日本旅行代表取締役社長 小谷野悦光氏
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
令和 6 年元日に発生しました能登半島地震および同年 9 月の能登半島豪雨で被災されました方々に改めましてお見舞いを申し上げます。私たち旅行業と共に歩み、長きに渡り支えていただいてきた地域への恩返しの意味も込め、能登半島の復興支援については、旅行業として地域社会にできる支援を考え、本当の意味で地域が元通りになるその日まで長い期間を伴走させていただきます。
24 年、旅行業界はコロナ禍からの完全復活を掲げ、国内・海外・訪日が相互連携する三位一体となった、さらなる成長・発展を推進してまいりました。とりわけ訪日外国人旅行者数においては過去最高を記録し、いまもなお拡大の一途をたどる急成長曲線を描いています。インバウンド消費額の観点からも、輸出額としてすでに自動車産業に次ぐ規模にまで成長しており、旅行業界を含む観光産業は「国の基幹産業」とも呼べる力を付けてきました。ここ数年のもやが晴れ、旅行業界に対する夢や希望、そして未来志向でエンゲージメント高く働くことができる、現在そのような基盤が整いつつあるように感じております。
本年につきましては、4 月に国家的行事である「大阪・関西万博」が開幕します。多くの人に万博に訪れていただき、万博開催に込められた意義や価値を感じていただくこと、そのような機運醸成こそわれわれ旅行業界に期待される大きなテーマであると認識しております。さらにインバウンド事業とも紐づけ、オーバーツーリズムに対するひとつの答えとして、万博を起点とした大阪・関西発で広域な地域分散へとつなげていく取組を推進してまいります。
愛知県の休み方改革プロジェクトの一環としてはじまった「ラーケーション」の動きが全国に広がることも期待されます。この休暇取得促進のムーブメントは、平日への旅行平準化を促し、観光総需要の増加という業界の課題解決につながる取組です。さらに、働く方のワークライフバランスを向上させ、ウェルビーイングな社会形成を促す運動としての一面もあり、当社としても応援をしていきたいと考えております。
インバウンドの急拡大を契機に、持続可能な観光のあり方が議論に上がることが多くなりました。昨年度、当社は、持続可能な旅行と観光のためのグローバルスタンダードな国際認証であるGSTCに加盟をしました。現在では社員ひとりひとりが、地域と同じ視座を持ち、地域の社会課題を解決することを大切に心掛けております。関係人口の増加や経済の活性化といった地域の未来に向けての課題解決に大きく寄与できるサステナブルツーリズムを実現してまいります。
2025 年、当社は創業 120 年を迎えます。創業者は「常にお客様に寄り添い、魅力ある旅の創造とあたたかいおもてなしに努め、感動と満足をご享受いただく」というホスピタリティの精神を全ての行動の原点として掲げました。私たちは当社のアイデンティティとも言えるこのスピリットを、普遍の価値観として大切に守り続け、120 年という年月を超えて、どんな時代でもお客様を想い、ツーリズムを通じて、お客様と地域の文化や生活を結んでまいります。
本年も引き続き皆さま方のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。