フィンエアー、倉田新支社長が日本戦略を説明 旅行会社連携と教育旅行に注力

倉田博樹氏

 フィンエアーは10月8日、都内でメディアラウンドテーブルを開き、7月1日付で日本支社長に就任した倉田博樹氏を紹介した。アジア担当バイスプレジデントのパシ・クーシスト氏も出席し、日本市場の重要性と今後の販売戦略について説明した。倉田氏は日本市場における信頼回復と旅行会社との連携強化に向けた方針を示したほか、教育旅行など新たな分野への取り組みにも言及。これに先立ち、同社では10月2日に教育旅行・留学をテーマとしたセミナーイベント「第4回 Finnair Café」を開催しており、日本市場における新たな需要開拓に向けた動きが進んでいる。

 現在日本に拠点を置くクーシスト氏はラウンドテーブルの冒頭で「日本はフィンエアーにとってアジアで最も大きな市場。日本を拠点に活動することは自然な流れ」と述べ、日本市場をアジア事業の中核と位置づけた。また「日本のお客様は信頼性、品質、安全性、誠実さを重視しており、これはフィンエアーのDNAそのもの」と語り、ブランド価値との親和性を強調した。

 倉田氏は外資系航空会社での長年の経験を持ち、就任後初めて自社便に搭乗した印象について「非常にアットホームな雰囲気で、日本の文化に合った自然なおもてなしを感じた」と述べた。さらに、今年の5月から6月にかけて発生したストライキへの対応を振り返り、「約20万人のお客様に影響があったが、迅速かつ正確な情報提供を徹底し、ストライキ後には満足度を回復できた」と説明し、信頼回復への取り組みを強調した。

パシ・クーシスト氏

 現在の日本路線は、成田・羽田・関空のデイリー運航に加え、中部便を週4便運航し、合計で週25便を展開している。倉田氏は「これは日本市場への注力度を示す数字だ」と述べ、「2026年の夏も同様の体制を維持する予定」とした。一方、札幌や福岡などの運休路線については「現時点で再開の具体的な見通しはないが、需要動向を精査しながら検討を続けている」と述べ、慎重な姿勢を見せた。クーシスト氏も「ロシア上空を飛行できない影響で機材繰りが制約となっているが、ネットワーク全体を継続的に見直している」と補足した。

 また倉田氏は、日本の旅行会社との関係をより密にし、販売チャネルの再強化を図る方針を明らかにした。「この業界は旅行会社の皆さまの力で成り立っている。伝統的な販売経路を大切にしながら、オンライン販売や自社サイトも強化していく」と述べた上で、「外資系航空会社の中でもフィンエアーは特に旅行会社との結び付きが強い」と話し、業界との信頼関係を基盤にした販売方針を示した。

 さらに、近年課題となっている若年層の海外旅行需要の低下を踏まえ、教育旅行分野の開拓にも意欲を示した。「海外に出る若者が減っている中で、教育や留学を通じて早い段階で海外に触れてもらいたい。フィンランドは教育先進国であり、その価値を生かしたプログラムを旅行会社と連携して展開していく」と述べた。すでに旅行会社らと連携し学校へ提案を行うなど取り組みが進んでいるという。

 また、フィンランドの強みでもあるサステナビリティを軸にしたテーマ型旅行にも注力する考えで、「サステナビリティは教育旅行にもうまくマッチさせることができるはず。そういったあるテーマにフォーカスした商品造成を旅行会社の方たちと一緒にやっていきたい」と語った。

 挨拶の最後に倉田氏は「旅行会社との協業、そしてJL、BA、IBとのジョイントビジネスを通じてビジネスの拡大に繋げていければ」と述べた。クーシスト氏も「今後も日本市場のニーズを反映した商品とサービスの改善を続ける」と述べ、日本市場への長期的なコミットメントを改めて示した。

次ページ>>Finnair Café、フィンランド教育旅行の魅力とは