地方観光の担い手不足と季節格差に課題感、阪急交通社国内旅行推進協力会が役員総会 海外人材の必要性訴え

  • 2025年7月7日

 阪急交通社国内旅行推進協力会は7月7日、都内で役員総会を開催した。総会には全国の会員企業から多数が出席し、2025年度の目標や今後の観光促進施策について議論が交わされた。観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査(2024年・年間値)」によると、日本人延べ宿泊者数は前年比1.0%減の4億9460万人泊となり、国内旅行市場の伸び悩みが続く中、業界の連携強化と市場再活性化に向けた意見交換の場となった。

 冒頭挨拶に立った村木營介会長は、会員数が前年から137社増えて5700社を超えたことを報告し、阪急交通社の国内旅行における企画・手配旅行の目標として、それぞれ年間220万人、25万人の送客が掲げられていることに言及。「(観光業は)誰か一人が儲かる産業ではなく、地域と業界が一体となって盛り上げていくもの」と述べ、持続的な連携の必要性を強調した。

 記者団からの取材では、各地の観光事業者が抱える課題と今後の展望が語られた。村木会長は「地方の観光回復には地域差があり、宿泊施設は季節波動の影響が大きい。オフシーズンの集客が一番の課題」と述べた。田中雅彦副会長は「都市部と地方で回復の格差が顕著。バス会社など交通事業者では人材確保も課題」として、教育旅行やラーケーション等を活用した平準化策に期待感を示した。

 前田健二副会長は、担い手不足への対応として海外人材の活用に触れた。活用が進む特定技能制度に対し、一部では移民政策ではないかとの議論もあるなかで、前田副会長は「しっかりと大学などで勉強してきた人に対し日本人同等の給料を出しており、それを移民政策とすることが理解できない」と述べ、海外人材の必要性を訴えた。

 また、総会冒頭には阪急交通社の酒井淳社長が登壇し、「テーマ型商品や地域との連携を深め、お客様がワクワクするような商品造成を推進していく」と述べ、国内旅行活性化に向けた取り組みを継続する姿勢を示した。