TIFS会員インタビューVol.14 旅行に拘らない多角化経営を目指す旅行会社、現在の取り組みは?-シティツアーズ 日比幹 氏

  • 2024年12月2日
  • 出典:一般社団法人新観光創造連合会(TIFS)
-今後の事業展開、目標をお聞かせください。

日比 現在、海外旅行ホールセール事業にも取り組み、ハワイ及びアジア方面のパッケージ商品を取り扱っています。大手がダイナミックパッケージに移行しパンフレットの供給も無くなり、中堅ホールセラーもコロナ禍以降は人員不足等を理由に商品造成からの撤退が相次いでいます。弊社も8つの店舗を展開しており、店頭販売のボリュームが大きいため、店頭販売型の旅行会社スタッフさんのお困りごとは等しく共有しています。これを強みとしてプレーヤーがいなくなった市場に敢えて参入しました。

 例えば、お客様からパッケージ商品の一部アレンジを頼まれたときに、その時の現場判断で値付けをするのは難しく感じる方も多いです。そのような際に頼れる存在であるべく、当社の営業体制も整えています。顧客である店舗スタッフの方々から信頼を得るため、店舗へも積極的に足を運んでいます。すでに中部・関西方面で40社100店舗以上の契約を頂き、店頭展開していただいています。営業力を駆使して店頭販売の困りごと全体にお応えしていくことに商機があると考えています。

-社員教育への取り組みや課題を教えてください。

日比 厚生労働省の人材開発支援助成金制度を活用し、全社員にAIのウェブセミナーを受講させました。2か月にわたるプログラムでしたが、全員無事受講を完了しました。現在は日常業務のなかで各部門ごとにAIを活用し始め、知見を積み上げています。全社員がAIに対するリテラシーを高められたことは非常に効果的であったと判断しています。

 一方、社員数が70名程である弊社の企業規模では組織的、継続的に社員教育プログラムを実践していくことは困難と考えています。コロナ禍を経て社員数も減り、賃金上昇の世相の中、2023年に賃金制度・人事考課・定年規定等の見直しを行いました。一連の人事制度の見直しで役職定年廃止、定年後の待遇明確化、昇給を行い社員のモチベーションを上げることに専念しました。社員教育よりまずは待遇改善、安心して働ける環境整備が肝要と考えています。

-ご自身の趣味や特技をお聞かせください。

日比 ゴルフと登山です。ゴルフはストレスが溜まることもありますが(笑)、登山は健康維持とストレス発散になるので、双方でバランスを取っています。

-TIFSに期待することをお聞かせください。

日比 国政に対する意見団体としての存在価値を高めることは重要です。提言も観光需要喚起はもちろんのこと、労務・賃金関係、例えば所得税非課税範囲の問題等多くの労働力を呼び込める税制改革分野での提言も努力して行ってもらいたいと思っています。

-TIFS会員及びトラベルビジョン読者へのメッセージをお願いいたします。

日比 今、我々は市場が元に戻らない状態に不安を抱えています。海外市場が復活しても今まで以上にOTAへの依存度は高くなっていくことが考えられ、さらに労働市場も元に戻らないのではないかと考えています。旅行予約も転職もスマートフォンで完結する時代に生きています。つまり、お客さんと、働く人双方がいなくなってしまうのではないか・・。

 そんな中でもTIFS会員の皆さんは個性的な有形無形の資産をお持ちの会社さんが多いと思います。まさにウェブ市場に耐性のあるマーケットを深堀されている専門家集団だと言えます。総合はデジタルマーケッターの得意分野ですが、専門が集まれば総合的なラインナップになります。TIFS会員・トラベルビジョン読者の皆さんの有機的な結合により観光産業での強力な総合組織になり得ます。そんな視点でTIFSの活動が活性化されていけばいいなと感じています。

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