日本人気のその先へ――JNTOロンドン事務所が見据える、英国市場と地方誘客の次の一手

  • 2026年9月15日

 英国で、日本旅行への関心が大きく高まっている。かつては「いつか行ってみたい」と思いながら具体的な旅行計画には至らなかった日本が、今では「もう行った」「来年行く」と、現実の旅行先として語られるようになった。

 一方、英国からの訪日客の約7割はいまだ初訪日。現在の日本人気を地方誘客や旅行消費の拡大につなげ、その先のリピーター需要にどう備えるか。英国人旅行者の特徴や旅行会社の動向、日本側に求められることについて、日本政府観光局(JNTO)ロンドン事務所の本蔵愛里所長と玉利優次次長に聞いた。

(左から)JNTO ロンドン事務所 次長 玉利優次氏、所長 本蔵愛里氏
-まず、お二人のご経歴と現在の役割について教えてください。

本蔵 愛里 氏(以下、敬称略) 私は10年ほど前にキャリア採用でJNTOに入り、2016年から2021年までモスクワ事務所長を務めました。帰国後は本部のデジタルマーケティングセンター長を経て、2024年6月からロンドン事務所長を務めています。

玉利 優次 氏(以下、敬称略) 私は財務省からJNTOに出向し、本部の財務グループでJNTO全体の予算に関する業務を担当した後、2025年7月にロンドン事務所へ赴任しました。現在は事務所運営に加え、旅行会社向けのプロモーション事業などを担当しています。

本蔵 海外事務所というと、JNTOの職員だけで構成されているイメージがあるかもしれませんが、実際には自治体や国の他省庁、民間企業などからの出向者を含む場合もあります。ロンドン事務所では、日本からの派遣職員4人のうち2人が出向者です。

玉利 海外事務所のみならず、JNTO全体でも、新卒採用、中途採用、外部からの出向者など様々な背景を持つスタッフがいます。外部の知見や業務感覚をうまく組み合わせながら仕事をしているのが、今のJNTOの組織の特徴だと思います。

「訪日旅行商品は売れる」英国市場の現在地

-現在、英国での日本旅行への関心をどのように感じていますか。

本蔵 10年ほど前は、日本は「バケットリストには入っている」という人が多かったんです。ただ、「いつ行くのですか」と聞くと、「いつかね」という感じでした。

 それが今では、「もう行った」「来年行く」「2年後に行く予定」といった話を本当によく聞きます。旅行会社を見ても、これまで訪日旅行商品を売っていなかった会社が次々と販売を始めています。長年のプロモーションの成果もあり、言葉を選ばずに言えば、今は「黙っていても訪日旅行商品は売れる」という状況だと思います。

-現在、英国からの訪日客の約7割は初訪日なのですね。

本蔵 そうですね。初めて日本に来る方に、「混雑する京都や東京には行かないでください」と言っても、それは無理ですよね。

 ただ、コロナ前と比べると滞在期間が長くなっています。コロナ禍やウクライナ情勢を経て飛行時間が長くなり、航空運賃も上昇しました。以前は10日から2週間程度の滞在が中心でしたが、今は2週間から3週間程度に延びています。

 そうすると、東京や京都に行った上で、プラスアルファで別の地域にも行ける。もう1カ所、2カ所を提案できる余地が出てきたことは、地方誘客にとって大きなチャンスだと思っています。

-この日本人気は、今後も続くと見ていますか。

本蔵 しばらくは続くと思います。ただ、今は初めて日本に来る方が非常に多いので、この方々が一巡する時期はいずれ来るでしょう。そのとき、2回目、3回目にどこへ行ってもらうのか。リピーターの方に何を提案するのか。今、訪日旅行商品がこれだけ売れているからこそ、その準備をしておかなければならないと思っています。

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