「サウンド・オブ・ミュージック」60周年のザルツブルク、モーツァルトやクリスマス市などを軸に外客誘致を展開
■ 「きよしこの夜」生誕の地へは「ゲスト・モビリティー・チケット」を活用
ザルツブルク郊外のオーベルンドルフはクリスマスになると演奏される「きよしこの夜」が1818年に誕生した地として知られる。誕生時の教会は洪水で流され、現在は跡地に小さなチャペルが立つが、広場では毎年クリスマスマーケットが開かれ、クリスマス・イブにはミサが行われる。ザルツブルクの華麗なクリスマスマーケットと対照的な素朴さがあり、ぜひ組み込みたいところだ。
オーベルンドルフへはバスを手配して訪れることも可能だが、「ゲスト・モビリティー・チケット」を活用すれば公共交通機関の交通費が無料となる。このチケットはザルツブルク市が2025年5月1日から始めたサービスで、州内のホテルに宿泊する旅行者すべてが、宿泊ホテルに申請すればこのチケットを利用できる。オーベルンドルフへは30分程度なので、公共交通機関を利用した小旅行として、ぜひ活用したい。
■ ハネムーナーや記念イベント向けのホテル、コンサートや映画を活用し需要喚起を
宿泊施設としてはハネムーナーや記念イベント向けのホテル2軒を視察した。
まず城館ホテル「シュロスホテル・メンヒシュタイン」は昔ながらの城を改装した全24室の5つ星ホテル。高台にあるためアクセスはタクシーなど足が必要となるが眺めは良く、ゆっくり過ごしたい10名弱の小グループまたはFIT向き。城ができた当時からある14世紀のチャペルはウエディング利用が可能で、日本人のカップルも式を挙げている。
「ホテル・ザッハー」は全75室で、市内のアクセスも良く、散策や買い物もしやすい。ハネムーナーや記念日利用のFITなどが多く、グループ利用も可能だ。
ザルツブルクの丘の上に立つレストランM32では食事のほか、ザルツブルクのパノラマを楽しむことができるので、活用したい。
ザルツブルクの町は非常にコンパクトで治安も良く、ツアーでも先の「ゲスト・モビリティー・チケット」のほか、市内交通や主要観光スポットは「ザルツブルクカード」を活用することでコストが抑えられるだろう。何よりザルツブルクは大司教直轄領であったことから、ウィーンのハプスブルク文化とは一線を画した、独自の個性がある。こうした面も踏まえ、ぜひオーストリアの周遊旅行として組み合わせていきたいところだ。
なお、映画「サウンド・オブ・ミュージック」は2025年11月にリバイバル上映が、カメラータ・ザルツブルクは2026年春に来日が予定されている。ザルツブルクにふれる国内イベントなども活用しながら需要喚起を図り、送客につなげていきたい。







