっくり見ることはできなかったが、夜に散策したところ土曜日ということもあり、道路は大渋滞で賑わい、多数の若者であふれていた。キアイア地区では散策だけでなく、流行に敏感な客層向けにショッピングという観光もできるだろう。
このほか、山の手のヴォメロの丘には高級住宅街がある。こちらもメインストリートのスカラッティ通りやジョルダノ通りを中心に、立ち寄ってみたいブティックやカフェなどが並ぶ。ナポリを見下ろす絶好スポット「サンテルモ城」へ行く途中に立ち寄れるので、旅程にも組み込みやすいと思われる。
◆ 滞在だから組み込めるカセルタ、ポッツォーリへの日帰りツアー
ナポリから北へ車で30 分のカセルタには世界遺産の「カセルタ王宮」がある。1752 年、ベルサイユ宮殿を理想として造られたこの王宮は120 ヘクタールの敷地を誇る豪華絢爛なもの。6階建ての建物内には1200 の部屋があり、見所も多い。特に3キロも続く庭園は有名で、先端の噴水エリアまでバスが送迎している。
もうひとつ、カセルタへ行く理由は風土が感じられる郷土食が味わえること。都会のナポリと異なり、オリーブやオレンジ畑も見られるのどかなこの付近は、モッツアレラチーズやリコッタチーズの産地としても有名だ。もともと臭みがなく日本でも人気のチーズだが、産地ならではの爽やかな風味に驚かされる。このほか、王宮を見下ろす眺望が素晴らしい展望台「ベルベデーレ・ポテッジポ」やカセルタ・ベッキアという旧市街での散策なども可能。王宮見学と郷土料理を食べさせる雰囲気の良いレストランでの昼食などを含め、1日かけてゆっくり巡りたい場所だ。
ナポリの西の「カンピ・フレグレイ」と呼ばれる一帯も、観光要素に富んでいる。ポッツォーリの「リオーネ・テッラ」には2002 年にオープンした新しい地下遺跡もある。紀元前5世紀のローマ時代の遺跡で、東西南北に伸びるメインストリートを中心に、食堂やパン屋、住居などが並び、古代ローマ人の生活を彷彿とさせる。この辺りは地震による地層の陥没・隆起のため居住者の流出が多く、1970 年に廃墟となった。
最近は再び居住者が戻りつつあるが30 年以上も放置されていたため、わりときれいな形で遺跡が残っている。現地ガイドによると、眼下のポッツォーリ湾には紀元前1世紀ごろの遺跡が今も沈殿しており、その一部が湾の西端にあるバイア城で展示されているという。カンピ・フレグレイでは、地下の遺跡と海中遺跡という2つの視点で遺跡めぐりをするのも面白いだろう。
伝統のプレセピオを新クリスマス商品に
プレセピオはキリスト降誕の場面を再現した人形飾りのこと。
カトリックの家庭では、降誕したキリストとマリアの様子をジオ
ラマ風に飾る。ナポリは伝統的にこの人形を作る職人が多く
「プレセピオならナポリ」とまで言われている。特に、職人の店
が軒を連ねる「サン・グレゴリオ・アルメーノ通り」はこの時期、
プレセピオを求める人であふれる。ローマやプーリアなど各
地からクリスマス用のツアーが組まれるという。
最も混み合うのは11月末から聖マリアの日(12月8日)ま
で。お土産用のセットになっているものから1体ずつ別売りの
本格的なものまであり、1体10〜15ユーロほど。素材もプラ
スチックや陶器のものなどさまざまで、精巧なつくりの人形は
40ユーロ以上の高価なものもある。今後、新しいクリスマス
ツアーの素材として商品化を考えたいところだ。
フェリー泊で一風変わった演出を
今回の視察旅行では、ナポリからパレルモまで、
船内で1泊するフェリーを利用した。ツイン・キャ
ビンは日本で運航する
長距離フェリーの1等客室と同じくらいの広さで、
シャワーとトイレも備えており、1泊なら不便さは
ない。船内には2つのレストラン、バーのほか、映
画館まであって、ちょっとしたクルーズ気分が味わ
える。乗船時に荷物を自分で客室まで運ぶ煩わし
さはあるが(下船時はポーターを呼ぶことができる)、
ホテル宿泊とユニークな体験の提供という意味で、
利用する価値のある素材といえるだろう。
▽ティレニア社(Tirrenia Navigazione)
ナポリ/パレルモ間 (毎日1便運航)
スケジュール:(ナポリ、パレルモ発とも)夜8時15分発/朝6時30分着
乗客数:660人 客室数:289室(うち、ツイン75室)
運賃:ツイン 1人55.18ユーロ〜、4人部屋 1人 51.62ユーロ〜、
スリープ(シートのみ) 1人39.53ユーロ〜、ポンテ(シートなし) 1人37.91ユーロ〜
※料金は時期・日にちによって異なる