TIFS会員インタビューVol.14 旅行に拘らない多角化経営を目指す旅行会社、現在の取り組みは?-シティツアーズ 日比幹 氏
TIFS会員の取組をご紹介するシリーズ第14弾は東海地方を拠点に長年の旅行業務経験を活かして多角化に挑戦するシティツアーズ の日比幹さんの取組をご紹介します。事業概要やコロナ禍の取り組みは過去のトラベルビジョンのインタビューでもご紹介されておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
日比幹氏(以下敬称略) ワクチン接種予約コールセンターの受注に注力した時期もありましたが、それが終了した現在の多角化メニューは主に、「電力」「物販」「自動車保険」の3つとなっています。電力については一定の需要の獲得はできましたが、本業復活に伴い新規需要獲得数は停滞、しかしながら既存顧客の契約変更はほぼ無く、一定の売電収入が継続的に発生しています。
自動車保険については、社員とその家族を対象に契約募集を行いましたが、既存の契約やネット保険との競争があり、進展しませんでした。保険会社と大幅な割引契約を得るには千台規模の契約が必要となり、社員に対しても価格の魅力を提供できなかったのが実情です。また、自動車保険の収益性は意外に低く、ビジネスとしての魅力に欠けることもあり、今後は注力しないつもりです。
日比 2023年にWebでのクルーズ販売を「クルーズパートナー」というブランド名で立ち上げました。また2024年には同じくWebでのハワイ旅行販売「アロハツアーズ」を立ち上げました。クルーズは順調に取り扱いが伸びていて今期は単年度で黒字化する見込みです。販売主力のクルーズ船会社に偏りがあるため、今後は取り扱いクルーズを増やし幅広い顧客層の取り込みに注力していきます。クルーズ市場は今後はより拡大していくと考えていますが、従来型旅行会社に今後もコミッションという経済的恩恵が続くか否かが課題です。
ハワイのWeb販売については、正直なところ大苦戦をしています。レッドオーシャンの最たるものですので。価格とシステムの優位性が無いまま同じ土俵では戦えませんので、ハワイマーケットの中で他社との差別化が図れる特化戦略を模索しているところです。
日比 はい、現地オペレーターとして日本の旅行会社さんからご送客頂いています。旅行会社さんとの契約は順調に増えていますが、2023年の方がコロナ禍中に停滞していたツアーが多く、今年度は見積もり数も昨年度比では減少しています。現在、ハワイのオペレーターはほぼ大手しかなく、少人数のVIP、ハネムーン、ゴルフ、留学等の専門的な知識とオペレーション力が伴う小回りの利くオペレーターが必要とされていると実感しています。日本国内での営業活動も活発化させ多くの旅行会社さんの受け皿になりたいと考えています。