やりたいことを旅のカタチに-挑戦を楽しむ、はねたびツアーズ苅野龍大氏の未来戦略

苅野 現在、はねたびツアーズは少人数の体制で運営していますが、手配業務の多くは信頼できる外部パートナーに依頼しています。バスの手配は業界に精通した専門の方に、ガイドは豊富なネットワークを持つコーディネーターに、といった具合に、分野ごとに信頼できるプロフェッショナルと連携しています。一方で、旅の満足度を大きく左右する重要な要素については、私たち自身が責任を持って選定し、施設やサービス提供者との交渉・調整も自社で直接行っています。
また、関連事業者からの新たな提案や飛び込み営業にも柔軟に対応しながら、仕入れネットワークを着実に拡大しています。こうした体制により、信頼できるパートナーに実務を委ねつつ、私たちは「お客様のご要望をどのように形にし、喜んでいただけるか」といった企画・プランニングに注力できることが大きな強みです。
加えて、AIなどの新しい技術も積極的に活用しており、意思決定の迅速化や業務効率化、企画立案の精度向上に役立てています。こうした新たな取り組みを通じて、取引先の要望に柔軟に応えつつ、より満足度の高い旅行プランの提供を目指しています。
苅野 現在、売上の大部分をB2Bのランドオペレーター事業が占めていますが、第三種旅行業登録を済ませたことで、今後は、WebやSNSを活用して、海外からの個人のお客様向けにオーダーメイドツアー(受注型企画旅行)の販売を始める予定です。これまでのランドオペレーター事業に加えて、B2C市場にも積極的にアプローチしていきたいと思っています。
着々と、特別な価値を求めるお客様へ、旅行全体に特別感をちりばめ、企画から手配、案内、記録に至るまで、すべて自社リソースで心を込めた旅をご提案できる体制づくりを進めています。こうした取り組みを通じて、お客様にとって本当に心に残る、唯一無二の旅の体験をお届けしたいと考えています。
その一環として、二種免許とドローンの国家資格を取得しました。将来的には、私自身が自ら運転してお客様をご案内したり、旅の思い出を特別な映像として残したりすることを目指しています。すでに、映像やWebといったデジタルコンテンツの制作も手がけており、今後は、より伝わるコンテンツづくりに力を入れていきたいと考えています。
さらに、欧米市場への進出も見据えています。アメリカやベトナムにはすでにグループ会社があり、タイミングを見ながら、事業展開を目指しています。将来的には、インバウンドに限らず、アウトバウンドのランドオペレーター事業にも活動の幅を広げていきたいと考えています。
苅野 旅に出るときのワクワク感やドキドキ感は、昔から大好きでした。見たことのない景色、知らない文化、そして人との出会い——そんな旅の魅力は、今でも私の原動力です。今だからこそ、動けるうちに、自分の「やりたいこと」をひとつずつ形にしていきたいと考えています。「これ、面白そうだな」「誰かに喜んでもらえるかもしれない」と感じたら、まずは行動してみる。その積み重ねが、新たなチャンスやご縁につながっていくと信じています。
また、どれだけ経験を積み、年齢を重ねても、新しい視点や技術に目を向け、自分自身をアップデートし続けることが大切だと感じています。同じ業界で活躍されている皆さまとも、こうした前向きな気持ちを共有しながら、旅の楽しさやその価値を、これからも一緒に広げていけたら嬉しいです。