ホールセール事業と専門特化型B2Cの両軸で挑む、人が介在することで生まれる価値-チックトラベルセンター 代表取締役社長 山口寿史氏

  • 2025年3月23日

 名古屋を拠点に、B2Bの航空券ホールセールと専門特化型B2C事業を展開するチックトラベルセンター。海外演奏ツアーや教育旅行といった目的特化型のサービスに強みを持ち、長距離路線に特化した航空券販売で業界内でも独自のポジションを確立している。同社の山口寿史社長に、これまでの歩みと今後の展望について伺った。

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-まず、ご自身の経歴についてお聞かせください。

山口 寿史 氏(以下敬称略) 私は名古屋で生まれ育ち、今年61歳になります。小中高と地元で過ごし、海外はテレビの中の世界でした。ただ、卒業文集に将来の夢を書くことになったとき、なんとなく海外に接点がある仕事をしたいなと思い始めました。当初は教師になることを考えていましたが、もっと広い世界を知りたくなり、大学では社会学部に進みました。

 海外への漠然とした憧れはあり、大学生時代のバイト先の先輩がワーキングホリデーの経験者で、その話を聞いて「これだ!」と。英語もほぼ話せない状態でしたが、思い切ってオーストラリアに渡りました。現地では日本人向けのガイドとして働き、それが人生で初めての本格的な仕事でした。やがて就労ビザに切り替え、約3年半シドニーで働く中でガイド以外に旅行会社のカスタマーサービスの仕事も担うようになり、本格的に旅行業界に足を踏み入れました。

 1987年から1991年までオーストラリアの旅行会社で働いた後、バブル崩壊の影響で外国人に就労ビザが降りにくくなったことを契機に、帰国を決意。以前から「帰国したらうちに来い」と声をかけてくれていたチックトラベルセンターに、1992年に入社しました。2009年には社長に就任しました。

-チックトラベルセンターの設立の背景や、これまでの事業展開について教えてください。

山口 1977年4月、創業者の青木が会社を立ち上げました。自身も大学卒業後イギリスに渡った経歴があることから「海外に住んだ経験があり、海外に強い人間を雇う」というポリシーでした。

 創業当初はB2Cの小規模多店舗展開を軸に、名古屋近郊に営業所を増やしていきました。海外経験のある地元出身のスタッフが、アウトバウンドに特化した地元密着型営業をすることで、専門性を活かし地場の良いお客様と繋がることで強みを持たせていました。しかし、規模が大きくなるにつれて、海外に詳しくないスタッフも増え、専門性が薄れるリスクが出てきたんです。

 そこで転機となったのが、当時のカナディアン航空の名古屋就航でした。これを機に航空券ホールセラーとしてまずはカナダ方面に特化した航空券ホールセラーとしてB2B事業にも本格的に取り組み始めます。その後、ヨーロッパや中東といったロングホール路線に強みを持ち、IATAの取得を経て、航空券ホールセール業務を拡大していきました。現在はB2B事業と、海外演奏ツアーや海外就業体験などの専門性の高いB2C事業の両柱で会社を支えています。