新観光創造連合会(TIFS)会長 岡田直樹氏

  • 2025年1月10日

 観光産業に従事される皆さま、明けましておめでとうございます。

 今年は平穏な年明けを迎えることができ、皆さま心穏やかに正月を過ごされたことと思います。

 昨年を振り返って見ますと、皆さんご存じのように、訪日外国人客数及び国内旅行者数は堅調に推移した一方、海外旅行に関しては2019年比で7割強に留まりました。

 このトレンドは続くのか?海外旅行の復活はなるのか?訪日はまだまだ増えるのか?業界内では良く話題に上りますが、個人的な見解としては少なくとも日本人の国内外旅行は中長期的には減らざるを得ないと考えています。

 その理由としては為替や可処分所得の問題も有りますが、一番大きくかつ確実に影響を及ぼすのは日本の人口動態の変化です。

 現在の総人口約1億2,400万人が2050年には9,500万人(約23%減)と予測されており且つ、最もアクティブな生産年齢(15~64歳)に限ると4,900万人程度と現在より約33%減少します。

 これは日本人の旅行市場が長期的に大きく縮小する事実を示していると考えざるを得ないと思います。

 年始早々、耳障りの悪い話ですが、これはほぼ確実に起こる事実と捉え、観光産業の将来をどのようにデザインするのか、それが観光産業に携わる我々全員に課せられた最も重要な命題だと思います。

 業態や事業規模により、取るべき或いは取れる対応は変わってくると思いますが、特に小中規模の事業者は「小さい」ことの優位性を最大限に活かすことが鍵になると思います。

 相対的に小規模事業者の方が顧客(個人・法人問わず)との関係が深いと思われ、顧客のニーズや課題に旅行以外のサービスや商品も提案する、いわゆるクロスセルは有効な手立てだと思います。しかし、旅行以外の商品やサービスの開発・創造は単独では難しいため、当団体としては会員の皆さんに旅行以外の商材を積極的にご紹介して行くことを、今年の最重要テーマとして活動して参ります。

 また、今より2050年の人口が増えると言われている国はインドや米国、パキスタン、インドネシアに加えナイジェリアはじめアフリカの主要5カ国です。インバウンドに関してはほぼ手付かずのこれらアフリカ諸国へのアプローチを長期的視座に立って、興味が有る会員の方々と進めて行くような取組も出来ればと思っていますので、興味が有る方は是非ご入会下さい。