【Founder’s Eye】ITBシンガポール、セラーもバイヤーも熱量高し

  • 2026年11月4日

日本への関心は次のステージへ

先月シンガポールで行われたITB Asiaへトラベルビジョンとしての取材、関係会社の出展サポートを目的に参加してきました。

今回のITB Asiaで驚かされたのは、会場の盛況ぶりだけではない。世界各国から集まったバイヤーたちの、日本に対する知識の深さだ。
もはや富士山、京都、東京といった定番観光地の紹介だけでは、彼らの関心を引くことは難しいのかもしれない。

アジア太平洋地域最大級のB2B旅行・観光産業の国際見本市の名に違わず、出展ブランド数1,000以上、総参加者数18,000人以上を記録し、大盛況の3日間となりました。

特筆すべきは、バイヤーの参加条件だ。事前審査を通過し、参加プランごとに定められた商談件数をこなすことが求められる。航空券や宿泊費の補助を受けられる有料プランのほか、無料のプランもあるが、こちらも10件の商談が必須となっている。

一般のTrade Visitorも原則有料。誰でも気軽に無料で参加できる見本市とは異なり、来場者の多くが明確な商談目的を持っている。この仕組みこそが、会場全体の熱量を生んでいるのだと感じた。
※詳細な参加条件はITB Asia公式サイトを参照

日本からも各種の団体、企業が多数出展。

「地域」としての出展では、例えば関西観光本部は会員4社と共に広域としての「関西」の知名度、魅力の発信を目的に大きく、目立つブースで展開。
北海道は「道」としての出展に加え「札幌」としても出展、「鳥取県」も単独で出展等、様々な形で日本各地の魅力を発信。

企業では、トリプラが会場1階の入口近くの目立つ場所に出展。高橋社長自ら、各国の自社スタッフと共にブースに立たれていた。

また、Tripadvisorの「Travellers' Choice Best of the Best」に選ばれたラーメン作り体験を提供するRamen Factory Kyotoは、小さなブースながらも来訪者が絶えない盛況ぶりだった。

筆者が関与している「Knot Travel Japan」も今回が初出展。事前登録の商談枠はすべて埋まり、さらにウォークインでの来訪も相次ぎ、応対するスタッフが足りなくなるほどの賑わいを見せた。

筆者がお話を伺った複数の出展者からも、想定以上の商談ができたとの声が聞かれた。

会期を通して改めて感じたのは、海外バイヤーが求める日本の観光コンテンツが、明らかに変化しているということだ。

日本からの出展者が口をそろえて話していたのは、コロナ明け直後と比べ、バイヤーからの質問が格段に深くなっているということ。日本人にもあまり知られていない地域や、エクスクルーシブな体験についての質問が増えているそうだ。

日本各地には、まだ海外に十分知られていない魅力的な地域や体験が数多く存在する。一方、それらを求める海外のバイヤーも確実に増えている。

政府も自治体も企業も、地方誘客や高付加価値化を目指して様々な取り組みを進めているが、今回のITB Asiaを通じて感じたのは、少なくともその土壌は既に育っているということだ。
シーズもニーズもある。足りないのは、その両者を結び付け、実際の旅行商品やビジネスへとつなげる仕組みなのではないだろうか。
そして、その役割こそ、我々旅行会社やランドオペレーターが担うべきものではないだろうか。

今月の一軒(出張メシ)

■Song Fa Bak Kut Teh

ご存じの方も多い、バクテー(肉骨茶)の老舗。
シンガポールを訪れた際に必ず行くお店の一つ、バクテーと合わせ是非、高菜の漬物と青菜もご賞味あれ。
クラークキーの本店はじめ、多数の店舗があり、チャンギ空港にも。
ただし、筆者の知る限り予約は出来ないので、ある程度並ぶ覚悟要。

岡田直樹
エフネス(トラベルビジョン)Founder。旅行業界向けメディアの運営を軸に、観光領域の事業開発に取組む。