シンガポール、観光収入が過去最高記録 日本市場も大きな伸び

  • 2025年3月10日

 シンガポールの観光業は2024年に大幅な成長を記録し、観光収入は過去最高額に達した。シンガポール政府観光局(STB)の発表によると、外国人訪問客数は前年比21%増の1650万人に達し、観光セクターの回復と成長が鮮明になった。

 2024年1月から9月までの観光収入は224億シンガポールドルとなり、前年同期比10%増加。特に「観光・娯楽・カジノ」分野が25%増と最大の伸びを示し、宿泊も17%増と堅調に推移した。観光収入の主要市場は中国本土、インドネシア、オーストラリアで、中国本土と日本の観光収入は前年から大幅に増加した。訪問客数では、中国本土が308万人、インドネシアが249万人、インドが120万人となり、航空ネットワークの拡大や相互ビザ免除制度の導入が成長を後押しした。

 観光業の活況はシンガポールのイベント開催にも表れた。Coldplayやテイラー・スウィフトなどの世界的アーティストによるコンサートをはじめ、「F1シンガポールグランプリ」や「シンガポール・アート・ウィーク」などの国際イベントが観光需要を刺激した。また、家族向けの観光スポットとしては、「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」や「マンダイ・ワイルドライフ・リザーブ」が引き続き高い人気を誇った。

 ホテル業界も成長を遂げ、平均客室単価(ARR)は276シンガポールドル(前年比1.4%増)、販売可能な客室1室あたりの収益(RevPAR)は226シンガポールドル(前年比3.0%増)に上昇。新規ホテルの開業も相次ぎ、宿泊施設の充実が進んだ。

 STBはデジタル旅行プラットフォームや航空会社との連携を強化し、シンガポールの観光ブランド価値向上に取り組んでいる。2025年には、外国人訪問客数1700万~1850万人、観光収入290億~305億シンガポールドルを見込んでおり、引き続き質の高い観光成長を推進するとしている。