OTOA大畑会長「AI時代こそ現地を知る人材が重要」、海外旅行需要回復へ課題提起

  • 2026年6月4日
大畑貴彦会長

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は6月3日に通常総会を開き、2026年度事業計画を承認した。安全対策や取引適正化などの活動を継続する一方、プレスインタビューでは大畑貴彦会長が、AIの普及や若年層の海外離れ、人材育成など業界が直面する課題に言及。海外旅行需要の本格回復には「現地を知る人材」と「海外体験の裾野拡大」が不可欠との考えを示した。

 大畑貴彦会長は総会で、円安や燃油サーチャージの高止まりに加え、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクが海外旅行市場の回復を妨げているとの認識を示した。一方で、アウトバウンド需要の回復は国際交流やインバウンド拡大にもつながるとして、業界団体と連携しながら継続的に政策提言を行う考えを示した。

 総会後のプレスインタビューでは、AIの進展による旅行業界への影響にも言及した。大畑会長は、行程作成や情報収集などの業務でAI活用が進むことを認めながらも、「AIはたたき台にはなるが、最終的な価値を生み出すのは現地を知る人材だ」と指摘。交通事情や現地特有の運営ノウハウなど、実体験に基づく知見が今後さらに重要になるとの見方を示した。

 背景には、コロナ禍以降、海外渡航や現地視察の機会が十分に確保できなかった人材の増加がある。大畑会長は、現地経験に基づく知見やネットワークの重要性が改めて高まっていると指摘した。

 また、若年層の海外旅行離れにも触れ、将来的な市場拡大には教育旅行の推進が欠かせないと指摘した。若いうちに海外体験を持つことが将来の旅行需要創出につながるとして、パスポート取得支援や教育旅行促進への期待を示した。

 OTOAでは今年度、安全情報の提供強化やAIを活用した情報発信の検討も進める。YouTubeなどを活用し、海外で発生した事故や災害について旅行者に分かりやすく伝える仕組みづくりを模索しているという。

 海外旅行市場を取り巻く環境は依然として厳しいものの、OTOAは安全・安心の確保と現場知見の発信を軸に、業界の持続的な発展と海外旅行需要の回復を後押ししていく考えだ。