【視察レポ】南豪州・アデレードから30分、「自由」が育てたドイツ移民の街にジュリーク農園、充実のグルメに出会う旅

  • 2026年7月1日

このほど南オーストラリア州アデレードで開催されたATE26の取材に合わせて、アデレード近郊を1泊2日で見てまわる視察ツアーに参加した。訪問先は南オーストラリア州の成り立ちを見守ってきたアデレードヒルズ。日本で人気のオーガニックコスメブランド「ジュリーク」の自社農園ツアーや有名ワイナリーなど、アデレード中心部から車で30分程度で気軽に体験可能な観光素材を紹介する。

ビアレンバーグ内観

「自由の植民地」が育てたドイツ系移民の街、ハーンドルフへ

アデレードヒルズは州都アデレードの東側に広がる丘陵地で、アデレードとともに南オーストラリア州(SA)の発展を支えてきた。今回の視察ツアーのハイライトは、そのアデレードヒルズの「ハーンドルフ」。ドイツ系移民がルーツの街だ。

ハーンドルフのロゴ。ちょうど訪れた季節も紅葉を美しく見ることができた

SAへの入植が始まったのは1836年で、他州の囚人(実は軽微な犯罪が多かったのだが)による植民地開発に対して、自由な移民による持続可能な植民を理想像として掲げ、合わせて宗教的な自由も約束された。

ペンフォールズ・マギル・エステートからアデレード平野を望む

そしてハーンドルフを作ったのは当時のプロイセンで宗教的迫害を受けた人々で、自由な信仰を求めSAをめざし、困難を乗り越えて1839年にたどり着いたのだそう。「ハーンドルフ」はドイツ語で「ハーンの村」の意味で、移民を運んだデンマーク人船長への感謝の意が込められている。

ハーンドルフはアートが街に根付いていることも特徴

ちなみに、この「自由」はその後もSAに根付いていて、1894年にオーストラリアで初、世界でも4番目に女性参政権を認めたほか女性の議会立候補権を認めた地としては世界初となり、 1975年には同性愛を完全に非犯罪化したオーストラリア初の州にもなった。

2027年のラグビーワールドカップでは日本戦もアデレードで開催予定

200年近い歴史が息づく、ハーンドルフのメインストリート

現在のハーンドルフはというと、ドイツ文化やアートで多くの旅行者を集める人気の観光地となっている。メインストリート沿いにはこぢんまりしたホテルやレストラン、カフェ、ギフトショップなどが並び、開拓当初の面影を残していたりドイツらしさが外観から感じられたりする建物も多い。

ジャーマン・アームズ・ホテル外観

最も印象が強いのは「ジャーマン・アームズ・ホテル」で、「GERMAN ARMS」という字面の強さといかめしい鷲のロゴに一瞬ひるんだものの、調べてみるとこういう場合の「ARMS」は武器ではなく紋章の意。そしてこのホテルはハーンドルフができた1839年の創業という超老舗だった。このほかにも200年近い街の歴史を感じさせる要素はあちこちに。

最初期の住民たちが水が甘くなると信じて井戸の側に植えたという西洋梨の木も

メインストリートの町並みはいかにも観光地らしい雰囲気ではあるが、一軒一軒はむしろ日本人の感性にも響きそうなこぢんまりしてかわいらしい個性的な店舗が多い。例えばアロマキャンドルやジャム、はちみつ、ピクルス、工芸品などの専門店はどれもこの土地で生産された商品を扱っていたし、鳩時計やクリスマスグッズ、ビアマグなどを扱う「ザ・ジャーマン・ビレッジ・ショップ」などではドイツの民族衣装ディアンドルを来た女性たちが出迎えてくれた。

ハーンドルフのショップ内観。眺めているだけでも楽しい店が多い