「ザ・リョカンコレクション」20周年、広がる日本旅館の魅力と新たな仕掛け

2004年に誕生した「ザ・リョカンコレクション」が、昨年8月に20周年を迎え、その節目を祝う記念レセプションが2月20日にThe Okura Tokyoで開催された。約120名の業界関係者が集い、日本旅館の魅力と今後の展望について共有する機会となった。
「ザ・リョカンコレクション」は、日本旅館の国際的な発展を目的に、日本初の旅館コンソーシアムとして設立された。ヨーロッパの小規模ホテルに見られるコンソーシアムモデルを導入し、現在、厳格な審査基準を満たす全国53の加盟旅館とともに、海外マーケティングや業務効率化支援を展開している。発足当初、コンソーシアムのプラットフォームを通した年間予約人数は200名だったが、現在では年間5万人を超え、海外ロイヤリティプログラム会員も10万人に達している。
今回、本誌などの取材に応じた同コンソーシアムの運営を手がけるアールプロジェクトインコーポレイテッドの福永浩貴代表は「立ち上げ当初は、海外の方にとって旅館はほとんど馴染みがなかった」と振り返ったが、「この20年は、日本のインバウンド政策が成長した一方で、震災や感染症といった困難もあった。しかし、歴史と地域文化を担う日本旅館の価値が世界に認められたことが、ここまでの発展につながった」と語った。

また、旅館・コンソーシアムの認知向上に伴い、宿泊者のニーズにも変化が生じてきたと話す福永氏。例年実施している宿泊者向けのアンケートでは、旅館に対し「ウェルネス」や「地域との関わり・文化体験」といった要望が多く寄せられた。
これに対し、ザ・リョカンコレクションでは、地域の体験プログラムの開発・マーケティングを支援するコンシェルジュサービスに加え、日本酒業界とコラボした海外会員向けの有料プログラムを開始する。有料プログラムでは、レアな日本酒を購入できる権利や好みのお酒を滞在中に取り寄せられる特典などを用意。福永氏は「日本旅館と酒蔵は密接な関係がある」と話しており、同サービスを活用して旅館での満足度向上を図りたい考え。今後は「100年ブランド」を目指し、日本旅館文化と地域文化の維持・継承に向け、さらなる成長を続けるとしている。