JTB調査、年末年始の旅行者は3987万人に 海外はハワイ・欧州が人気上昇
JTBがアンケート調査や運輸・観光関連データ、経済動向をもとにまとめた「年末年始(2025年12月20日~2026年1月5日)の旅行動向」レポートによると、旅行者数と旅行消費額はいずれも前年を上回り、家族を中心とした国内旅行と、ハワイや欧州など遠方への海外旅行が堅調に推移していることが分かった。
JTBの推計によると、今期の年末年始に1泊以上の旅行に出かける人は延べ3987万人(前年比102.5%)で、総旅行消費額は1兆9858億円(同108.4%)となる見込みだ。国内旅行者は3886万人(同102.0%)、平均費用4万4000円(同102.3%)で、短期・近距離を中心とした家族旅行が主流となっている。一方、海外旅行は100万人(同131.5%)と大幅増加し、平均費用27万5000円(同108.7%)を記録した。
カレンダーの並びが良いことから、12月27日(土)から1月4日(日)までの9連休を取得できる人も多く、旅行意欲は前年より高まった。アンケートでは「行く」と回答した人が25.1%と、前年から2.4ポイント増加した。特に若年層を中心に旅行意向が強い結果となった。
国内旅行では、旅行目的として「家族と過ごす」(45.4%)、「リラックスする」(29.9%)、「食事や地域の味覚を楽しむ」(27.8%)といった余暇志向の旅行目的が上位を占めた。自家用車利用が増加し(53.1%)、旅行先は「関東」「近畿」「九州」が人気を集める。居住地と同一地域内での「域内旅行」も拡大しており、北海道や九州では6割以上が同地域内での旅行を選んでいる。宿泊施設では「ホテル」(50.2%)が最多だが、「旅館」(23.1%)や「親族宅」(34.7%)の利用も増え、家族との滞在を重視する傾向が見られる。
一方、海外旅行は、円安や物価上昇の影響を受けながらも回復が続く。旅行者数は前年比31.5%増の100万人となり、特にハワイ(16.9%)とヨーロッパ(16.2%)が前年から大きく伸びた。旅行日数は「3泊4日(20.8%」が最も多いものの、前年から4.7ポイント減少している。平均費用は上昇傾向にあり、40万円以上を費やす層が2割を占めた。JTBにおける人気方面はハワイ、台湾、グアムに加え、11月に正式開館した「大エジプト博物館」などを背景にエジプトへの関心も高まっている。
旅行に行かない理由としては、「家でのんびりしたい」(41.9%)、「混雑を避けたい」(37.0%)、「費用が高い」(28.3%)が上位を占め、混雑回避や支出抑制の意識も根強い。また、全体として「著名な観光地を避ける」傾向が強まり、オーバーツーリズムへの懸念が旅行行動に影響を与えている。
経済環境の面では、円安や物価上昇により家計の余裕が減少しており、「家計に余裕がない」(25.9%)、「趣味や旅行への支出を減らしている」(15.6%)と答える人が増えた。一方で、年末年始の旅行者に対する「旅行先検討における後押しとなるサービス」に関するアンケートでは、「クーポンやセールなど割安な旅行」(34.0%)、「旬の食材を使った限定プランやメニューの提供」(25.9%)など、価格面と付加価値を両立させた旅行商品への需要が高まっている。


