アクア・アストン、来年2月にリブランド 新事業「レンタルバケーション」展開へ
山下桂司朗氏
アクア・アストン・ホスピタリティーは、2026年2月をめどにブランド名を刷新し、新たに「レンタルバケーション事業」を展開する。従来のコンドミニアムホテル運営に加え、高級コンドミニアムの一室をホテル同様に管理・販売する新たなビジネスモデルを導入するもので、日本市場における販売体制やパートナー戦略も拡充する考えだ。
アクア・アストン・ホスピタリティー副社長の山下桂司朗氏は、今回のリブランドについて「社名というよりもブランド体系の刷新であり、マリオット・バケーションのビジネスモデルに近い形へ移行する」と説明する。現行ブランド名「アクア・アストン」は廃止され、新たな名称で展開を開始する予定だ。
同社はこれまで、ハワイ主要4島でコンドミニアムなどの運営を中心に事業を展開してきた。特徴は、建物の各ユニットオーナーがホテルプログラムに参加する仕組みで、例えば160室規模の物件であれば160人のオーナーが存在するケースもある。山下氏によると、近年は円安を背景に日本人オーナーの売却が増え、空室ユニットが目立ち始めており、現在は新オーナーへの加盟促進を進めているという。
来年春にかけては、従来のホテル運営とは異なる「レンタルバケーション」事業を始動する。これは、ワイキキなどの高級コンドミニアムの一室をアクア・アストンが管理・運用し、宿泊施設として販売する仕組みだ。「日本人オーナーの保有率が高い物件に対し、当社が安全かつ安心な運営を担うことで、民泊や短期滞在に対する心理的ハードルを下げたい」と山下氏は語る。
また、こうした事業拡大に伴い、今年8月には日本総代理店をジェイバへ移管。山下氏は「新ビジネスモデルでは日本語での丁寧な説明や現地サポートがより重要になるため、ジェイバとの連携強化を進めている」と述べた。
販売戦略については、OTAへの依存を見直し、今後は既存の旅行会社との連携を強化する方針だ。山下氏は「新しい事業モデルでは、宿泊内容や利用方法について丁寧な説明やサポートが必要になる」と述べ、今後は店舗などを有する伝統的な旅行会社とのパートナーシップをより重視していくと語った。
こうした中で、日本人旅行者の回復は堅調だという。コロナ前は全体の宿泊者に占める日本人比率が2割強だったが、現在はコロナ前の水準を上回る施設も出てきている。山下氏は現地での物価上昇などを背景に、「外食中心の旅行から、キッチン設備も活用して滞在するスタイルを求めるお客様が増えている」と説明する。同社では幅広い価格帯の施設を運営しており、選択肢が豊富な点も回復につながる要因だという。
今後の日本市場向けプロモーションでは、ハワイ滞在中の過ごし方提案を強化する。山下氏は「ホテル館内だけでなく、周辺のマーケットやローカル体験を絡めた情報発信に注力する。カード会社とのコラボレーションキャンペーンなども検討中」と述べた。
その上で、旅行会社への期待として「お客様一人ひとりに合わせたカスタマイズ提案をしていただきたい。ウェブだけでは伝わらない“どういった楽しみ方ができるか”といった魅力を、皆様の説明力で広げてもらいたい」と語った。

