【FAMレポート】モーゼル&ライン川を最新鋭の豪華客船で行く、リバークルーズに感じた魅力
ドイツ、オランダそれぞれに歴史ある街をアクティビティツアーで堪能
寄港先のアクティビティでは、クルーズテーマである中世の城や水車小屋を訪れたりと、街歩きや自転車ツアーなどから選択する。ここで紹介しているアクティビティはすべて料金に含まれている(ワインテイスティングやロープウェイ代などは別)。
古城が港からも美しく見えるコッヘムでは、船から徒歩で街中を散策する組とサイクリング組に分かれてのツアー。散策組は、クルーズディレクターが、街を見下ろすリフト式のロープウェイ乗り場まで案内。中世の美しい街の眺望を堪能した。ちょうどワインフェスティバルが開催されており、ワインテイスティングや名物のソーセージやプレッツェルの屋台も楽しめた。こうしたフェスティバルやマーケットの開催を狙っていくのもいい。
3日目のコブレンツの街でモーゼル川からライン川に入る。自由散策で港からすぐに乗り場のある全長890m、高さ112mのザイルバーン(ケーブルカー)に乗る。11世紀からのエーレンブライトシュタイン要塞からは、ドイツの角と呼ばれるモーゼル川とライン川の合流地点の絶景が広がる。景勝地が楽しめるライン川やドナウ川は人気航路。自然や中世の街並み広がる上流から、工業都市で大型船が行き交う下流までの変化を楽しめる。
クルーズの合間に乗船ゲストは誰でも訪れることができるキャプテンズ・ルーム。3名のキャプテンとクルーが6シフトで操船している操舵室を覗かせてもらえる。レーダー類や航路などの説明もしてくれる貴重な機会だ。
リバークルーズでは、一夜明けた時の川辺の風景の変化も楽しいが、夜の航行時に船から眺める夜景もならでは。コッヘムではワインフェスティバルの最終日の花火大会を見るために、花火の打ち上げ会場近くに船を寄せてくれたりもした。ドイツからオランダへの移動時に見たゴシック様式が美しいケルン大聖堂の夜景も格別だった。
4日目は、酪農の国オランダに入り、ドルドレヒトに停泊。午後からバスに分乗して、世界遺産の「キンデルダイク-エルスハウトの風車群」の見学ツアーへ。オランダといえば、チューリップ畑と風車ののどかな風景を思い浮かべるが、海抜の低い地では水害を防ぐために水を汲み上げる動力として風車が必要不可欠だった。
運河沿いに19基の風車群が今も残り、うち2基は内部が博物館になっている。間近で見る風車は迫力満点。風車の中での生活の様子が再現されていて興味深い。キンデルダイクを訪れるには、通常ロッテルダム駅から移動して水上バスで約30分かかる。船からガイド付きのバスで移動して見学できるツアーも料金に込みでありがたい。
運河の街ユトレヒトと終着のアムステルダムを残したところで、夜にはクルーやスタッフ全員が集まってのフェアウェルのパーティが開かれた。テーブルサービスをしてくれるスタッフとも顔見知りのようになり、一生懸命に名前を覚えて「ビールのお代わりは?」と聞いてくれたり、フレンドリーなホスピタリティが心地よかった。
最後の寄港地ユトレヒトでは、酪農の国を味わうチーズテイスティングが船上で行われ、船を降りてから運河クルーズを楽しんだ。
ライン川も河口に近づき、川辺の風景も次第に都市部や大きな港の眺めに変わり、終着のアムステルダムに夕刻に到着。下船は翌日のため、船内でゆったりと過ごすもよし、自転車でアムステルダムの街に繰り出したりと自由な時間を楽しむことができる。翌日のアムステルダム・スキポール空港などへの送迎時間を判別できるようにスーツケースに付けるタグが配布され、朝に船室の外に出すよう指示がある。出立の朝の朝食でクルーズを共にしたスタッフとも別れを惜しむ。
陸地の変わりゆく眺めを楽しみながら、それぞれの街での見所を回るツアーも料金に入ったリバークルーズ。プールに入ったりルーフトップで遊んだり、パーティや映画上映など船内での楽しみも充実していた。そして、お昼と夜にはビールやワインが無料で、工夫された食事のメニューの多さにも驚かされた。
エメラルド・クルーズのクルーズ料金は、だいたいの目安で一人当たり1泊500〜600ドル、ハイシーズンで1000ドル。ツアー日数7泊8日のコースが多く、一人当たり約50万円(3600ドル)というところ。移動、滞在、食事、アクティビティはすべて料金込みで、早期予約割引などの特別オファーも頻繁にある。非日常なツアー内容を振り返れば納得できる価格である。
今の中心顧客はシニア層ということだが、船内は現代的なデザインながら特別感もあるので、若い層に対してもアニバーサリーやハネムーンなど特別な日を過ごすためのクルーズを中心にポテンシャルは十分ありそうに感じられた。移りゆく陸地の風景を楽しみながらホテルのように過ごせるリバーシップでの旅が、クルーズ市場を新たな層に広げてくれることに期待したい。
取材協力:エメラルド・クルーズ日本総代理店 セブンシーズリレーションズ
取材・文:小野アムスデン道子