観光庁、クマ対策など安全・安心強化へ 令和7年度補正予算225億円を計上

  • 2025年12月1日

 観光庁は、令和7年度補正予算として総額225億円を計上し、地方誘客促進やオーバーツーリズム対策、安全・安心の強化に向けた施策を推進する。相次ぐクマ出没への対策や、多言語による災害時情報発信を含む観光危機管理体制の整備が盛り込まれた。

 補正予算での主要事業の一つとなる「インバウンド安全・安心対策推進事業」(総額8億8000万円)では、観光施設などを避難所として機能させる設備整備、非常用電源装置や熱中症対策機器の導入、災害用ドローンの活用を支援するほか、クマ出没情報の多言語発信体制を整備する。

 観光庁は、クマの目撃件数が全国的に増加する中で、観光客の安全確保と地域経済の持続的発展を両立させる必要があるとし、地方自治体やDMO、民間事業者による情報共有体制を後押しする。特に訪日外国人向けには、正確な注意喚起や避難情報の提供が求められている。

 また、同事業では、医療機関における多言語対応やキャッシュレス決済導入支援、訪日客向け医療保険加入促進なども含まれており、地方誘客の拡大とともに安全・安心な旅行環境の構築を図る。

 このほか、補正予算では観光交通の確保、省力化・省人化の推進、ユニバーサルツーリズムの環境整備なども重点分野として盛り込まれた。観光庁は、持続可能で高付加価値な観光立国の実現を目指し、地域住民と観光客が共生できる観光基盤の整備を進める構えだ。