ANAホテルズとインターコンチ、日本で共同ブランドを展開へ

  • 2006年10月24日
 全日空(NH)はホテル事業を手がけるANAホテルズ&リゾーツについて、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)と資本提携を行う。ANAとIHGは共同でIHG・ANAホテルズホールディングス株式会社を10月2日付けで設立しており、これを重要な決定を取り決める経営機関と位置づけ。現場のオペレーションなどについては、「IHG・ANAホテルズグループジャパン合同会社(LLC)」を設立し、12月1日付けで運営を開始する。

 NH代表取締役社長の山元峯生氏は「ANAブランドとして知名度は高い」と語る一方、「外資系の有力ブランドが次々と上陸し、競争環境は厳しいと認識」しており、「日本で中長期的に生き残りに自信が無かった」とも言及。今回の提携に至る背景を説明した。昨年春には数社による競争入札を実施し、IHGが優先交渉権を獲得したと言う。

 両社の提携ではまず来年4月、東京全日空ホテルを「ANAインターコンチネンタルホテル東京」へとりブランディングする。これを皮切りに、日本国内の13ホテルについてANAインターコンチネンタル、ANAクラウンプラザ、ANAホリデイ・インへと1年半をかけてリブランディングを行う。今後、ANAホテルズ&リゾーツの加盟ホテルについてANAとIHGの合同ブランドへと促すほか、IHG傘下の11ホテルについても検討をしていく模様だ。仮に、両社の傘下ホテルが新会社に移行した場合、日本国内では41軒のホテルを展開することとなる。

 この提携ではNH側は、IHGの予約販売、教育体系、サービスなどホテル運営に必要なノウハウを吸収できる。また、IHG側はNHからの送客を利用したシナジー効果を双方が享受できる。IHGチーフ・エグゼクティブのアンドリュー・コスレット氏は「提携により、ANAの日本市場のノウハウを活用できる」と語り、「戦略的な関係で、かつ長期的に提携していく」と語った。
 現段階ではIHGのセールス・オフィスの統合などには明言を避けているものの、日本市場でのノウハウはANA側の協力を重視している発言もあり、IHGの海外ホテルの日本でのセールス展開にも拡大の余地がありそうだ。