“ホームトラベルエージェンシー”で地域に寄り添う-親子で紡ぐ家族経営の現場と、福岡で歩み続けるティーアイプロジェクト
福岡市を拠点に、地場企業の出張手配や団体旅行を支え続けてきた株式会社ティーアイプロジェクト。今年で創業30年。オンライン予約が普及し、旅行会社の役割が揺れ動く中、同社は「ホームトラベルエージェンシー=かかりつけの旅行会社」という独自の理念を掲げ、地域に深く根ざした存在として歩んできた。代表取締役社長・石川哲也氏、そして2022年に家業へ加わった営業企画部長・石川龍之介氏に、30年の軌跡と家族経営ならではの強み、そして今後の構想を聞いた。
石川 哲也 氏 当社は1996年に創業し、今年で30年になります。私はもともと福岡の旅行会社の東京支店で働いていましたが、倒産を機に福岡へ戻りました。一度はホテル勤務に就いたものの、やはり旅行業への思いが断ち切れず、独立を決意しました。創業当初は地場企業の出張手配が中心で、航空券・ホテル・JRなどの手配をお任せいただいていました。ここ5〜6年は、社員旅行や団体旅行など受注型企画旅行が増え、事業の軸が大きく広がりました。
石川 龍之介 氏 私は3年前に入社しました。大学は理系、就職先は医療業界で、人事やドクター向け転職支援に携わっていました。家業を継ぐつもりは当初ありませんでしたが、コロナ禍で落ち込む父の会社を見て「今こそ支えたい」と感じ、また父の説得もあり、転職を決めました。前職で培った“他部署との調整力”や“資料を整えて外部に出すスキル”は、旅行業でも大きな力になっています。
哲也 氏 「ホームトラベルエージェンシー」とは、かかりつけ医ならぬ“かかりつけの旅行会社”という意味です。出張でも家族旅行でも、まず相談していただける存在でありたい。ネット予約が当たり前の今、安さだけでは選ばれません。信頼関係を積み重ねることで、「多少高くても任せたい」と思っていただける関係を築いてきました。
龍之介 氏 家族4人で365日対応できる体制も強みです。深夜でもLINEで相談が届くことがありますが、家族経営だからこそ即座に対応できる。こうした姿勢が、結果的に顧客満足度につながっています。
また、父は福岡で30年近く業界に携わってきたため、地元での人脈は非常に広いです。イベントや会合に参加すると、名刺交換をした6〜7割の方が「石川さんのところ?」と声をかけてくださる。こうした“顔の見える関係性”が、当社の最大の資産です。
哲也 氏 近年当社が力を入れているのが、ジャーナリストと巡る受注型企画旅行です。山口紀之さんや門田隆将さんといったジャーナリストの方々と一緒に歴史を学ぶ台湾ツアーなど、プレミアムな企画旅行を毎年5〜6本催行しています。紹介制でクローズドですが、企業経営者の方も多く参加されます。参加者同士が意気投合し、次の旅行も一緒に企画するなど、独自のコミュニティが生まれているのも特徴です。
ツアー終了後には、写真をまとめた“紙の旅アルバム”をプレゼントすることもあります。デジタル全盛の時代だからこそ、温かみのあるアナログの価値も大切にしたいと思っています。
龍之介 氏 予約方法は大きく変わりました。以前のようにチケットを届ける時代ではなく、LINEやメールで簡単に相談が届く時代です。PCさえあれば、どこにいても即時手配できます。一方で、社内業務は紙ベースの部分も多く、旅程表の共有や情報管理の方法は改善の余地があります。今後はデジタル化を進め、効率化と品質向上を両立させたいと考えています。




