アフリカ観光の可能性に日本人バイヤーも手応え、Africa’s Travel Indaba 2025

 南アフリカ観光局が主催するアフリカ最大の観光トレードショー「Africa’s Travel Indaba 2025」が、先ごろダーバンで行われ、27カ国から1348社の出展者、55カ国から1037名の有力バイヤーが集結。会期中には2万4500件以上の商談が行われ、前年を7.7%上回る9990人が来場するなど、過去4年間で最も活気ある開催となった。

 会場となったダーバンICCは、アフリカ大陸の観光資源と可能性を体感できる場として、終始エネルギーに満ちていた。オープニングイベントでは、歌のパフォーマンスが披露され、文化や感性に訴える演出がビジネスイベントの枠を超える印象を与えた。

文化と商談が融合する「体験型トレードショー」

 展示フロアでは、一部ブースのスタッフが伝統衣装で来場者を迎え、南アフリカ産ワインの試飲を提供するブースも。中庭では、アフリカならではの打楽器「ジャンベ」の音に合わせて参加者が踊る光景が広がり、文化交流の要素が随所に盛り込まれていた。屋外には現地料理のキッチンカーが並び、食を通じて地域の魅力を味わえる環境も整えられていた。商談の合間には、特産品を販売するブースを訪れ、地域の魅力に触れるひとときを楽しむバイヤーの姿も。ビジネスの場でありながら、現地との接点を自然に持てる構成となっていた。

即興で踊りに参加する参加者、トレードショーながらこういった風景が面白い

 今回も南部アフリカ諸国を中心に、特に南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエなどからの出展が目立った。業種ではゲームロッジを含めた宿泊施設やツアーオペレーターらが多く、自然体験や文化交流を重視したアフリカらしい出展者が並んだ。また、各国政府観光局や地域DMO、航空会社のほか、飲食、交通といった周辺業種も出展し、様々なサプライヤーを網羅できるのが印象的。

アフリカの各地域からサプライヤーが集結

 最終日に行われた記者会見では、主催者らが今回の成果と今後の展望を語った。南アフリカ観光局CMOのテンビシレ・セホホ氏は「今年はアフリカからの出展者が増え、連帯感がこれまで以上に高まった。中小企業支援の一環として400社以上が参加し、サステナビリティ・ビレッジではアートやクラフトを手がける地元企業に無償で出展機会を提供した」と強調した。

 また、クワズルナタール州観光局のシブシソ・グンビCEO代理は、観光新規参入企業26社を支援したことに触れ、エスワティニ観光局やマロティ・ドラケンスバーグ・トランスフロンティア保護地域とのマーケティング協定を結んだほか、州内で建設が進むクラブメッドや航空会社と誘客に関する話し合いを設けたという。

 ダーバンツーリズムのウィニレ・ムテュングワ副局長は、「経済波及効果は市中心部にとどまらず、タウンシップや郊外の観光事業者にも広がった」と強調。視察ツアーやポストイベントを通じて地域全体が恩恵を受けた点を評価した。

(左から)ダーバンICCのサンディレ・マカニャ氏、ダーバンツーリズム副局長のウィニレ・ムテュングワ氏、クワズルナタール州観光局CEO代理のシブシソ・グンビ氏、南アフリカ観光局CMOのテンビシレ・セホホ氏

 こうした成果は数字にも表れており、今回のINDABAがもたらした直接経済効果は約47億円、直接支出だけでも約19億円に達した。2000件以上の雇用が創出され、世帯への収入貢献額は約11億3000万円にのぼるとした。