観光庁 秡川直也長官

　観光庁長官の秡川直也氏は18日に会見を開き、11月の訪日及び海外旅行者数の状況や、9日に韓国で開催された「日韓観光ビジネスフォーラム」について報告を行った。

　日本政府観光局（JNTO）の発表によると、11月の訪日外国人数は318万7000人を記録し、同月として過去最高を更新。今年1月からの累計では3337万9900人となり、これまで過去最高だった2019年の累計を既に上回り、通年では3500万人を超える見込み。

　今月に関しては、紅葉シーズンによる需要の高まりから、中国、韓国、台湾、米国などが前年同月から増加し全体を押し上げた。また、年間の累計では新たに、韓国、香港、インドネシア、ベトナム、フランスが過去最高を記録し、これまでで23市場の内16市場が過去最高となった。

　好調なインバウンドに関しては、"2030年までに訪日客数6000万人"との政府目標が掲げられているが、秡川長官は「かなり意欲的な目標ではあるが可能」との見解を示した。続けて今後円高に振れた場合の影響について問われると、訪日後の消費額への影響は認めたものの、訪日を決めた理由に関する旅行者への聞き取りでは、食や安全性などの回答が多いことから旅行者数への影響は比較的少ないとの見方を示している。

　一方で、外国人宿泊者数の約7割が三大都市圏に集中していることや人手不足への懸念から、引き続き地方誘客や外国人材の活用推進を強調。543億円を確保した今年度の補正予算でも地方誘客のほか、高付加価値化やオーバーツーリズムの未然防止といった取り組みを進めていく。

　なお、11月の出国日本人数は117万5100人。緩やかながら回復基調を見せており、2019年同月比では今年初めて70%台を記録した。

戒厳令、韓国現地の様子は「変わりなく」

　今月9日、韓国ソウルで開催された「日韓観光フォーラム」に出席した秡川長官。韓国を巡っては、3日に出された戒厳令による政治不安などから観光への影響が懸念されるところ。

　現地の友人から事前に、国会周りでの運動を除き生活には何も影響はないとの情報を聞いていたという秡川長官は、現地の様子について「前情報の通り、様子は以前から特に変わっていなかった」と明かし、韓国からの訪日には何も問題はなく、日本からの訪韓については「（変わりないなどの）情報が少しずつ広まれば、影響は少ないのでは」と見解を述べた。