日本のサービス業を支える力:特定技能ビザで働く外国人材の素顔

 今や、日本のサービス業にとって、必要不可欠な存在になりつつある外国人材。特定技能ビザでの来日外国人数は年々増加しており、出入国在留管理庁によると2024年6月末時点で25万人を超えている。その内、「外食」分野でのビザ取得者は20,317人となり、それぞれが多様な目標を持ちながら現場で力を発揮している。今回は、福岡を中心に全国約60店舗を構える居酒屋チェーン 竹乃屋の「博多ワイン醸造所 竹乃屋」店にて働いている、ミャンマー出身のヤ ミンさんに話を聞いた。

-自己紹介をお願いします。

ヤ ミン氏(以下敬称略) ミャンマー第二の都市、マンダレー出身の23才です。2023年10月に来日しました。趣味は写真を撮ることです。K-POPも好きです。ミャンマーのモンユア経済大学で勉強をしていましたが、コロナ禍などもあり休学をし、日本に来ました。

-日本で働こうと思ったきっかけはなんですか?

ヤ ミン ミャンマーは今大変な時期ということもあり、わたしは一人っ子ですが、両親も海外に行くことを応援してくれました。韓国やアメリカ、カナダという選択肢もありましたが、ミャンマーの学生や社会人にとって、日本が一番行きやすい国という印象があります。また、日本人は皆さんとても静かで、マナーが良く、ルールも守るという点も素敵だなと感じ、来日前から興味を持っていました。

-実際に日本に来て、どのような印象を持ちましたか?

ヤ ミン ミャンマーは暖かい国なので、冬の寒さに驚きました。また、飲食店のサービスが世界で一番良い国だと思います。マナーが良いという点は来日前の印象通りでしたが、日本人は本当に努力して真面目に仕事をする一方、ストレスや苦労も抱えているのだなと感じました。それでも、見た目の表情や仕草は明るくしているのがすごいです。

-約1年ほど日本で仕事をしてみた感想はどうですか。

ヤ ミン ミャンマーでもアルバイトはしたことは無かったので人生で初めての仕事です。労働時間が長く、大変に感じることもあります。基本は8時間ですが、残業をするときもあるので。その一方で、時々疲れることがあっても、みんなで一緒に頑張るのは楽しいと感じます。みんなで頑張れば仕事も早めに終わりますし。

 外国人観光客の利用も多いお店なので、日本語はもちろん英語で接客することもあります。母国語ではないので、自分が言った言葉が伝わらない、そして伝わらないときに詳しい説明ができないことがあると、難しいなと感じます。日本語レベルは日本に来たときはN4でしたが、近々N3を受ける予定です。

 わたしの考えでは、日本人もミャンマー人を含めた外国人も、一緒に頑張ればもっと楽しくなると思います。私自身も、同じ仕事だけでは慣れて面白味にかけてしまうので、今やっていること以外にも、もっといろいろな仕事が出来るようになると嬉しいです。

-仕事以外、暮らしの面ではどうですか。

ヤ ミン 親と離れて暮らすのも初めてで、今はシェアハウスに住んでいますが、いつかは一人暮らししたいと思っています。仕事の疲れをすぐに癒したいと思う場面でも、自分のペースでできないこともあるからです。

 休日は買い物に行ったり、韓国ドラマや日本のアニメを見たりしています。福岡では大体自転車と電車で移動していますが、仕事の同僚である日本人の友達ができたので、彼らの車で一緒に出掛けたりもしています。

-食べ物や福岡という土地には慣れましたか。

ヤ ミン 最初、日本の料理は甘口だと感じましたが、今は慣れました。母国の味が恋しくなったときはミャンマー料理の店に行ったり、テイクアウトをします。人も多すぎず快適で、今は福岡がとても楽しいと感じていますが、大阪にも興味があります。大阪ならK-POPアーティストのコンサートもたくさん開催されているため、行ってみたいです。

 また、日本に来てから旅行には行けていませんが、沖縄や宮崎など、景色や自然が綺麗なところへいつか行ってみたいです。

-将来の夢は何ですか。

ヤ ミン 大きな夢ですが、本当はモデルになりたかったです。今は、日本でお金を貯め、ミャンマーに帰国したら、自分自身で起業をして会社のオーナーになりたいです。飲食店に限らず、服やアクセサリーなどのファッション、またはK-POPに関わる仕事などが出来たら嬉しいです。国が安定するまでは日本にいたいですが、とりあえず特定技能ビザの期限である5年間は日本で頑張るつもりです。

-これから日本に来るミャンマー人に伝えたいことはありますか。

ヤ ミン まずは、一生懸命に仕事を頑張って、いろいろなことにチャレンジしてほしいです。そして、あまりストレスは溜め込まずにしっかり発散するのも大切だと思います。

-ありがとうございました。

 雇用する日本の企業側としても、「外国人材」と一括りにするのではなく、個々のバックグラウンドや思い、夢と向き合う姿勢を持つことが、労使共に満足のできる関係性を構築できるのではないだろうか。また、彼らの挑戦と向き合うことで、私たち自身も新たな視点や価値を見出すことができるだろう。