JNTO、震災復興へ向けた北陸プロモーションで成果強調 地方誘客引き続き重視
日本政府観光局(JNTO)は22日、定例メディアブリーフィングを開催し、北陸地域の観光復興を目的としたJNTOの取り組みや、地方誘客に資する取り組みの成果を報告した。理事の出口まきゆ氏は、2024年の訪日旅行者数が約3700万人と過去最高を記録したことなどを踏まえ、「強い訪日トレンドを続けていけるようプロモーションしていければ」とコメント。一方、宿泊旅行統計では地方部に比べ三大都市圏の回復率が上回っており、引き続き地方誘客に取り組む方針を示した。
JNTOでは2023年度より地方誘客に重点を置いた事業を展開してきた。2024年度には、韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポールを重点市場としたアジアでの大規模キャンペーンを敢行。24年1月~10月の市場別の訪日者数の19年同期比での伸び率と、同期間の市場別の地方部への宿泊者数の伸び率を比較した場合、タイを除いた上記重点市場全てで地方部での宿泊伸び率の方が低く、地方誘客を推し進めたいところ。
大規模キャンペーンでは、訪日回数2~5回程度のライトリピーターをメインターゲットに、主に「OTA連携」、「メディア招請」、「インフルエンサー招請」の3点を実施した。
OTA連携は、市場毎の送客強化地域を絞り特設ページを開設し、販売強化したもの。昨年度はTrip.com及びExpediaと同様の取り組みを実施していたが、今年度はCtrip、KlooKと連携。11月時点で約3.7万件の予約数を記録した。
その他、メディア招請では群馬や栃木などの北関東にシンガポールメディアを、宮崎や大分など九州にタイメディアを招請。北関東では、原田農園での果物狩りや中禅寺湖のSUP体験などが高評価を得た一方で、「個人旅行者が効率的に回ることが難しく東京を拠点とした日帰りツアーが現実的」といった意見が寄せられた。九州では、鍋ヶ島や高千穂峡、地獄蒸し料理などが好評だったものの、こちらも一部エリアへの個人でのアクセスの難しさが指摘されたという。
震災から一年、北陸を含めた新ルートへの需要高まる
JNTOは北陸地域プロモーションにおいて、観光地や北陸新幹線に関する正確な情報発信を行うとともに、メディアや旅行会社、インフルエンサーを招請した誘客を促進してきた。結果として、能登半島地震が発生した24年1月~10月の北陸4県の外国人宿泊者数は、23年同期比93%増を記録、19年同期比でも57%増と伸びを見せた。
プロモーションは、アジアを中心に欧米豪も含めた各市場に合わせた取り組みを展開。韓国、中国、台湾、香港の4市場ではインフルエンサーを活用した動画や特設ページを制作。4市場の動画再生回数は計168万回にも及んだ。欧米豪市場向けには、グローバルメディアBBCと連携し、同社ウェブサイトにて被災地域の情報や、自然・職人・ガストロノミー・スピリチュアルの面から観光の魅力を訴求した。
JNTO海外事務所からは、オーバーツーリズムへの懸念から静かな場所への観光需要が高まりを見せていることや、金沢を中心に東京から北回りで京都・大阪へ行く北回りルートの旅行商品が複数出ているなどの情報が寄せられており、北陸を視察した海外旅行会社からも、ゴールデンルートではなく新しいルートの提供が必要との声が挙がったとのこと。
JNTOでは現在も、フランスの富裕層取扱旅行会社を招請した北陸4県のファムトリップを26日まで実施している他、2月には石川県庁と連携し、能登半島の観光促進を目的とした情報発信を行う予定だ。