フィンエアー、倉田新支社長が日本戦略を説明 旅行会社連携と教育旅行に注力
フィンエアー日本支社が10月2日に開催した第4回「Finnair Café」。同イベントは、北欧の魅力発信と旅行業界との交流を目的にフィンエアーが定期的に実施している少人数制のセミナーシリーズで、毎回テーマを変えて旅行会社やパートナー企業と意見を交わす場として続いている。今回は「フィンランドへの教育旅行・留学」をテーマに、旅行会社や教育関係者を対象に開催された。
冒頭、倉田氏は「留学と言うと、米国や豪州、英国といったところが頭に浮かぶが、昨今はフィンランドでも盛んになってきた」と発信し、「(日本市場では)これまでオーロラやムーミンといった部分で非常に好評をいただいていたが、教育や留学についてはこれから開拓していく新しいセグメント。今回のセミナーが今後の商品造成に繋がれば」と述べ、教育旅行分野への期待を示した。
ゲストスピーカーとして登壇したATIの上杉氏は、教育旅行専門会社としての立場からフィンランドの魅力を語った。「コロナ以降、中高生のフィンランドプログラムが非常に増えている」との現状について紹介するとともに、大学生のフィンランド研修では、参加者から"人生観が変わった"との声が聞かれたと述べ、体験型学習としての価値を強調した。また、書籍『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』から"決まりを教える日本、本質を考えるフィンランド"との言葉に触れ、「自然体で生活の中で幸せについて本質を教えてくれるのがフィンランド」と発信した。
さらに上杉氏は、「語学研修中心だった教育旅行は、これから"ウェルビーイング"を重視する時代に変わっていく」と指摘。「ネイティブの英語圏ではなく、第2言語として英語を話すフィンランドのような国の方が、生徒が安心して交流できる。保護者からも"ネイティブの国ではないからこそ申し込みたい"という声が増えている」と述べた。ホームステイや職業訓練学校の見学など、生活や仕事を通して学ぶ体験が重要になるとし、「フィンランドの教育旅行には、日本人が学べる、学ぶべき要素がすごく詰まっている」と語った。
クオニイツムラーレの村松氏は、教育旅行の現場から見たフィンランドの可能性を紹介した。「コロナ前はカナダやニュージーランドの代替地としてフィンランドを検討する学校が多かったが、当時は受け入れ体制が十分でなく、実現が難しかった」と述べた上で、「近年はウェルビーイングやサステナビリティといったテーマを含むプログラムへの関心が高まっている」と説明。
一方で、現在はヘルシンキ市内への視察が各国から殺到している関係で、受け入れが制限されているため、近郊都市やオウルなど地方での視察を推奨しているという。「オウルは教育関連大学が多く、教育関連の視察の受け入れが積極的。ICT教育の見学にも適している」とのこと。同イベントでは他にも、実際のフィンランド留学経験者によるトークセッションなども実施し生の声を紹介。フィンエアーは今後も業界との連携を深めながら、セミナーなどを通じてフィンランド教育旅行の魅力と可能性を継続的に発信していく方針だ。