やりたいことを旅のカタチに-挑戦を楽しむ、はねたびツアーズ苅野龍大氏の未来戦略

  • 2025年4月14日

 インバウンド観光の回復が進む中、訪日旅行のオーダーメイド手配を主軸に、着実な成長を見せている「はねたびツアーズ」。代表・苅野龍大氏は、B2BからB2Cへ、さらには欧米市場やアウトバウンドへの展開も視野に入れ、事業の幅を広げている。小さな組織だからこそできる機動力と、信頼でつながる外部パートナーとの連携。そして、「旅を心から楽しむ」姿勢。その原動力と今後のビジョンを語ってもらった。



-まずは、自己紹介と旅行業界との出会い及び起業の経緯についてお聞かせください。

苅野 龍大 氏(以下敬称略) 1971年生まれ、大阪で育ちました。1990年の花の万博でアルバイトをしていたことをきっかけに世界への関心が高まりました。もともと飛行機が好きだったこともあり、自然と旅行業に惹かれていきました。

 ランドオペレーターという仕事に興味を持ち、1995年に通勤に便利なランドオペレーターへ飛び込みで履歴書を持参し、後日面接の機会をいただき、採用されました。その後、一度退職したものの復職し、約15〜16年間、主に中国や東南アジアのアウトバウンド企画営業を担当。その経験を生かし、インバウンド需要の高まりと共に訪日旅行にも携わるようになりました。

 インバウンド事業が軌道に乗り始めた矢先、新型コロナウイルスの影響で退職を余儀なくされました。正直、どんな仕事でもやっていける自信はありましたが、周囲から「もう一度旅行業に戻ってみては?」という声を多くもらいました。これまでの経験やスキルを改めて見つめ直し、「やりたいことを自由にできる、自分の会社をつくろう」と心に決め、起業セミナーや勉強会にも積極的に参加しました。多くの支えを受けて、2023年4月に前身であるティーイーエックスジャパン合同会社を設立しました。これまでアウトバウンドとインバウンド、両方に対応できるランドオペレーターとしての経験がありましたが、まずはインバウンドを主軸に事業を展開。2025年3月、第三種旅行業の登録をきっかけに、次のステージを目指して、海外営業で親しまれていたサブネームをそのまま正式な社名にして、「はねたびツアーズ(HANETABI TOURS)」にリブランディングしました。

-事業の特徴と成功事例についてお聞かせください。

苅野 はねたびツアーズは、海外の旅行会社向けに、訪日旅行のオーダーメイドプランを提供するランドオペレーター事業を展開しています。創業当初は個人旅行(FIT)の手配も行っていましたが、効率と収益性を踏まえ、現在はインセンティブ旅行、企業研修、大家族旅行など、まとまった人数でのグループ手配に力を入れています。取引先の多くはASEAN地域の旅行会社で、現地の取引先との信頼関係を築きながら、事業を広げてきました。年に数回は現地を訪問し、既存の取引先との対話を重ねるとともに、新たなビジネスパートナーを紹介していただきながら、着実にネットワークを拡大しています。

 私たちは、決して安さで勝負する会社ではありません。提案力と手配の正確さ・質の高さを重視し、信頼を積み重ねています。お客様に『期待以上だった』と思っていただけるよう、宗教や文化、食習慣にもリスペクトを持ち、細部にまでこだわった手配を行っています。最近では、宗教や各種テーマに関連する聖地巡礼など、多様なニーズへの対応が求められる依頼が増えています。リピート率や紹介率の高さこそが、お客様の満足度、そして私たちの信頼を裏付けるものだと考えています。