マカオ政府観光局、2025年に観光客数完全回復へ 日本市場も大幅増

マカオ政府観光局は16日、都内でメディアラウンドテーブルおよびグループインタビューを開催し、日本市場の現状と今後の展望について説明した。日本からの訪問者数も回復基調にある中で、観光局はBtoB・BtoC双方に向けた施策を強化し、2025年の完全回復とさらなる成長を目指す方針を示した。
マカオ政府観光局の発表によると、2024年の日本からの訪問者数は前年比68.2%増の12万6424人となり、2019年(29万5783人)の水準には戻っていないものの国別入国者数ではトップ10入りした。全体でも、2024年のマカオへの入国者数は3492万8650人で、2019年比89%と回復には至っていない。しかしながら、今年1~2月は前年同期比10%増を記録しており、今年はコロナ前の水準回復、またはそれを上回る可能性があると強調した。
日本市場は19年比の回復率が依然5割未満にとどまるが、同局はこれを「伸びしろが大きい市場」と捉え、重点的なアプローチを継続する考え。マリア・へレナ・デ・セナ・フェルナンデス局長は「短期的な成果よりも持続的な関係構築を重視している」と述べ、将来的には日本でのオフィス開設も視野に入れていることを明かした。
また、直近の日本人観光客の傾向についてフェルナンデス局長は、依然40代~50代以降が多いものの、今後はZ世代を中心とした若者への訴求を強化する方針を示した。理由として「テクノロジーやSNSがどんどん発達する中で、若い世代を取り込むこと、常に新しい属性に訴求していくことが大事」と語っている。
一方で、昨年全体の入国者数の約7割を占める中国市場を巡っては、米国との貿易戦争や経済動向が注目される。これに対しフェルナンデス局長は、現時点でマカオの観光市場への影響はないとしたものの、「現状が続けば、遠方への旅行を避けたいとの考えから、近場のマカオへの観光客が増える場合と、支出を抑えたいとの考えから旅行自体を減らす可能性の両方が考えられる」と見解を示した。
カジノ"以外の"開発着々
アクセス面では現在、マカオ航空が成田・関空から直行便を運航するほか、香港国際空港からマカオへの直通バスを利用すれば1時間以内でアクセスが可能と利便性も向上している。一方で、フェルナンデス局長は、香港やマカオへの直行便は訪日需要により座席の多くが埋まっていることから、今後の座席供給量の拡大を要望しているという。
現地の観光インフラも進化を続けており、フォーブスの5つ星ホテル数では世界最多を3年連続で維持。ライトレール網の拡張や、クルーズ、ショーなどでも新たな魅力を拡充している。また、「TOURISM+(プラス)」政策により、文化、食、テクノロジー、スポーツなどとの融合を図り、観光に新たな価値を付加している。
さらに、IR事業者による非ゲーミング分野への投資が観光活性化に貢献しており、文化イベントやスポーツ大会、地域観光資源の活用などが進行している。これらの取り組みは政府と事業者間の厳格な計画・監査体制のもとで展開されているという。