ドイツ観光局、26年は「食」をテーマに需要喚起 中東情勢で欧州路線に影響も

  • 2026年3月26日

 ドイツ観光局はこのほどプレス発表会を開催し、2026年の方針を発表した。今年は「Culinary Germany」と題し、5月中旬からドイツを「食と文化の国」として訴求していく。オープンデータを活用したウィジェットで、旅行サイト上で旅行者に具体的な提案を実施。4Travelのウェブサイトでゲーテ街道との協業キャンペーンをおこなうほか、SNSでの発信も強化する。

西山氏

 ドイツ観光局アジア地区統括局長兼日本支局長の西山晃氏は「2018年以降、都市と文化、食文化、観光街道、宮殿とお城の4つの枠組みで日本市場向けのPRを展開してきた」と説明。今後も同様の方針でプロモーションを継続する考えを示した。

 西山氏によれば、2025年の日本人のドイツ宿泊数は2019年比58%、2024年比100.5%と緩やかな回復傾向にある。これを踏まえた2026年の予測は、19年比で63%、25年比106%に回復する見通しだ。ただし、この数字は中東情勢の影響を加味したものではないとし、「長引けば長引くほど数字がどうなるか懸念せざるを得ないが、流動的過ぎるため今後の見通しについて具体的な発信ができる段階ではない」と話した。

 西山氏は、中東経由で欧州に向かう需要が一定程度存在していたとの認識を示したうえで、日独直行便の回復率が2019年比で73.6%にとどまるなか、中東経由の代替となる供給が十分にあるとは言えない点を課題として挙げた。たとえばベルリンはカタール航空(QR)を使ってドーハ経由で行く人が「結構なシェアを持っていた」が、「QRが使えないとすると、その需要を振替できる供給量がほかにあるかといえばない」という。

梅本氏

 また、発表会で登壇したルフトハンザドイツ航空(LH)日本支社営業部本部長の梅本宏樹氏は、中東情勢の影響で、日本発のドイツを含む欧州への旅行者が北回りやアジア経由へとシフトし、一部は日系や欧州系航空会社の直航便に流入している現状を説明した。ただし、中国経由については、ビジネス需要を中心に「日本人にとって優先順位がまだ高くないとみている」という。なお、インバウンドについてはもともと中国経由の需要が高かったことから、影響は限定的との見方を示した。

 同社の日独間供給は2019年比約8割まで回復。関空/ミュンヘン線は週5便で運航中で、中部/フランクフルト線は現在運休している。中部線については機材繰りの関係から、当面は運休を継続するという。

 なお、同社は創立100周年、日本就航65周年を迎えており、特別塗装機の運航や記念商品造成などを通じてプロモーションを強化していく方針。詳細は今後発表していくという。

ノイシュヴァンシュタイン城などアピール、旅行会社と新素材の発掘へ

 西山氏は2026年の特徴として、昨年「バイエルン王ルードヴィヒ2世の宮殿群」として世界遺産に登録されたノイシュヴァンシュタイン城など4つの城をアイコンとしてアピールしたい方針を説明した。「需要喚起が難しい局面では、象徴的なコンテンツが有効」との考えだ。さらにバイロイト音楽祭が150周年を迎えることから、バイロイトで年間を通して開催されるリヒャルト・ワーグナーに関連したイベントについても音楽ファン向けにPRする。このほか、日本人に人気のクリスマスマーケットや、ルール地方で2027年に開催される「国際園芸博覧会(IGA)」の視察需要の掘り起こしもほかる。

 日本市場では、旅行会社を通じた高付加価値層への需要喚起を継続する方針。ドイツ国内で日本市場への関心が高い都市を選定し、ウェビナーやファムツアーを通じて旅行会社に訴求し、商品化を促進する。例えば、フランケン地方フォルヒハイムにある世界最大級のビアガーデンについては、2024年秋にファムツアーを実施し、すでにツアー化されている。

 B2C向けには、SNSを活用した中期的な需要喚起を継続する。西山氏は「写真が旅行の動機づけになることはあり得る。SNSから掘り起こせるデスティネーションがでてくることを期待したい」と話した。

大畑氏

 また、発表会では、ドイツ観光局広報マネージャーの大畑悟氏がソーシャルメディアの分析結果を紹介した。同局が2025年2月に開設したInstagramでは、1万1700フォロワー、185万ビュー、6万件の「いいね」を獲得し、1投稿あたり平均1万ビュー、330いいねとなった。

 ユーザー層は45~55歳が33%、55~64歳が25%と中高年が中心で、女性が86%を占めるという。大畑氏は「アルゴリズムの関係で、非フォロワーにイメージが行きわたっている。アルゴリズムに乗れるコンテンツをいかに制作するかが重要」と説明した。今後はフォロワー数5万人を目標に、インスタ映えし、旅行会社がツアーに採用できるような観光資源の発掘と情報発信を強化する考えだ。