観光立国推進協議会が第11回会合、訪日3600万人に喜び表明 訪日客の地方分散について議論
観光業界を中心とした企業トップ100名からなる「観光立国推進協議会」は1月15日、都内で第11回観光立国推進協議会を開催した。今回は旅行、宿泊、交通、飲食などを中心とした企業・団体の委員や代理人が69名参加。冒頭に挨拶した、協議会の委員長を務める日本観光振興協会(日観振)会長の菰田正信氏は、4月に大阪・関西万博が開幕し、9月に東京2025世界陸上、11月にデフリンピックといった国際大会が開かれることに触れ「こうした機会をとらえ、国内観光およびインバウンド事業の恩恵を確実に日本各地の隅々まで行き渡らせるため、国の政策と歩調を合わせていきたい」と話した。
そのうえで同氏は観光産業の人手不足やオーバーツーリズム、円安や物価高によるアウトバウンドの伸び悩みなどを課題としてあげ「協議会の継続的な活動を通じ、観光を取り巻く諸課題について意見交換をおこない、協議会の皆様や政府との連携により、観光産業の更なる飛躍に努めてまいりたい」と話した。
続いて登壇した観光庁長官の秡川直也氏は「2024年のインバウンドは2019年のコロナ前の最高値を大幅に超える3700万人近い数字になり、消費額も8兆円を超える数字となった。皆様方の日々の具体的な場面での力添えが結集した成果」と喜びと謝意を表明。「今年はこういうトレンドを大切にしながら、インバウンド、アウトバウンド、国内観光の3つが同時に次のステージに行けるよう、皆様のお力をいただきたい」と協力を求めた。
なお、同日観光庁や日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによれば、2024年の訪日外客数は19年比15.6%増、23年比47.1%増の3686万9900人(※推計値)、訪日外国人旅行消費額は19年比69.1%増、2023年比53.4%増の8兆1395億円(※速報値)で、ともに過去最高を記録している。
観光立国推進協議会では、観光庁総務課長の多田浩人氏が昨年の取り組みを説明。訪日外客数や消費額の伸びが順調で、特に消費額については「日本の輸出産業のなかでも自動車産業に次ぐ第2の産業にインバウンドが成長している」と喜びを示した。一方で訪日客の宿泊先を見ると、24年10月のデータで三大都市圏が69%に対し地方部は31%と大都市に集中していることを説明。19年は63%対37%だったことからより大都市圏への集中傾向が強まっているとした。
また、多田氏は観光庁予算の推移についても解説した。25年案では当初予算が一般財源89億円、国際観光旅客税490億円の579億円にとどまったものの、国際観光旅客税の伸び悩みについてはアウトバウンドの戻りが遅いためであると説明。補正予算を除外した当初予算ベースではコロナ前の18年の282億円と比べると倍増しているとし、「伸びてきた予算を有効に使いながら、30年の目標である訪日外国人の旅行者数6000万人、消費額15兆円に向けて頑張っていきたい」とした。