NAA、06年3月期決算は発着枠の頭打ちと着陸料値下げで減収も、純利益は2倍

  • 2006年5月19日
 成田国際空港(NAA)は2006年3月期決算(2005年4月1日〜2006年3月31日)の連結決算を公表、このうち営業収益は前期比1%減の1712億円、営業利益は0.5%増の420億円、経常利益は8.6%増の320億円、当期純利益は130.1%増の147億円であった。航空機発着回数は0.7%増、航空旅客数は1.0%減、航空貨物量2.7%減、給油量1.8%減と営業収益で減収要素が多かったものの、営業費用の減少、平均金利の低下などで経常利益は増益。純利益は前期に計上した固定資産の減損損失、子会社評価にともなう連結調整勘定償却がなくなり、前年から2倍となった。航空・非航空系で分類すると、空港運営事業では着陸料の減額により38億5100万円の減収、一方で空港スペース活用事業で29億3800万円の増収となった。

 NAA単体については、株式上場を睨み、財務体質強化の内部留保を充実させると共に、株主への利益還元を実施するため総額20億円の配当を行う。NAA代表取締役社長の黒野匡彦氏は「未処分利益が多くあり、民間会社として配当先が国であることに関りなく、配当を実施することが株式会社としての使命」と配当についてコメントしている。

 成田空港は着陸料の値下げを昨年実施、06年3月期決算では半期分の影響に留まったが、07年3月期には通期での影響が及ぶ。ただし、第1旅客ターミナル南ウイング供用に伴う新規事業、特に非航空系収入に分類される小売事業展開で87億円の増収となる営業収益1800億円を予測。その他、経常利益は新規事業展開や新施設のオープンなどでの経費増加により150億円の減益となる170億円としている。
 なお、航空・非航空収入の割合は07年3月期でそれぞれ63.1%、36.9%となり、第1旅客ターミナル南ウイング供用による非航空系の増収が顕著となる。今後も第2旅客ターミナルでの改修も着手しており、非航空系の収入が増加していく方向だ。