日本人観光客、2019年水準回復近く スペイン観光局が日食・ガストロノミーなどの魅力訴求

東京都美術館にて開催されているスペインの芸術家ジュアン・ミロの作品を集めた「ミロ展」に合わせ、スペイン大使館観光部およびカタルーニャ州政府観光局によるプレゼンテーションが実施された。旅行会社やメディア関係者らが多数集まり、スペインの観光市場の現状や今後のプロモーション戦略について最新情報が共有された。
スペイン大使館観光部観光参事官のハイメ・アレハンドレ氏は、コロナ禍からの回復傾向に言及し、2024年の日本人観光客数が2019年比の61.5%まで回復したこと、平均滞在日数や旅行者1人あたりの消費額も回復基調にあることを報告した。また、日本人観光客数は2025年最初の2ヶ月が好調だったことから、本年中に19年比100%の回復の可能性もあるという。
プレゼンでは、2025年のプロモーションとして大阪・関西万博への出展や、7月10に予定する世界遺産都市と歴史的建造物を改装した宿泊施設「パラドール」の紹介イベント、さらにはファムトリップなどを実施していくことが紹介された。また、今後の注目として「日食」を挙げ、2026年から3年連続でスペイン各地で皆既・金環日食が観測可能であることから、これを活用した商品造成への期待を示した。
カタルーニャ州政府観光局からは、アジア・パシフィックディレクターのラウル・ゲラ氏が登壇。2025年に同州が「世界ガストロノミー地域」に選定されたことを受け、本年は同地の食の魅力を積極的に発信する。5月26日には東京都内で「TASTY CATALONIA」を開催し、ミシュラン星付きシェフによる特別なディナーを提供するとともに、現地サプライヤーとのワークショップも実施するという。
カタルーニャ観光の魅力としては、バルセロナの公共空間に点在するジュアン・ミロの芸術作品や、近く完成を迎えるサグラダ・ファミリア、バルセロナ市内や郊外に位置する知られざるガウディ建築なども紹介された。また、4月23日はカタルーニャの伝統的な祝祭日「サン・ジョルディの日」で、恋人など親しい人に本や花を贈り合うというロマンティックな文化も紹介された。
プレゼン終了後は、立食形式のカクテルパーティーとともに、1966年の日本での初の個展に並ぶ最大規模の「ミロ展」の内覧会が実施され、参加者にとってはスペインの芸術の魅力に触れる機会となった。
なお、ミロ展は7月6日まで東京都美術館で開催されており、ジュアン・ミロ財団の全面協力のもと、スペイン、フランス、米国、日本の所蔵作品約100点が展示されている。巡回は行われず東京会場のみの開催となる。