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ホールセール事業と専門特化型B2Cの両軸で挑む、人が介在することで生まれる価値-チックトラベルセンター 代表取締役社長 山口寿史氏

  • 2025年3月23日
-チックトラベルセンターの強みについてお聞かせください。

山口 当社の強みは、ロングホール(長距離路線)に特化していることです。名古屋にはロングホールに特化した会社がほぼなかったため、中部国際空港を起点に、羽田・成田・関空へと取り扱いを広げていきました。拠点は名古屋ですが、お客様は全国に広がっています。

 コロナ前はフィンエアーを始め欧州系の取り扱いが多かったですが、現在は中東系の扱いも増え両輪となっています。ヨーロッパ、中東、カナダ、オーストラリア路線が取り扱いの大部分を占めます。ただし、アジア路線には参入していません。アジアには専門のホールセラーが強固なネットワークを築いており、後発で参入しても勝ち目が薄いと判断したためです。

 当社の主力はプライベート運賃、パッケージ運賃、団体運賃など、一般的な公示運賃とは異なる商品です。特に団体運賃の取り扱いが多く、旅行会社さんが簡単にネットでは予約できない案件に対して、最適なルートやキャリア、運賃のコンサルティングができるのが強みです。特にロングホールは単純往復だけではなく、周遊ルートや特殊な運賃の組み合わせが可能なので、お客様の要望に合わせた最適な提案が求められる分野です。ここで、当社の知識と経験が活きています。

-神奈川大学観光ラウンジ特設サイトの開設の経緯や目的についてお聞かせください。

山口 以前は別の会社が運営していたのですが、変更となるタイミングで当社もコンペに参加しました。結果として、旅行業務だけでなく、教育的な支援を行うラウンジとしての役割を担うことになりました。

 旅行相談だけでなく、学生の留学サポートや、観光学関連の授業の補助、さらには海外実地研修の企画や手配など、教育機関と密接に連携しながら運営しています。また、大学と連携することで、若い世代の視点を学びつつ、新しい形の旅行業の可能性を探ることができる貴重な機会になっています。

 元々当社の顧客層はシニア層が多かったため、若年層との接点が少なかったのですが、このプロジェクトを通じて新たな市場との接点を持てることも大きな意義があります。ここで培った研修旅行に関する知見は、今後他の大学でも展開していくことを視野に入れています。

-今後の展望について教えてください。

山口 当社の基本方針は「人が介在することで価値を生み出すこと」です。今の時代、航空券やホテルはスマホで簡単に予約できます。だからこそ、スマホで完結することはやらない。私たちは、コンサルティング力が求められる案件に特化していきます。

 例えば、今取り組んでいる教育旅行や海外演奏ツアーのような、目的そのものをサポートするような仕事が今後はより重要になると考えています。また、アウトバウンド市場はコロナ前の2000万人規模には戻らないと見ていますが、単価が上がっていることもあり、そこに少なからず比例する価値を提供していく必要があります。

 また、これまでアウトバウンド100%だった当社ですが、今後はインバウンドにも力を入れます。例えば、海外演奏ツアーのインバウンド展開。海外で培ったノウハウを国内で活かし、演奏旅行の受け入れを拡大していきたいと考えています。楽器の輸送やホールの特性に関する知識や集客など、アウトバウンドで積み上げたノウハウを活用すれば、日本での演奏旅行にも新たな価値を提供できるはずです。

 また、教育旅行もインバウンド展開を考えています。かつてオーストラリアにいたとき、ホームステイの裏側を見てきた経験があります。当時、日本への外国人観光客は少なかったですが、今は状況が変わり、教育や研修目的で来日する人々も増えています。こうした目的のはっきりした旅行の受け入れは、今後の大きなテーマになっていくでしょう。

-最後に、観光産業で働く読者へのメッセージをお願いします。

山口 旅行業は営む方も楽しいですし、お客様も楽しい、素晴らしい仕事です。私自身、若い頃に教育にも興味を持ち、それが今の仕事にも繋がっています。若い世代にこの業界の魅力をしっかりと伝えていくことが、私たちの役割だと考えています。これからも業界の発展に貢献し、新たな価値を生み出しながら、旅行業を次世代に繋げていきたいと思います。